《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第十話 カイン無雙?

「えっ……カイン……?」

何事もないような表で建ってきたカインにリルターナは驚きの表をする。

「リル……一人で行ったら駄目でしょ? 知らせてもらえばよかったのに……」

笑みを浮かべるカインに涙目になりながら頷くリルターナの姿があったが、今はそんな狀況ではなかった。

「おい……これはいったいなんだ? このガキといい、お前といい。ここをナルニス商會だと思っての仕打ちか?」

剣を構えナルニス商會の護衛だろうか。五人の護衛は一人はリルターナに剣を向け、殘りはカインに剣を向けて構える。

ニギートはダルメシアに肩を摑まれカインの後方に下げられた。

「カイン様、リルターナ殿下を!」

「うん、わかっているよ。もう大丈夫だから」

焦ったニギートに向かって笑みを浮かべて頷くと、また護衛たちに向かって向き直る。

「それで……そこにいるのが、バイサス帝國の皇殿下だと思っての仕打ちなのかな……?」

カインから告げられた衝撃の言葉に、護衛達は目を見開く。

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「皇殿下!? なんでそんなのがここの屋敷へと!?」

「あんたたちがパルマを攫ったんでしょ! 同じ馬車が攫うところを見たのよっ!!」

剣を突き付けながらも息巻くリルターナに、カインは苦笑する。

「そんなの知らんなぁ……勘違いじゃないのか? 皇殿下とはいえ、人の國の大手商會に突撃されたら堪らんよ? なぁそこの冒険者のガキもそう思うだろ?」

黒い笑みを浮かべながら一人のリーダー格の男が剣を肩に掛け前に出てさらに言葉を続ける。

「俺はゲルター、ここの専屬の護衛だ。冒険者ランクはB。お前も冒険者ならわかるよな?」

冒険者ギルドでBランクならば、盜賊との対峙もしている。――人を殺したことがあると言っているのと同じだ。

しかしカインは表を崩さない。

カインの変わらない表を見て、ゲルターは「ほぅ」とし関心した。

「まずはリルターナですね。返して貰えるかな?」

カインは一歩前に出ると、護衛達に張が走る。そしてリルターナに剣を向けている男は、剣の刃先をリルターナの元に當てた。

「近くによるな! この狀況がわからないわけでもあるまい?」

剣をリルターナに突き付けている男のいうことに気にした様子もないカインは一歩近づいた。

――そしてその場でカインは消えた。

「なっ!?」

「えっ!?」

男たちの驚く顔が浮かんだ瞬間に、カインは元の位置に現れる。

――リルターナを腕に抱いた狀態で。

そして、リルターナに剣を向けていた男の剣が音をたて床に転がった。――剣を握ったままの腕と一緒に。

「なにっ……」

「えっ……」

「う、腕が……ないっ!? 俺の腕がぁぁぁぁぁ痛ぇぇぇぇ!!」

カインに一瞬にして腕を切斷された男は痛みで床を転げまわる。

あまりの一瞬の出來事に、ニギートもリルターナも驚きの表を隠せない。

先ほどまで剣先を突き付けられていたと思ったら、いつの間にかカインに抱かれている狀態だったのだから、それは仕方ないことだった。

「……カイン……今のは……」

揺するリルターナに、カインは満面の笑みを浮かべる。

「リル、もう大丈夫。でも無茶しちゃだめだよ……ここは王國なんだから……皇殿下に何かあったら……それこそ……ね?」

カインの笑顔と言葉にリルターナは頬を染めたまま頷いた。

「ニギート、リルを頼む」

カインの言葉にニギートは驚きに固まっていた表を引き締め頷いた。

抱きしめていたリルターナを解放すると、ニギートのほうに行くように促した。

リルターナは足りない表をしながらもおぼつかないままニギートの隣へと移する。

「これで……人質はいなくなったね」

男たちに向き直ったリルターナに向けられていた優しい笑顔とは違って、目をし細め口角を上げる。

その表に男たちには一瞬で悪寒が走った。

「こいつやばいぞ……お前ら、気を抜くな?」

「おぅ」

ゲルダーを筆頭に男たちがカインに剣を向けた。

「まずはこいつらを……」

カインの呟きと同時に一人の男が壁まで吹き飛んだ。

背中から壁にめり込んだ男はそのまま意識を失った。

「えっ……」

「何があった??」

「み、見えなかった……」

揺する男たちにカインは笑みを浮かべた。

「さっさとパルマを迎えに行かないとね」

その言葉を同時にもう一人が壁に向かって吹き飛び意識を失う。続けてもう一人も……。

最後にゲルターだけが殘った。

「バ……バケモノ……」

構えた剣先はの震えでブレており、恐怖に染まった表をしたゲルターにカインは告げた。

「あとでじっくり衛兵と話すといいよ」

その言葉と同時にゲルターも他の者と同じように壁に吹き飛んだ。

「クソっ……なんでこんな化けが……」

その言葉を殘してゲルターの意識は闇へと沈んだ。

腕を切られた男も、カインに一瞬にして意識を狩られる。そして、切られた部分からとめどなく流れるをヒールにて止をした。

「とりあえずこんなもんかな? リルターナ、大丈夫だった?」

振り返ったカインの表はいつものように優しいとなっている。しかし、リルターナもニギートもカインの実力に驚きを隠せなかった。

「カインは一……?」

疑問に思うリルターナにカインは笑みを浮かべた。

「まずは、パルマを迎えにいかないとね。ダルメシア、ここでこいつらを見張っていてもらえるかな?」

「承りました。カイン様」

先ほどのまでの衝撃的な出來事に、特に気にする様子もないダルメシアは、何事もなかったかのように優雅に禮をした。

「じゃぁ、リル、一緒にパルマを迎えにいこうか。ニギートも一緒にくる? リル一人だと心配でしょ」

「……はい、ご一緒させてください」

リルターナと共に頷いたニギートはカインの後を追う。

カインはそのまま店の奧までっていき、何もない壁の前で立ち止まった。

「カインそんなとこで立ち止まって……」

後ろからリルターナに言われたカインは、気にした様子もなく、そのまま壁に手を當て力をれて押す。

その瞬間、壁がそのまま奧へと倒れこんだ。

「なっ!?」

「えっ……」

驚く二人にカインは笑みを浮かべる。

「隠し扉みたいだね。ほら、パルマを迎えにいくよ」

そう言って、潛って中へると、球ライトを指先に浮かべ明るさをとると、そのまま地下への階段を下りていく。

「ちょっと待って、行くわ」

リルターナがカインの後を追い、その後をニギートが追っていく。

地下に降りるとそこは石で造られた通路と両脇に鉄格子で覆われた部屋がいくつもあった。

鉄格子で仕切られた部屋には、數人の子供がいた。

人族や獣人などの子供が部屋の隅で震えている。

カインはそのまま素通りすると、一番奧にある鉄格子の前にたった。

「――パルマ、迎えにきたよ」

優しく告げるカインの前には、力なく座り込んで俯いていたパルマがいた。

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