《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第二十一話 カイン、ランクがバレる!?
しの間、レリーネはドリントルに逗留することになった。
その間、時間がある時にアレクと食事などをすることで、二人は納得した。
ラゲット達四人もしの期間、ドリントルに滯在することが決まり、ギルドで簡単な依頼をけることになった。
朝一番でカインは四人に同行しギルドへと向かう。
「いやーカインに紹介してもらった宿は良かったよ。部屋も食堂も綺麗だし、エナクちゃんは可いし! もう最高!」
笑顔のニナリーの言葉に三人も頷く。
「カインはここの冒険者だろ? この街にどんな依頼があるんだ?」
「依頼としては討伐と護衛が多いですね。王都からの商人の依頼か、東門の先が森になっていて、そこに魔が出ます。あと奧に行くとダンジョンもありますね」
「ダンジョンか……、まだ行ったことないけど、いつかは挑戦したいな。その時は案してもらえるか?」
ラゲットの言葉にカインはし難しい顔をする。
「空いている時間なら問題はないですが、ほとんど王都に行っているんです。一応……まだ學生なので……」
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「そういえば……まだ學校に通っている年だったな。まぁ時間がある時でいい。それまでは森で狩りでもするよ」
その言葉にカインは頷く。ダンジョンの奧にはブラックドラゴンがいる。
四人の実力では最奧まで行けるとは思ってはいないし、ドラゴンには人間相手に攻撃しないように伝えてはあるが、自分のを守るためなら反撃は構わないと伝えてあった。
そして五人は森の魔の事について話しながらギルドへと到著した。
扉を開けホールにると、やはり朝のギルドは冒険者達で賑わっていた。
依頼ボードを眺めながら相談している者や、付に相談している者。街が繁栄してきたことで、他の街からも冒険者が増えていた。
ホールにってきたカイン達に一瞬だけ視線が集まるが、その後の反応は二つに分かれていた。
まだ子供達の冒険者がってきて、興味を失せ視線を外す、最近ドリントルに移ってきた冒険者達。
そして、カインの所業を知っている恐怖ゆえに、真っ先に下を向き視線を合わせないようにする冒険者達。
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中でも以前に実力を目の當たりにした者は恐怖にを震わせる。
そんな姿にカインは気づかない振りをしながら、依頼ボードへと向かった。
ラゲット達は未だDランクである。けられる依頼も限られていた。
四人で話し合い、一つの依頼表を依頼ボードから外し、確認をする。カインはその姿を後ろから眺めていた。
「退けよ、小僧。そんなところにいたら邪魔だっ!」
カインが振り返ると、機嫌が悪そうに三人の冒険者が立っている。まだ二十代半ばであろうか、剣士が二人と魔法使いが一人、無髭を生やし、前日に深酒をしてのであろう、酒臭い息でカインに因縁をつける。カインの事を知らないのであろう、振り返ったカインの顔を見ても何一つ表は変えない。
「何見てるんだ……? ガキ共は大人しくドブ攫いでもしておけよ」
「ドブ攫いか、そりゃぁ傑作だ。あっははははは!」
カインも思わず苦笑する。しかし、カインの事を知らない者からしてみたら、まだい子供が“銀髪の悪魔シルバーデビル”と呼ばれているこの街で最悪の存在だと誰も思わないだろう。
カインは「どうぞ」と一言だけ言い、橫に逸れた。
カインの事を知っている冒険者達は、その景に『あ、こいつら死んだわ』と小聲で話し合う。
気分を良くした三人は、次に掲示板の前で話し合う、ラゲット達四人に視線を送る。
四人はすでに人を迎えている。まだ十代だが、ニナリーもマインも魅力的なである。
その二人に目をつけた三人は同じ様に絡んでいく。
「おい、そこの嬢ちゃん達。そんなガキの相手してないで、俺らと依頼をけようぜ。晝も夜も面倒みてやるぜ?」
男の言葉に、ニナリーは顔を歪める。しかし、すぐラゲットがニナリーの前に二人を庇うように立った。
「おっさん、お呼びでないぜ? 二人は俺らの連れだ。男三人で仲良く狩りでもしてこいよ。その方が似合ってるぜ?」
ラゲットは売られた喧嘩は買う主義であった。王都からドリントルへ向かう宿場町でも喧嘩になっていた。
しかし、男たちはラゲットの言葉に激昂する。
「ガキども……言いやがったな。教育してその二人は俺らが有効に使ってやるよ……」
しずつ近づいていく冒険者に、予想外の場所から聲が掛かる。
「そこまでにしなさい! それ以上ギルドで騒ぐなら処罰は免れませんよ!」
の聲が響き渡り、その聲の方に視線が集まる。
そこには両手を腰に當て、怒った様子のレティアがいた。
しかし、レティアはサブギルドマスターであるが、知らない人が見たら、ただの人のギルド職員である。
もちろんその事を知らない男たちはそれで引く気はなかった。レティアの全を舐めるように視線を送りニヤリとする。
「なんだ、姉ちゃん。ならお前が三人の相手をしてくれるのか? 俺らはそれでも構わんけどな」
「あっはっは、確かにそうだ。この姉ちゃん、年はいってるけど見た目はまぁまぁだしな」
男たちの言葉にレティアの表は変わっていく。
「――――誰が“年はいってる”ですって……?
レティアにとっては一番れられたくないことであろう。
レティアの表を見て収まりがつかなくなりそうなので、カインはため息をついて止めることにする。
パン、パーン
いがみ合っている中でカインは大きく手を叩く。
「そろそろ、終わりにしましょうね。これ以上はギルドカード剝奪か、詰所の牢屋で頭を冷やしてもらいますよ?」
しかし、まだ人もしていない年の言うことなど、聞くはずもない。
それでも変わらぬ冒険者たちにカインはため息をついて、レティアに視線を送る。
「カイン様、構いません。こいつらはし反省が必要だと思いますので」
カインの聲で落ち著いたレティアがそう告げた。
その言葉で――周りで張で息を飲んでいた冒険者が一斉に逃げ出した。
「逃げるぞ! ここにいたらやばい」
「まじかよ……いくぞ!」
カインの事を知っている冒険者は一同に逃げ出す。職員も全員業務をやめて逃げ出した。
よくわかっていない冒険者たちは、その逃げ出す冒険者たちを指差して笑う。「なんでこんな楽しいイベントを見逃すのか」と。
そして、その冒険者達はその後になぜ逃げたのかをもって知ることになる。
頷いたカインから、殺気がホール一面に広がっていく。本気を出したらこのホールにいる一同は全員気絶してしまう。適度な強さに調整して広げていった。
絡んでいた冒険者達もその殺気を目の前で浴びて、腰が抜ける。笑っていた冒険者達もその殺気を浴びて恐怖からを震わせた。
「……だからそろそろやめにしようって言ったんですよ……」
「な、なんだなんだこれ……」
「このガキは一……!?」
すぐに殺気を引っ込めてカインは笑顔を向ける。
「レティアさんはこのギルドのサブギルドマスターですよ。わかってますか? その意味が……」
餅をついていた冒険者たちは、殺気が消え立ち上がると、さっきの言葉の意味がわかっていないのか、次はカインにターゲットを向ける。
「しめたからって殺気を向けるのはいいのかよ!!」
「サブギルドマスターだからって越権行為だ!!」
「そうだ! このガキを罰しろ!!」
三人から非難の聲が上がるが、あまりの馬鹿さにレティアはため息をつく。
「カイン様、ギルドカードを。誰を相手にしているのかわかってもらわないといけませんからね。こんな馬鹿はこの街に要りませんし」
カインは言われるがまま、懐からギルドカードを出しレティアに手渡す。白金プラチナにり輝くSランクの証明を。
「では、貴方達は、――Sランクの冒険者に喧嘩を売るってことでいいのかしら」
この言葉がとどめになった。
さすがに理解力のない冒険者でも、ランクによる実力差はわかっている。
Sランクとも言えば、國で認められ、天災級の魔とも戦える実力を持つ者の証明である。
男たちは目を見開き、そして一目散に逃げ出した。「すみませーーーん!」とびながら。
「……も、もしかして……あれが、この街にいる“銀髪の悪魔シルバーデビル”なのか……」
そして周りで震えていた冒険者たちは口々に小聲で話し合う。
「カイン様、ありがとうございます。あいつらは今日にでも街を出るでしょう。まったく……」
まだ怒りの治らないレティアにカインは苦笑する。
「――――な、なんでカインくんが……Sランク……!?」
その言葉にカインは聲の元に視線を向ける。
そこには未だ餅をついていたラゲット達四人がいた。
「あ、忘れてた……」
カインはにしていた事を思い出し、失敗したと額に手を當て天を見上げた。
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