《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第二十二話 カインの正
カインに詰め寄る四人をレティアは制し個室へと案した。
個室は十ほどの椅子がテーブルを囲んでいる部屋であり、カインとレティアが隣同士で座り、その対面にラゲット達四人が向かい合うように座った。
「――それで、なぜカインがSランクなんだ……?」
ラゲットが信じられないような表をして口を開いた。
レティアはその言葉にため息をついて話始める。
「カイン様については、一部極事項の部分もありますが、実力を含めてSランクとなっております。それなりの実績もございますし、王都でも認められています」
「……だからって――」
「ラゲット、信じられないのはわかるけど、それはギルドが決めたことなんでしょ。さっきの殺気といい、カインくんはちょっと人とは違うものをじるの」
「そんなSランクなんて”化け”がなんで護衛なんか……!?」
納得がいかない様子のラゲットにニナリーが口を挾む。
不正をしてSランクになったわけではないとわかっているが、それでも信じられない様子である。
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”化け”扱いに顔を引きつらせながらカインが説明を始めた。
「ランクに関しては黙っていたことは謝ります。ごめんなさい。でもこちらにも々とあるので察してもらえると助かります」
素直に頭を下げるカインに、ラゲットも気分を落ち著つかせる。
「事についてはわかった……。でも納得するために、俺と、いや、俺たちと――模擬戦をしてくれ」
ラゲット達四人も今まで冒険者として々と経験してきた。死線を乗り越えてやっとDランクまで上がったと自負している。
簡単に目の前に自分よりいくつも若く、人もしてない年がSランクと納得するためには、実際に戦うしかないとじたのだ。
「――わかりました。訓練場を使いましょう。実際に模擬戦をしてみればその実力もわかることでしょう。実力差についても……」
レティアの提案にラゲットと他のメンバーも同じく頷いた。
一同でレティアの案のもと、訓練場へと移する。
訓練場は以前に破壊したところは、すでに修復が終わり元の通りになっていた。
「――カイン様……わかっているとは思いますが、破壊などは……」
「しませんよっ!!」
レティアの注意にすぐに否定する。
あの時はギルド、冒険者の対応にイラついたことで引き起こした慘狀である。
今はリキセツ、レティアが運営しているギルドに対して迷を掛けるつもりもなかった。
「――それでは、死亡するような攻撃は止とします。カイン様は施設の破壊するような魔法は止です」
「――――し、施設を破壊……?」
レティアの言葉にニナリーが顔を引きつらせ呟く。
その言葉にレティアが説明を始めた。
「以前、私がここに來る前ですね、冒険者がカイン様に絡んだことがあって、ここで模擬戦をしたのですが、その時に……」
レティアは最後まで言わない。先輩冒険者の”かわいがり”なら四人も知っていた。
自分たちはけた事がなかったが、そんな話は聞いたことがある。――しかし、施設の破壊までは聞いた事がない。
レティアの言葉に思わず四人はを鳴らす。
「あ、四人同時でいいですよ。一人じゃすぐに終わっちゃいますし」
カインは余裕の笑みを浮かべて肩に木刀を掛ける。
「それでは、はじめっ!」
「――隨分余裕だな。いくらDランクだからって四人相手に舐め過ぎだろ、お前ら準備しろっ」
レティアの開始の合図と合わせて、ラゲットが指示し三人がフォーメーションを組んでいく。
ラゲットが先頭に立ち、そのし後ろにアーチャーのクロス、ニナリーは杖を構え魔法の詠唱を始めた。マインは回復師プリーストの為、一番後ろで杖を構えている。
「よし、お前らっ。カインに俺らの実力を見せ――」
その言葉と同時に、目の前にいたカインが消えた。
「えっ……」
その瞬間にマインとニナリーが崩れ落ちる。
「「なっ!?」」
ラゲットとクロスの二人が後ろを振り向き、ゆっくりと崩れていく二人を見て茫然とする。
――そしてクロスも同じように崩れ落ちた。
一人だけ殘ったラゲットは元の位置に現れたカインに驚愕の表をする。
「――ここまで差があるのか……Sランクっていうのは……」
その言葉と同時にラゲットの意識も失った。
「こんなもんですよね……これでカイン様の実力がわかってくれたと思いますが」
倒れている四人を見下ろしてレティアが呟く。
「ここまでする必要はなかったんじゃ……」
「いえ、圧倒的な差をわかってもらえないといけませんから。それだからこそ――國が認めたSランクなのです」
カインは気絶している四人を持ち上げて並べて寢かせる。
「よし、これでいいか……あとは――」
「うぐっ……」
程なくしてラゲットが目を覚ました。倒れている三人を見た後、カインを見てため息をらす。
「……これがSランクの実力なのか……。カインすげぇな……。目でもきが追えなかったわ……」
「これがこの街で最強の冒険者の実力です」
カインが答える前にレティアが答えた。
カインはラゲットに手を貸し立たせる。
「手加減はしたつもりですが……何かあったら言ってください。回復魔法も使えますから」
「……回復魔法も使えてこの強さかよ……」
「まぁ……それなりの戦いはしてきたつもりですから……」
「あぅ……」「うぐっ」「……あれ」
先に目を覚ましたラゲットと會話をしていると、三人も目を覚ます。
目を覚ましたニナリーたちは何が起きたかも解らずし混していた。
「……なんで寢てるの……? もしかして……」
「あぁ、一瞬でみんな意識を刈り取られた。もちろん俺もな……」
「そう……、完敗なのね……」
四人の表は完敗したことで、し殘念そうな顔をしたが、それよりも清々した表をしていた。
Sランクの冒険者の実力ををもってしったからだろう。
「これでSランクの実力がわかってもらえたかと思います。貴方たちもこれからも努力を怠らず、さらに上を目指してください。カイン様のようになれなくても、Aランクを目指すこともできます」
レティアの説明に四人は頷いた。
しかし、ニナリーが手を挙げて質問をする。
「レティアさん……思ったんですが、なぜ、カインくんには”様”なんですか……? 他の誰にも”様”で呼ぶこともないですよね?」
「むぐっ……それについては……」
「…………」
レティアはカインに苦々しい表で視線を送る。
カインも視線をずらし、聞かなかったようにする。
しかし、Sランクだったという衝撃の事実を知った四人は、これ以上に驚くような事はない、……と思っている。
「カイン、もう驚く事なんてないから大丈夫だ。Sランクなんて衝撃的な事聞いちゃったからな」
諦めてため息をついたカインは、レティアに視線を送り軽く頷く。
その態度を察したレティアは重々しく口を開いた。
「カイン様から許可が出ましたので教えますが、ここだけの話にしてください。場合によっては……」
レティアが片手で首を掻っ切るポーズをすると、四人は生唾を飲み込んだ。
「……カイン様は――――カイン・フォン・シルフォード・ドリントル伯爵、シルフォード辺境伯のご子息であり――この街の領主でもあられます」
「「「「…………」」」」
Sランク以上の衝撃的な事実に四人は固まった。
その表にカインは苦笑するが、四人にとってはそれどころではない。
四人はロボットのようなぎこちないきでカインに視線を送った。
「まぁ……そんな訳です。冒険者でいるときは気軽にカインって呼んでくださいね」
頬を掻きながら気軽に話すカインであったが、四人の表は引きついっていた。
冒険者でまだ若輩という年齢でも、貴族の仕組みについてはある程度理解できている。
”伯爵”という位は上級貴族にあたり、このエスフォート王國でも有數の貴族ということだ。
しかも、辺境伯の子息でありながら、伯爵として獨り立ちしているのだ。優秀でない訳がない。
さらにいえば実力はSランク。
四人の脳は報が錯綜していく。
そして出た答えは――――
「カイン……様、すまなかった……」
「カインくんが……」
「まさかカインが……」
「人になれないかな……」
三人が今まであまり話さなかったマインの口から出た言葉に衝撃をける。
もちろんカインも思わず吹き出してしまう。
「カイン様はすでに婚約者がいらっしゃいますから、人そういうのはおけしていませんわ。そんな簡単になれるくらいなら……私だって……」
「ちょっと、レティアさん! 何言ってるんですかっ!」
思わずカインはレティアに突っ込みをれてしまう。
たしかにレティアは綺麗であったが、カインにとってはギルドで頼れる姉的存在である。
そんな対象として見ていなかった。
「あっ、私としたことが……失禮いたしました」
自分の言葉にハッとなってレティアは頬を染める。
「ぷっ……、面白いな……」
レティアとカインの言葉に、その場にいた者たちの笑い聲が響き渡ったのだった。
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