《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第二十三話 帰路そして・・・・・・
冒険者ギルドを後にしたカインたちは、貓の和み亭まで一緒に向かった。
とても四人は依頼をける気持ちになれないというのが理由だ。
一緒に護衛をし、年下の年がSランクの冒険者であり、この街の領主でもあった。
そんな衝撃的な事実を突きつけられて「これから依頼をけようか」など言えるわけもない。
しかも々あった関係で、すでに晝時を迎えていた。
「僕もたまにはここで食事をするかな」
カインの言葉に四人は唖然とする。
四人の常識では、貴族は豪華な屋敷で豪勢な料理を食べているイメージしかない。
いくら貓の和み亭の料理が味しいからといって、貴族の當主が食べているとは想像つかない。
――いや、四人が住むミシンガの領主もそうであったと思い出す。
四人が住むミサンガの街も、港町で活気があり、領主が魔が出ると前線に出て戦っていた。
それはミシンガだけの“特別”であると、護衛で々な街へ行っている四人は知っていた。
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「ククク、カインもそんな領主なのか……」
ラゲットは自分の街を思い出し、頬を緩める。
すでに、ギルドで「冒険者の格好をしている時は今まで通りにしてほしい」と言われており、砕けた言葉使いで話している。
「この街に最初に來て、食べたところが“貓の和み亭”でしたからね。泊まった事もありますし」
カインの庶民的な発言に、ラゲットの他三人も笑顔を浮かべる。
「本當にそうよね。料理も味しいし、部屋は清潔だし、ここなら暮らしていけるくらい」
「たしかにそうだな。居心地はいい。魚料理がないのが殘念だが……」
四人は海沿いの街で、魚料理が主となっていると、カインは前に聞いていた。
話しながらカインたちは貓の和み亭に到著した。
扉を開けて店にると、エナクから元気よく聲が掛かる。
「いらっしゃいませー! あ、カインお兄ちゃん!! ニナリーさんたちも! お帰りなさい!」
「エナク、みんなの晝ご飯よろしく頼むよ」
案され、大きい六人掛けのテーブルを囲み皆で座る。
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「今日のランチはオークのステーキだよ」
「うん、それでいいよ。あと果実ジュースも」
「俺も同じの」「私も~」
エナクにお勧めを聞いて、皆が注文していく。
全員の注文をけると廚房へと駆けていった。
「エナクちゃん偉いよね。あんな小さいのにお店の手伝いをして」
ニナリーの言葉に、カインは過去にあった襲撃事件の事を思い出しながらも頷いた。
「それにしてもカイン……くん? 様? なんか正を聞いちゃうとなんて呼べばいいか悩むよねぇ。まだ學生なのに領主で、しかも伯爵様なんて。さらに言えばSランクの冒険者でしょ。普通は誰も信じられないよー」
「カインでいいですよ。冒険者の時は分を隠しているのが多いですし。僕もその方が気楽ですから」
程なくしてジュウジュウと焼けた鉄板の上に置かれたステーキが各自に運ばれていく。
厚みをもったステーキからは、の焼けた香ばしい匂いとソースのいい匂いがマッチして食をそそり生唾を思わず飲み込む。
待っていられないとばかりに、皆、にナイフをいれていく。
「うーーん、味しい!!」
「本當にここの料理は味いよなぁ」
各自から絶賛する言葉が発せられ、カインも同じようにその味さに舌鼓を打つ。
食事を済ませた後はラゲット達に挨拶をし、屋敷へと戻った。
――二週間後
「カイン様、ありがとうございました。それと――アレク様、し會えないのは寂しいですが、早めにこちらに……」
レリーネがミシンガの街へ戻るとのことで挨拶にきた。
すでに旅裝となっており、アレクと共に見送ることになった。
頬を染めながらもし寂しそうな表もしていたが、この二週間で本人同時の話はまとまり、晴れて婚姻を結ぶ事が決まった。
貴族同時の婚姻となるので、実家を含め、話をする必要があり、王國にも報告の義務がある。
ガルムは王都にいるが、ミシンガの領主であるサンガ伯爵は領地にいる。
一度、戻って報告する必要があった。
今後は家同士で日程などを決めていくことになる。
馬車の周りには護衛の為に騎士とラゲット達が控えている。
今日は領主としており、ラゲット達も簡単に聲を掛ける訳にもいかなかった。
「レリーネ嬢、もうししたら義姉上あねうえと呼ぶことになりそうですね。道中気を付けてお帰りください。帰りは護衛することはできませんが……」
カインは冒険者としてドリントルまで護衛していた事を思い出す。
「いえ、カイン様にはご配慮いただき謝しております。こうして私兵までつけていただきましたし」
兵士たちにはミシンガの街まで護衛をするように十名手配した。
冒険者を手配しても良かったが、ラゲット達が護衛として依頼をけている以上、口出しする訳にもいかず、ダルメシアと相談して私兵を付けることにした。
そしてカインはラゲット達の前に移して聲を掛けた。
「みんな、レリーネ嬢の事を頼んだよ」
「わかった、いや、わかりました。ちゃんと依頼はこなす、こなします」
「カインく……様、その恰好していると本當に領主なのですね……」
ラゲットはたどたどしい敬語で、ニナリーはカインの姿に笑みを浮かべている。
「それではまた」
レリーネを乗せた馬車はドリントルを後にした。
「行ったね」
「あぁ、そうだな……、まさかいきなり婚姻が決まるとは思わなかったけど」
「これで、他のを斷れるからいいんじゃないですか? 正直、あれだけの數を送られてきても……」
「確かにな……」
カインとアレクの二人は頷いて屋敷へと戻って行く。
そして學園の為に、カインは転移魔法で王都へ飛んだ。
王都に戻ったカインは普段通り通學し、終わった後も何事もない生活へと戻る。
學園が終わった後、買いにわれたカインは、テレスティア、シルク、そしてリルターナと四人で街を歩く。
仲良く話していたが、その橫に一臺の馬車が停車した。
その馬車の護衛たちはカインの事を信じられないような顔をして見ている。
「な、な、なんでカイン……様が王都に!? ドリントルで見送ってくれたはずじゃ……?」
カインを見つけ信じられない表をする――ラゲット達一行であった。
転移魔法で移していたカインにとっては、特に気にしていなかったが、時間的に考えてもおかしいのである。
「あっ……」
思わずカインは苦笑する。リルターナもいる手前、転移魔法で王都まで移したなど、口が裂けても言える訳もなかった。
馬車から降りてきたレリーネもまさかの出會いに驚くが、カインが同行しているたちを見て、咄嗟に頭を下げる。
「――ご無沙汰しております。テレスティア王殿下、シルク様、サンズ・フォン・レガント・ミシンガ伯の娘レリーネでございます」
「あぁ、レリーネ様、ご無沙汰しております」
「レリーネ様、ごきげんよう」
レリーネの言葉に、テレスティアとシルクはいつものように返事をする。
ここら辺はさすが王族、上級貴族の令嬢だけありしっかりしていた。
「あの、そちらの方は……」
「初めまして。リルターナ・ヴァン・バイサスよ。今はエスフォート王國に留學に來てるの。よろしくお願いしますね。レリーネ様」
その言葉にレリーネも驚きの表をする。
「これは皇殿下であらせられましたか。失禮いたしました。こちらこそよろしくお願いいたします」
レリーネはスカートの端を摑み優雅に頭を下げる。
レリーネも上級貴族の伯爵令嬢である。しかし、目の前にいるのはエスフォート王國の王殿下、公爵令嬢、そしてバイサス帝國の皇殿下まで一緒にいるのだ。さすがに立場を弁える。
「カイン様には先日まで二週間ほどドリントルに滯在させていただきお世話になりましたので」
説明をするレリーネにテレスティアとシルクの二人が、聞いていないとばかりにカインに詰め寄る。
「カイン様……? そんな話は聞いておりません。なぜレリーネ嬢がドリントルに……。――もしかして……また婚約者を増やすおつもりですかっ!?」
「カインくん……、さすがに勝手に増やすのはね……。文句は言わないけど相談してしいな?」
「カイン様、まだ人しておりませんし、もうし自重なされたほうが……。私だってなりたいのに……」
そして、隣にいるリルターナも最後は消えそうな聲であったが批判をする。
「ちょっと待ってよっ!! 違うからっ!!」
「……王殿下、シルク様、婚約はまだ本人同士だけですので、これから家を踏まえて決めていくことになります」
”アレクとの”という言葉がっていない。
さらに勘違いする二人はカインの倉を摑んで涙目になりながらもさらに詰め寄る。
「ほらっ! レリーネ様もそう言ってるじゃないですかっ!」
「カインくん、隠すなんで最低……」
「カイン様、そんなにがお好きでしたら……私も……」
詰め寄る二人ともじもじしながら小聲で獨り言を言うリルターナ。
カインは顔を引きつらせて弁明する。
「だぁかぁらぁ……、婚約者は、僕の兄の”アレク男爵(、、、、、)”ですよっ!!」
「「…………え?」」
「えぇ、そうです。アレク様との婚約の為にドリントルにお伺いさせてもらいました」
カインとレリーネの説明にテレスティアはカインの倉を摑んでいた手を離し、軽く咳笑いをする。
「オホホホ、そうでしたの……。てっきりまたカイン様が私たち以外に婚約者を増やしたものかとばっかり……」
「――王殿下とシルク様はカイン様の婚約者でしたね」
「えぇ、今は(・・)私たち三人ですが……」
貴族の中では、すでにカインとテレスティア、シルク、ティファーナが婚約者であることが公表されている。
テレスティアはカインに視線を送るが、聖の件もあるし、カインは思わず視線の逸らす。
「――そうですか、カイン様は素敵ですからね。アレク様もドリントルにおりますし、今後ともよろしくお願いいたしますね」
「そうですわね。カイン様と婚姻を結んだら、義姉になりますし、これからよろしくお願いしますね、レリーネ様」
「仲良くしてくださいね、レリーネ様」
レリーネの言葉に、婚姻後は親戚関係のお付き合いをすることに気づいたテレスティアとシルクは、改めて挨拶をする。
そして――今まで一緒にいる面子の凄さに絶句していたが、さらに衝撃的な言葉に思わず――ラゲットは言葉を発した。
「えっ……王様の婚約者が……カイン……様……?」
”Sランク”と”伯爵で領主”という事実だけでご馳走様狀態であったラゲット達一行は、”王様の婚約者”という更に非常識な真実を突き付けられて絶句するしかなかった。
その後、じっくりと説明する必要があったのは言うまでもなかった。
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