《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第七話 襲撃
男たちの嫉妬の視線をカインはけ、顔を痙攣らせる。
「ふ、二人ともだと……。も、もしかして、リルターナ皇殿下も……!?」
その言葉に、無言でリルターナは頬を染めカインに視線を送る。
「な、何だと……」
「あの三人をだと……」
「許せないだろ……」
「燃えちまえ」
「禿げろ、畜生」
生徒たちから恨めしい視線の中、ラルフは敵視しながらも、カインの前に來て挨拶をする。
「良ければ名前を聞かせていただいても……?」
「カイン、カイン・フォン・シルフォードです」
制服を著ているカインであったが、きはやはり貴族なだけあり鮮麗されている。
しかし、それで簡単に諦められる程、ラルフはまっすぐな格ではなかったが、引き下がった。
「そうですか……。わかりました」
悔しそうにしながらラルフは生徒たちの中に消えていく。
他の生徒たちも諦めたのか、他のテーブルに散っていった。
カイン達四人はホッとし、また四人で軽食を摘み始めた。
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しかし、今度はターゲットが――カインになった。
「あの……。良ければし私たちともお話ししませんか……?」
振り向くと今度はガザール學園の制服を著たが五人ほどカインに集まってくる。
イルスティン共和國も一夫多妻制である。ラルフは婚約者がいると聞いて引き下がったが、たちは當てはまらない。
王や公爵令嬢の婚約者ということは、エスフォート王國でも上級貴族の子息であると推測はすぐにできる。
もし、気にってもらえれば、側室だとしても將來は安泰であるとたちも理解していた。
「えっ……、僕と!?」
頷くたちを見るが、テレスティア達三人には及ばないがそこそこのである。
思わず「いいよ」と言いそうになったが、後ろから殺気をじ、思わず振り向と――。
そこには――笑顔であるが、目は全く笑っていないテレスティアとシルクがいた。
まずいと思ったカインは、すぐに前を向き、後ろにいる二人に気にしながら返事を返す。
「良ければ……みんなで一緒に話さないかな? テレスもシルクもみんなと話したいと思うし」
カインにとってはそれが振り絞ってなんとか出した答えだった。
たちも王や皇などと話す機會など皆無である。喜んで頷き、同じテーブルを囲んで雑談に花を咲かせたのだった。
歓迎會も終わり、解散となったカインたちは午後から自由時間となった。
テレスティアたち三人は買いに行くことになり、カインは同行しようかと思っていたが。
「たまには私たちだけで行くのもいいかなと。えっと……そ、そう! カインくんに見せれないを買う予定だし。お洋服だけじゃなく……えっと……」
「そうですわ……さすがに恥ずかしいので……」
ガザールは貿易の街であり、各國からの輸出の場となっている。
宿から學園まで向かう間にも々な店があり、目を惹く商品も多かったのだ。
「うん、わかったよ。僕もちょっと街を見てくるね」
カインは宿を出て、街を散策する。雑貨店などを見たが、バルザーナから取り寄せた民族工蕓や、他國から輸された商品も並んでいた。
「あ、リバーシもあるんだ……」
カインは呟くと、後ろから店員に聲を掛けられる。
「おぉ、その商品はリバーシといって、エスフォート王國から取り寄せられた遊戯商品です。お一つどうですか?」
カインはまさか自分が考案者です、とも言えず苦笑しながら首を橫に振る。
店を出て、街を歩くが、ふと視線をじた。
(うん? 尾行されている……?)
一度立ち止まり、振り返ると視線は散っていく。
(まぁいいか……)
カインは街を歩くと、見慣れた看板を見つけた。
盾に剣をクロスさせた看板、冒険者ギルドである。
(どんな依頼があるんだろ……さすがに依頼をけるにもいかないけど……)
扉を開け中へると、視線が一瞬だけ集まるが、カインは制服を著ており、まだい冒険者が來ただけだろうとすぐに視線は散っていく。
依頼表を眺めていると、魔駆除や素材採集もあるが、やはり護衛の依頼が多かった。近くの街の場合は低ランクでもけられる。
危険が伴う場所を通る場合はCランクからとなっていた。
カインが依頼を眺めていると、後ろから聲が掛かる。
「ガキ、邪魔だ、どけっ」
振り向くとそこには數人の冒険者が四人いた。全員が二十代中頃だろうか、剣士二人に盜賊、あとは魔法使いであろう。
「あ、すみません……」
機嫌の悪い冒険者に対して、カインはそっと橫に避ける。冒険者たちはそのまま依頼表を味していく。
カインはそのままギルドを後にした。
(やっぱりつけられてる……)
そうじたカインは路地へとっていく。
探査サーチで探りながら進んでいくと、人気のない路地だからだろうか、隠れるつもりもないのか、五人の男が姿を現した。
「――何か用ですか……?」
男たちはカインの言葉ににやりと笑う。全員が冒険者なのであろう。皮の鎧を著て、腰から剣をぶら下げている。
「いやぁちょっと質のいい服を著たガキがいるから、お小遣いでももらおうと思ってな……。學生がこんなところにいたら……な?」
「そうそう。俺たち依頼を失敗してよぉ。し恵んでくれないかな?」
男たちはニヤニヤと笑う。
「それなら、自分のレベルにあった依頼でもけたらどうでしょう? こんな事をしたらギルド証剝奪の上、牢獄行きですよ? 僕も冒険者なのでそれくらいはわかっています」
カインの言葉にし呆気にとられた冒険者であったが、正論過ぎて大笑いを始めた。
「お前も冒険者か……。まぁ冒険者ギルドなんぞ、手を回せば何とでもなるし……な」
言葉と同時に、一人の男が毆りかかってきた。右の拳がカインの向かってくるが、一歩橫にずれ左手を添えて橫に逸らす。
呆れたカインはフゥとため息を一つつく。
「言っても駄目ですか……」
男たちは躱されると思っておらず、し驚きながらも警戒を強めていく。
カインを囲むように広がり、そのうち二人は剣を抜いた。
「あっ……剣抜いたら、もう終わりですよ? 弁明の余地もなくなりますし」
冒険者同士で剣を抜いたら、――殺し合いを意味する。
それは規約では明記されていないが、冒険者たちの中では暗黙の了解である。
カインを襲った男たちにとっては、ただの脅しのつもりかもしれないが、抜いてしまったら何をされても仕方ない。
「ふんっ、殺しはしねーよ。腕の一本は……もらうかもしれんがな」
カインを囲む五人にとってみたら、ただの遊びかもしれないが、自分たちが囲んでいる年が、まさか化けだとは知る由もない。
一瞬にしてカインがき、腹に一撃いれ、一人の意識を刈り取る。そしてもう一人は足首に蹴りをれ、骨を砕く。
剣を抜いていた二人は戦線離となった。
「――殘り三人ですね?」
カインの言葉と予想外の出來事に男たちは固まる。
ちょっとした遊びのつもりが虎の尾、いや……ドラゴンの尾を踏んだのである。
「――――失敗したな。くだらない依頼をけなければよかったよ……」
リーダー格と思われる男はため息をつきながら剣を抜く。
しかしカインはその小さな聲を聞き逃さなかった。
「――依頼? 僕を襲うのが……? それなら……余計に依頼主を吐いてもらわないといけませんね」
カインの殺気が一気に広がっていくと、男たちが震えはじめる。
「ば、化けかよ……畜生……」
その言葉を最後に三人は數秒でカインによって意識を刈り取られた。
カインの周りで転がっている五人を見下ろし、どうしようか悩む。
全員をロープで縛って連れていく事はできるが、いくら近いとはいえ、目立つに違いない。
そう思っていた時、路地に四人が新しく現れた。
「おう、殺気をじて來てみたら面白い事になってるな……ってお前、あのギルドにいたガキじゃねーか」
路地に新しく現れた男たちは、カインがギルドで「どけ」と言われた冒険者であった。
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