《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第十二話 兄弟
朝を迎え、生徒たちは馬車に乗り込み街を出発する。
これから向かう場所は、議會の街であるタンバールである。
生徒たちはそこで議會の見學などが予定されていたが、カインにとってはそこで賠償関係の話し合いが持たれることになっていた。
し気が重いと思いつつも、馬車の中で盛り上がるテレスティアたちの話に相槌を打っていく。
途中、一日宿場町に泊まり、二日目の夕方にはタンバールの街へと到著した。
「ここがタンバールかぁ……」
街の中心には大きな建が建っている。この國の象徴である議會會場がり口からでも見えた。
見學は明日からになっており、宿に到著すると部屋割をされ各自寛いでいく。
夕食が済んで全員が部屋に戻るが、カインにはやる事があった。
フォルトから街へ著いたらギルドに顔を出すように言われていたのだ。
カインは教師に事をしだけ話し、宿を後にしてギルドへと向かう。
教師にはテレスティアたちには絶対に伝わらわないように念押しをした。もしバレたら……。
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歩きながらカインは思わず震いさせた。
冒険者ギルドは街の中心から近い場所にあり、すぐにわかった。カインは扉を開け中へと踏み込む。
すでに外は薄暗くなってきており、依頼の報告をすでに終え、隣に併設されている酒場からは笑い聲が響き渡っていた。
なからずいる冒険者たちも、依頼がられている掲示板で、次の日の依頼を探しながら相談している者もいた。
カインがってきたことで、一瞬だけ視線が集まるが、制服姿の子供にすぐに興味はなくなり、視線はすぐに散っていく。
カインはそのまま空いているカウンターに向かい、付嬢に聲を掛ける。
「あのぉ……。フォルトさんからギルドに顔を出すように言われて來たんですけど……」
「フォルトさん……? ガザールのギルドマスターのフォルトさんですか?」
「えぇ、そうです」
「お名前を伺っても? 確認をしてきますので」
「カインです」
「カイン様ですね。では確認してきますので、しお待ちください」
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付嬢は、中へっていき奧に座っている上司と話し始めた。
上司はカインの名前を聞くと、勢いよく立ち上がり、カウンターへと出てきた。
「おまたせしてすみませんっ! シルフォー……カイン様ですね。フォルトより早馬で手紙がきており容については聞いております。ギルドマスターを呼びますので個室へご案いたします。ほら、すぐにお茶の用意をしてっ」
上司のあからさまな対応に、付嬢は首を傾げるが、カインのことを個室の応接室へと案する。
「では、こちらでお待ちください。すぐに參りますので」
紅茶を用意した付嬢は一禮し、退出していく。
そしてすぐに扉がノックされ、二人の男がってきた。一人は人間族の男で、もう一人はエルフの男であった。
二人は笑みを浮かべてカインの目の前に座る。
カインはその顔を見て、目を見開く。
「その顔は驚いているようだね、シルフォード卿。いや、義理兄にいさんと言った方がいいかな。ここのギルドマスターをしている、ラディンです。隣にいるのはサブギルドマスターのゴサックだよ」
「ゴサックです。シルフォード卿、よろしくお願いします」
笑みを浮かべるギルドマスターと名乗った青年は、エディンと変わらない容姿であった。
カインが驚くのも無理もない。
それよりも大事なことがあった。
(今、義理兄にいさんって呼んだよね……?)
「も、もしかして……」
「うん、想像通り。ティファ―ナ姉さんの弟ですよ。すぐ下のね」
想定外の事にカインは驚くが、気にした様子もなくラディンは話を始めた。
「フォルトから手紙はけ取っています。マルフ議員も一番手を出したらいけないところに手を出してしまいましたね」
「本當に……。これは議會が確実に大荒れになりますね。賠償金額もとてつもない金額になるかと……」
二人の説明では、議會で前世の裁判のように判決が言い渡されるらしい。一応はその場で釈明を聞くことになるが、今回については當事者を含め、全員が聞いており言い逃れはできないということだった。
すでに議會に事前に説明がいき、もう日程の調整もされていた。
そしてその日程は――カインたちエスフォート王國の生徒たちの見學の時間に當たっている。
実際に裁判を公聴するという、研修容である。
「……まさか……」
「うん、その日、エスフォート王國の生徒たちの見學もあるよね。その日程に合わせていると思う。他の生徒たちがいる手前、あまり強く言えないだろうと思われているんだろうね。マルフ議員もそれを狙って時間を指定したのかもしれない」
元々あまり大ごとにはしたくなかったカインは、一人で議會に行って早々に決著をつけようと思っていた。
教師には説明はしているが、他國で襲撃があったなど広まれば、イルスティン共和國としてもイメージダウンに繋がる。それを避けるためと考えていたのだが、マルフの考えは違っていた。
ラディンの考えでは、同をうようなことを言い出すだろうと説明がされていく、それで罰金がしでも減れば、ということだ。
「実際に、罰金ってどれくらいなんでしょう? この國の制度についてはわからないので……」
カインの問いに、ラディンはし考えて口を開く。
「五十枚、そんなところだろうね」
「金貨五十枚……。かなりの大金ですね」
金貨五十枚といえば、日本円にしても五千萬円になる。それなりの金額だ。通事故の示談金としてはもしかしたらもっと高額になるかもしれないが、幸いにしてカインは怪我もしていない。
しかし、ラディンは首を橫に振る。
「いや、白金貨五十枚だよ。全部がシルフォード卿にいくわけではないが……」
「えぇぇっ!? そんなに……」
罰金五億円。
相當な金額である。カインの資産も街の投資をしてそれ以上に持っているが、それでも何割を占めるかの金額になる。
「多分、議會に罰金として白金貨十枚、シルフォード卿に二十枚、そしてエスフォート王國に謝罪を含めて二十枚ってとこだね」
「罰金ってそんなに高いんですか……」
「いや、今回は特別だと思う。他國の上級貴族にあたる伯爵に襲撃をかけたんだ。たとえ息子が原因だとしても、それは狀の理由にならない。ましてや、この國の議員だしね。殆どの資産は沒収になると思うよ」
その後も議會で起こりうることなどを話し合った。
「ラディンさん、ゴサックさん。ありがとうございます」
「いいよ。義理兄にいさんになる人だしね。フォルトも明日にはこっちに來る筈だよ。當日は出廷する予定だから」
「わかりました。では、當日」
カインは二人と握手をし、ギルドを後にして宿へと戻った。
「また陛下に何言われるか……」
そんな事を思いながらカインは眠りへとついたのだった。
◆あとがき
こちらでも読んでいただきありがとうございます。
なろうのあとがきはノベルバに反映されないので、直接書き込みさせてもらいます。
々と問題があり、私も當初、今後、作品をこのまま殘すか悩みましたが、作品を確認したときには、すでに5千人以上の★がついておりましたので、そのまま作品を殘す方を選びました。
著者としての考えは、小説家になろうのポイントをもらえれば嬉しいですが、いかに多くの読者に読んでもらうかだと思っております。それは「小説家になろう」問わずです。実際に規約変更になるまでは、「アルファポリス」でも転載していたくらいですし。
一番は書籍を購して応援していただけるのが、一番ありがたいですが(笑)
しかしながら今後は作業としては手間が増えてしまいますので、こちらではし遅れての投稿になるかと思います。更新を早く読みたい方は小説家になろうにて確認をお願いいたします。
基本的に土曜朝7時更新にて進めております。
最後に宣伝となりますが、5月15日に3巻発売になります。お近くの本屋などで手にとっていただけたら幸いです。
これからも『転生貴族の異世界冒険録』をよろしくお願いいたします。
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