《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第十四話 魔族の正
開始のかけ聲と共に、ガームズは剣を擔いだまましずつ魔族のへと近づいていく。
  自分の手を見て苦々しい表をしながらも、魔族のは距離をとるようにいていった。
 「あれ、魔族って魔法が得意じゃないのかな……」
  カインが小聲で呟くと、後ろにいたメイドが説明をする。
 「結界を張っておりますが、強力な魔法では観客に被害が及ぶ可能がある場合、念のため魔法封じの腕をつけております。一割程度の威力しか出ないものと思われます」
 「……そうですか、ありがとうございます」
  カインは説明してくれたメイドに禮を伝え、視線を魔族のへと送る。
  その魔族のの手首には、金屬で出來た腕が巻かれていた。
 (あれか……。なんとかして解放出來ればいいんだけど……)
  ガームズは剣を構え、一気に詰め寄っていくが、魔族のは逃げるように距離を取ろうとする。
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  しかし、さすがSランクの冒険者というべきか、逃げる方向へ咄嗟に向きを変え、剣を振りかぶる。
  が一枚斬られながらも、魔族のはを躱していく。
 「ふんっ、なかなかやるな。さすが魔族ってことか……」
 「この腕さえなければ、お主など數秒で灰にしてやるものを……」
  苦々しい表で自分の腕につけられた腕に視線を送り、また、ガームズを警戒する。
  魔族のは火魔法を使うが、現れるのは頭大の火の塊である。それが三つほど現れ一気にガームズへと飛んでいく。
 「こんなもんか。ふんっ」
  ガームズは剣で火の塊を一気に斬り払った。
  それからはガームズの一方的な攻めになっていく。
  観客達はそれに伴い盛り上がっていくが、一緒に見學している生徒達の表は険しい。
  魔との戦いでは盛り上がっていたが、魔族とは言え外見が人間と大して違うわけではない。
  テレスティアたちも揃って顔をし青ざめさせながら、ハンカチで口を押さえながらその同行を伺っていた。
  次第に魔族のはガームズのの刃の餌食になっていく。
  あちこちが斬られ、流が地面を濡らしていく。
  カインは見てられず、「ちょっと席を外す」と言って部屋を出た。
  そして、トイレへと行く。
  その數分後。
  銀のマスクをして、黒いフード付きマントに覆われた者が突如、闘技場の真ん中に姿を現した。
  突如、人が現れれば観客も驚きの聲が上がる。
 「いきなりの者だぁぁぁぁぁぁぁ!! 誰もいなかったはずなのになぜっ!?」
  司會の聲が観客席に響き渡った。
  しかしガームズは気にした様子もなく、その男に聲を掛けた。
 「なんだい? ショーの邪魔をしにきたのか……? なら、お前から先に始末させてもらうぜ?」
  剣を振りかぶり男に斬りかかるが、男は一歩だけいてその剣を躱す。
  そして後ろに飛び、距離を取ったところで、やっと男が口を開く。
 「この魔族のは僕がもらっていきますね。この人に何かあったら、多分――――人族と魔族は戦爭になると思いますし」
 「……うん? 隨分若い聲をしているんだな。まだ――ガキだろう……。それに戦爭、大いに結構じゃねーか。それだけ斬れるってことだろ」
  にやりと笑うガームズに男はため息をつく。
 「それは困るんですよね。々と……。それに戦爭になったら、この國は滅びますよ? 簡単にね」
 「…………お前も魔族か。それだけ知っているってことは」
 「……そこは関係者ってことで」
 「まぁ、いいや。お前から相手にしてやるよ」
  その言葉を最後に、ガームズの殺気が一気に膨れ上がる。そして男へと一気に詰め寄った。
 「仕方ないよね……」
  男はそう呟くと、頭から勢いよく振り下ろされる剣を片手で摑む。
 「なっ!?」
  その瞬間に、男はガームズの懐にり込み、腹に拳をめり込ませる。
  ガームズのはくの字に折れ曲がり、そのまま宙を舞い十メートルほど飛んだところで地面に転がり、そのまま失神した。
 「なんということだっ!? フードの男は一!? あの、ガームズが一撃だとっ!!」
  観客達は盛り上げるためのイベントなのかと思い、大いに歓聲が湧く。
  そしてフードのままの男は、魔族のへと近づいていく。そして數歩のところで立ち止まった。
 「お主は魔族では――ないな? 同じ人間であろう。なぜ妾を助けた……?」
  腕から流れるを押さえながら話す魔族のに男は言葉を返す。
 「魔族には知り合いがいてね。一度、一緒に來てもらってもいいかな? 回復魔法も掛けたいし。その腕も邪魔でしょう」
 「確かに……。名も知らぬお主についていくのも良いかもな。ここにいても同じ事になりそうだしのぉ」
  男はフードを被ったまま、軽く頷くと、魔族のの肩に手を置き『転移』で一瞬にして消えた。
  その場は意識を失っているガームズだけが取り殘されたのであった。
  ◇◇◇
転移した先は、誰も居ない応接室。
 「隨分といい部屋じゃの。妾をこんなところへ連れてきて、何が目的じゃ?」
  魔族のの問いに男はフードをぎ、仮面を外す。
  その男の正に魔族のは目を見開く。
  カインは特に気にした様子もなく、笑みを浮かべた。
 「まずは、回復魔法を掛けますね。『ハイヒール』これくらいの傷なら問題ないでしょう」
 「……まだ年とはな。その年で転移魔法までも……謝するのじゃ」
  自分の傷を確認しながら、魔族のは笑みを浮かべ謝の述べる。
 「あと、その腕があったら魔法も使えないでしょう。外しちゃいますね。ここは僕の家だから壊さないでくださいよ?」
 「そこまで恩知らずではないのじゃ。を守る時は仕方ないがのぉ」
  カインは魔法で腕の魔法を解除すると、腕は何事もなかったのように外れて床に転がった。
  そのままソファーに座るように促し、カインも対面に座る。
 「まずは、自己紹介をしますね。僕の名前はカイン・フォン・シルフォード・ドリントル。エスフォート王國で伯爵の位にいます。先ほどまでいたイルスティン共和國の隣の國ですね。カインと呼んでもらって構わないです」
 「妾もせねばならぬな。妾の名前は……リザベート・ヴァン・ベネシトスじゃ。お主ならリザと呼ぶことを許可しよう」
 「なら、リザって呼ばせてもらうよ。すぐに紅茶の用意はさせるから、すぐに來ると思うし」
  そのカインの言葉と同時に扉がノックされた。
  カインが許可を出すと扉が開き、ダルメシアがってくる。
 「カイン様、お戻りで。お客様です……ね……」
  その言葉と同時に、ダルメシアはその場で膝をついて頭を下げたのだった。
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いつもありがとうございます。
リザベートの正はいかに?次話をお楽しみに。
5月15日には3巻が発売されます。お近くの書店、またはネットなので購していただけると、次巻に向けて頑張れます!是非、よろしくお願いいたします。
また、コミカライズもスタートしております。第2話まで公開しておりますので、『マグコミ』で検索していただけるとすぐにわかると思います。
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