《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第二十七話 ドリントルへの帰還

馬車から気づかれないところで著地したカインは、駆け足で馬車へと近づいていく。

本気を出せば気づかれないスピードで走ることもできるが、流石にそうもいかず馬車よりし速いペースで駆け寄っていく。

後方で護衛をしていた冒険者達は、走ってくる者に警戒をし、剣を構え前方へと合図を送った。

「待ってください。カインですっ!」

カインは両腕を大きく広げ、手を振りながら近づいていく。

制服姿と忘れられないような偉業をしたカインの顔は、冒険者達もすぐに気づいた。

護衛たちは慌てて馬車を停めるように指示を出す。

「ふぅ、気づいてくれて良かった」

安心するカインに、停まった馬車からは教師や生徒たちか次々と降りてきた。

教師たちもカインの顔を見て安心したかのように頬を緩ませせ、生徒達も同様であった。

しかし、テレスティアとシルクはカインへと走り寄り――そのまま抱きついた。

「カイン様、心配したのですよっ! すぐに馬車で出発してしまいましたし……」

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「そうだよっ! みんな心配したんだからね」

「ごめん。でも、もう片ついたから。騎士団に任せたから大丈夫だと思う」

確かに襲撃者たちはすでに王都に連行し、騎士団に引き渡したから問題はなかった。

王都にいるコルジーノ派の貴族達も、すでに國王の指示のもと近衛騎士団が捕縛へと向かっている。

何もないことを祈りながら、カインは皆に挨拶をする。

「みんな、々と迷をかけてすみませんでした。バルド子爵の件がありますし、テレンザの街は寄れないから、良かったらドリントルで疲れを癒やしてくれれば……。もちろん先生達の許可がもらえたらだけど……」

カインの言葉に生徒たちは歓喜する。

襲撃もあり神的にも疲れていた生徒達は多數いた。生徒のほぼ全員が貴族の子息であり、戦闘を初めて見た者もいる。

教師たちもストレスを懸念しており、どこか安心して休める街を探していたのも事実だ。

しかし、この人數がいきなり街を訪れ、王や貴族令嬢を泊めてもらえる場所などないに等しい。

肝心のテレンザは襲撃を行ったバルド子爵が治める街であり、向かう訳にもいかなかった。

教師たちも快く許可を出した。

教師達は生徒を馬車へと戻るように伝え、カインは先頭で護衛をしている近衛騎士団とクロード達に挨拶をする。

「クロードさんお待たせ。護衛ありがとうございました。とりあえずは何とかなったよ」

「まぁカインなら何が出ても問題ないとは思ってたけどな。とりあえずドリントルの街へ向かえばいいんだな」

「クロードったら、また忘れてる。カインは今は伯爵様なんだから言葉使いに気をつけなさいって何度言えば……」

「リナさん、大丈夫ですよ。一応護衛の任務もけてますしね」

カインの言葉にリナは大きくため息をつき、クロードへの小言は終わった。

「ミリィ先生、ニーナ先生も護衛ありがとうございました」

「いいんだよ、襲撃の時は助かったしな。カインがいなかったら流石にな……」

ミリィは苦笑し、ニーナは無言で頷く。

その後、近衛騎士団にも行き先を伝え、禮を言ってからカインは馬車へと戻った。

近衛騎士団はカインの実力を再度確認し、張した様子でキビキビと返事をしていた。

そしてカインはため息をつきながら馬車の扉を開けた。

勿論乗っているのはテレスティア、シルク、リルターナである。

「みんなお待たせ」

カインは席に座ると、馬車はゆっくりと進み出す。

三人の表は真剣であった。

そしてテレスティアが口を開く。

「カイン様、何をしてきたのか教えてもらえますか?」

テレスティアの問いかけにどこまで答えればいいのかし悩み、掻い摘んで説明をした。

今回、マルフ元議員とコルジーノ公爵が裏で手を組み、襲撃事件を起こしたこと。

コルジーノ派であった、バルド子爵の手勢が加わり襲撃が行われたが、全員捕縛されて王都へと輸送中であること。

(まさか、もう王都に運んだとは言えないよな……)

カインの説明に、テレスティアとシルクは眉間にしわを寄せる。

王族への襲撃は死罪である。公爵令嬢や他國の皇までいるのだ。

これは覆るものではない。

「これはお父様に伝えて、然るべき処分をしていただけねばいけません」

「……うん、そうだね」

もう伝わっているとはカインは言わない。

そして質問攻めにあいながらも、ドリントルへと到著したのだった。

ドリントルへ行くことは、野営の際に転移魔法ですでにダルメシアに伝えてある。

口で止められることもなく、馬車は領主邸まで進んでいく。

すでに屋敷の前には従者一同が並んで待っていた。

馬車から降りる教師は生徒たちは、その屋敷城を見上げる。

「相変わらずこの城すごいよな……」

「本當に……。王城と変わらないよね……」

生徒たちの言葉にカインは苦笑する。

(頼むから〝城〟って呼ばないでよっ)

そんなカインの思いは通じることもなく、生徒たちは城の話で盛り上がりながら従者の案によって生徒たちは屋敷へとっていく。

テレスティアたちも行くときと同じように部屋に案され、湯浴びと著替えを済ませた後、応接室でダルメシアが淹れた紅茶を楽しんでいた。

「ふぅ、やっと落ち著けましたね」

「うん、そうだね。今回は本當にどうなるかと」

「でも、こうして無事ですし」

テレスティア、シルク、リルターナの三人はのんびりと今回の出來事を話し合っていた。

カインもわれたが、代のアレクと打ち合わせがあると一度席を外している。

學園の研修とはいえ、貴族當主にはいろいろなしがらみもあり、貴族としての役目を行うことは咎められることはない。

基本的に貴族の子息であることが多く、當主が學生なこと自珍しいことであったが、前例がないわけでもなかったことが幸いした。

カインは打ち合わせをさっさと済ませ、テレスティアたちがいる応接室をノックしてる。

「みんなお待たせ」

カインは空いている席に座るとダルメシアがそっと紅茶を目の前に置いていく。

「二日ほどこの街にゆっくりしてもらうことが決まったよ」

カインの言葉で彼たちは頬を緩ませる。

そしてカインは言葉をつづけた。

「もしよければ明日はドリントルの街を案しよ――」

その瞬間、急に扉が開かれた。

「カインが帰ってきてると聞いたのじゃが……。おぉここにおったのか!」

扉を開けてった來たのは、――――リザベートだった。

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