《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第三十話 事件の報告
エスフォート王國では今回の事態を説明するために、ほとんどの貴族が集められた。
王城では貴族たちを迎えるために大忙しとなっていた。基本的に全貴族が招集をかけられており、何かしらの問題で王都へ向かえない場合は代理の者が登城していた。
そんな中、カインは教會を訪れていた。
邪神の使徒になっていたコルジーノについて聞くために。
七柱の前で膝をつき、手を組んで祈ると、いつものように視界は真っ白い神の世界へと変わっていた。
そしてゼノムはカインに席に座るように促す。
しかし今日の神々はいつもと違い渋い表をしていた。
きっとカインがアーロンと対峙することになったからであろう。
「……カイン、見ていたぞ。まずは謝する。まさかアーロンが意識を取り戻しているとは……」
ゼノムが軽く頭を下げた。
「今回は近くにいたので対処できましたが、これが他にも……?」
カインの問いに、ゼノムは頷く。
「アーロンは封印したときにいくつもの寶玉の欠片に封印され、各地に隠されておる。お主の住む街の近くにあるダンジョンの奧地でも見たであろう」
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カインはストレスで一度ドリントルの森にあるダンジョンへと赴いた時に出會ったエンシェントドラゴンを思い出した。
(そういえば何かを封印していると言っていたな……)
「そうだ、あのダンジョンのようにこの世界に分散させ封印しているのだ。しかしながら場合によっては発掘され人の手に持って持ち去られてしまっているもある。それが今回の一つじゃ」
「これから先、同じようなことがあるかもしれないと……」
「うむ、封印はされておるが、寶玉に魅られてしまう可能もある。その力を得たときにどうなるかは本人次第ではあるがな……。悪の手に渡ることだけは避けたい」
「わかりました。もしその時は僕の手で……」
「頼んだぞ、カイン」
教會に戻ったカインは馬車に乗り、王城へと向かう。
これから今回の説明が貴族達にされるのだ。それだけコルジーノ侯爵が企てた事は大きかった。
そして、その一派を解する意味も含まれていた。
カインは上級貴族である伯爵位にあたるため、ホールにるとすでに子爵以下、下級貴族たちは中で待っていた。
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いくらカインがまだ人していない子供であろうが、下級貴族から聲をかける訳にもいかない。
「シルフォード卿、ご無沙汰してますな」
そんなカインに聲がかかる。
振り向くと、その顔を見てカインは頬を緩めた。
「ご無沙汰しております、――サントス卿」
サラの父親であり、カインの祖父にあたるゲレッタ子爵であった。
「これだけの貴族が勢揃いするとは……。何があったのかのぉ……」
カインは事の顛末は知っているが、ここで話すべきではないと容については口を結んだ。
しかもイルスティン共和國との渉については、カインはまったくタッチしておらず、どうなったのかも知らない。
「あとで説明があると思いますが……。さすがにこれだけの人數が集まると壯観ですね」
「うむ、そうじゃな。あ、足を止めさせて済まぬな。今度時間があるときにでもまた話をしよう」
「そうですね。そのときは是非」
カインは軽く一禮して自分の立つ位置へと移した。
貴族が揃い、國王の出る合図がホールに響き渡る。
全員が席を立ち、に手を當て頭を下げる。
そして國王が登場しゆっくりと玉座に座った。
「皆の者、楽にしてよい」
その言葉に、頭を上げ席に著席する。
「今回は全員に説明を必要があった。忙しい中、王都まで出向きご苦労であった。マグナ頼む」
國王の言葉に、マグナ宰相が資料を手元に持ち、説明を始めた。
その容は衝撃的て、參列した貴族達から大きな聲が上がるほどであった。
コルジーノ侯爵が計畫をたて、王立學園のイルスティン共和國の研修の際に起こした、襲撃事件。
そしてコルジーノ侯爵本人による心行為。
しかも襲撃においては、イルスティン共和國の元議員、闇ギルドと結託し、そして王國側からもテレンザの街より兵をだし襲撃を行ったこと。
襲撃されたのは、第三皇であるテレスティアをはじめ、貴族の子息が多數おり、カインの名前も挙がった。
そして、カインによる活躍により、その全ての事件が解決されたと説明を終える。
説明を終えたマグナ宰相が下がり、代わりにエリック公爵が前に出た。
「それではイルスティン共和國との渉について説明する。まずは――領土の譲渡が決定した。イルスティン共和國のエスフォート王國側の領地を一部、王國に譲渡されることとなった。そして――――」
イルスティン共和國との渉では、領地の譲渡、そして賠償金の支払いだ。
賠償金に関しては、カインが街で襲撃をけた賠償金とは桁が違っている。
賠償金は白金貨一萬枚、日本円にして一千億円。
しかし、そんな費用は一度に払えるはずもない。一度に払ったらその國家は破綻する。
イルスティン共和國からは、十年にかけて支払いが行われることになった。
正直、こちらには被害は一切ない。
しかしながら、王國の王族、貴族當主のカイン、そして貴族の子息含めての襲撃である。
『戦爭をしますか』
そう言っているのと同じであった。
エリック公爵からの説明を終えた。
「最後だ。マグナ、説明を頼む」
再度、マグナ宰相が出てきた。
「――カイン・フォン・シルフォード・ドリントル伯爵、前に」
いきなりカインは呼ばれたことに愕きながらも、國王の前に行き、膝をつき頭を下げる。
「カイン・フォン・シルフォード・ドリントル、ここに」
「面おもてをあげよ」
國王の言葉にカインは顔を上げた。
國王の顔は何かを企んでいるような笑みを浮かべ、そしてカインは不安になる。
「この度の功績見事であった。お主がいなければ――我が娘を含めどうなったかもわからぬ。そして、コルジーノの相手もすまぬな……。マグナ、説明をしてくれ」
「はい、陛下。シルフォード卿、この度の功績を持って辺境伯に陞爵しょうしゃくとする。そして、テレンザの街、そして今回新しく我が國の領地となった場所を治めよ」
(陛下の狙いはこれだったか……)
「――――カイン・フォン・シルフォード・ドリントル、必ずや王國の繁栄のために務めていきます」
しかし、反対の聲は必ず上がる。コルジーノ侯爵がいなくなったとはいえ、まだその派閥もいるのだ。
「しお待ちを。今回のイルスティン共和國の襲撃と、コルジーノ殿の心は同時期と説明がありました。そしてそれが二つともシルフォード卿によって制圧されたと……。どう考えてみてもおかしいのではないのでしょうか……。距離を考えても」
きっと參列している貴族の誰もがそう思ったであろう。
わかっているのはカインが転移魔法を使えることを知っている貴族だけだ。
しかし、これについてはすでに打ち合わせ済みであった。
どうしても事件の説明には矛盾が生じてしまう。そこでマグナから事前に説明をけていた。
一日に一度だけ、莫大な魔力を使って転移が行えると公表する。と……。
まだ未年のカインに、王國がここまで重要視する理由にもなる。
テレスティア、シルク、ティファーナがこぞって嫁ぐほどなのである。
それだけ転移魔法は伝説とされているのだった。
「それについてはわしから話そう。このシルフォード卿は……『転移魔法』が使える。あの伝説と言われるな。そして、今回の襲撃事件の際、説明をするためにイルスティン共和國から王都まで転移魔法で來ておったのじゃ。それでいいか……?」
國王の言葉に參列者の誰もが――言葉を失う。
伝説の転移魔法。それは初代エスフォート王國の國王であり、勇者であるユウヤが使っていたとされる魔法である。
「――――シルフォード卿は……もしかして……勇者……?」
異論を述べた貴族も國王の顔を見てを鳴らす。
しかし、國王はその言葉に首を橫に振った。
「それは違う。初代國王は異世界より召喚されたと言われておる。そこのシルフォード卿はガルム卿の息子であるからな」
「それでも、このエスフォート王國の國防は全てシルフォード家が行うことになってしまいます」
カインもそれは思っていた。エスフォート王國で現在『辺境伯』と名乗っているのは、父親のガルムだけである。
辺境伯とは獨自の軍を持ち、その意思で敵國と戦うことが出來る。
ガルムも辺境伯として、トリス子爵とともにラメスタの砦をバイサス帝國より守っているのだ。
エスフォート王國は、北東にイルスティン共和國、西にバイサス帝國、そして南東にマリンフォード教國に囲まれている。
マリンフォード教國に面したところに辺境伯を配置したら、それこそ問題となる。
そして今までは、イルスティン共和國とは貿易を主としており、戦闘も過去になく配置していなかった。
しかし今回の件で、王國の領土を広げたことで、そこを守る必要がある。
だからといって、全てシルフォード家に任せてしまえばいいという訳でもない。
もしシルフォード家が反を起こしたら……。そう誰もが危懼するであろう。
「それについては問題ない。シルフォード卿には我が娘、テレスティアが嫁ぐ予定だ。そして、新しく第二王子ロランの正妻に、シルフォード家長――――レイネ嬢を貰いけることになった」
「えぇぇぇぇぇええええええ!?」
國王の言葉に、カインは愕きのあまり聲を上げてしまった。
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