《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第三話 出発
セトの言葉に応接室の中は沈黙になった。
カインは見上げた顔を戻すと、目の前には真剣な顔をした國王がいた。
 
「カイン……國王譲るか?」
 
國王の一言に思わずカインは首を勢い良く橫に振る。
 
「いやぁ、カインくんなら出來るだろうけどね。世界征服」
 
こんな時でも笑顔のエリック公爵に思わずカインは苦笑する。
 
「そんな、セトの冗談ですから。間にけないでください」
 
世界征服などカインには興味はない。今は魔族との戦爭になる可能を回避することが大切であった。
 
「まぁ、出來ないことではないだろうが、お主には興味はなさそうだしの。それよりも魔族の國への対応か……。今は仕方あるまい。誰かをお主に同行させたいが、リザベート殿、可能かのぉ?」
「我が國を問わず、魔族の國は武力を持って対応する必要があるのじゃ。弱い者が何を吠えても誰も聞く耳持たん。武を持って言えるのであれば可能じゃが、カインと同等の事を出來るのはいるのかや?」
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リザベートの言葉に沈黙が走る。カインと同等の武力などいるわけがない。
國王はため息を一つ吐き口を開く。
 
「リザベート殿、できれば戦爭は回避したい。カインとともに協力していただけるかな」
「もちろんじゃ、妾も人族は嫌っておらん。特にカインの家で食べる食事は好じゃしのぉ」
 
無邪気に笑うリザベートに國王たちは苦笑する。
そして正式にカインが魔族の國へ同行することが認められた。
カインは辺境伯としての立場はあるが、未だドリントル以外の領地については引き渡されていない。
マグナ宰相から、引き渡す街の帳簿がコルジーノの手により大きく改ざんされており、再度見直しを行なっている最中であると説明が行われた。
引き渡しを行うまで數ヶ月の調査が必要と報告をけ、カインはしホッとする。
 
(この狀態で引き渡されても何もできないからな……)
 
「シルクたちには上手く説明しておくよ。また勝手に他國に行ったと知ったら怒るだろうしね」
 
カインはエリック公爵の言葉に大きく頷いた。
テレスティアとシルクの二人を怒らせると怖いとカインはをもって知っている。
 
「カインよ、戦爭は回避するようにするのじゃ。戦爭は我が國だけの問題ではない。わしはこれから他國へと連絡をし、何があっても対応できるようにしてくつもりじゃ」
 
真剣な表をした國王に、カインは表を引き締め頷いた。
 
◇◇◇
 
王城を後にし、王都の屋敷からドリントルへ転移すると、すでにダルメシアが魔族の國へ行く用意がされていた。
 
「リザベート様の荷は用意を済ませております。カイン様のもすでに」
 
カインはまとめられた荷を次々とアイテムボックスへしまっていく。
 
「カイン、不在の間はこちらに任せておけ」
「アレク兄さま、よろしくお願いします」
 
カインは軽く頭を下げた。
 
「では、私が一度我が國へ連れていきますね。皇國は転移魔法の阻害措置がとられていますから」
 
カインも転移魔法を使うことができるが、魔族の國へと行ったことはない。転移魔法は一度訪れた場所しか行くことは出來ない。だからセトかダルメシアが魔法を使う必要があった。
カイン、リザベート、ダルメシアがセトのに手をれ四人は転移した。
 
「また問題を起こさなければいいんだけど……」
 
一人だけ応接室に殘ったアレクは呟いた。
 
転移した先は、城の謁見の場のような広いホールだった。
高くとられた天井には絵が彩られており、エスフォート王國と変わらない雰囲気である。
 
「ここが我が城のホールだ。一度客間に案しよう」
 
セトが戻ってきたとこ察してか、數人のメイド服をにまとったの魔族が現れた。
 
「セト様、おかえりなさいませ……って!?」
 
メイドのはダルメシアの姿を見て驚きの表をする。
元四天王でありながら、今は一線を退いている。
四天王でいた時には城の管理を一手に行い、メイドたちからの信頼も厚かった。
 
「も、もしかして、ダルメシア様がお戻りに……!?」
 
しかし、ダルメシアは首を橫に振る。
 
「私はすでにこのカイン様に仕えておりますので、この城に戻ることはありません。それよりも皇殿下を部屋に案を……」
 
ダルメシアの言葉に、先程以上に目を見開き、そして一緒にいるに視線を送る。
 
「し、失禮いたしましたっ。すぐにご案を。用意ができまでの間、応接室にご案いたします」
 
メイドは先頭に立ち、カインたちを応接室に案した。
 
「こちらでございます」
「うむ、いい選択だな」
「は、はいっ! ありがとうございます」
 
セトではなく、ダルメシアに褒められた事にメイドの頬を紅く染まり、深々と頭を下げる。
案された応接室で四人は向かい合って席に座る。
 
「まずは國だけでもまとめておかないとな……」
 
戦爭抑止にいているセトであったが、やはり開戦派の者もなからずいる。
リザベートの姿を見せ、戦爭をする必要がない事を知らしめなければいけなかった。
 
「リザベート様、二日後までにこの國の上級魔族たちを集めます。そこで顔を見せていたけますか」
 
セトの提案にリザベートは力強く頷く。
 
「そうじゃのぉ。まずはこの國だけでも協力してもらわないと困るのじゃ」
 
リザベートは皇族とはいえ、次の皇帝ではない。そしてとしての知名度も高いが、権力を持っているわけでもないのだが、魔族各國にとっては象徴でもある皇族が、人間が治める國で奴隷とされていた事が戦爭の発端である。
リザベート本人が姿を民衆に見せることによって、戦爭へと向かう気持ちを抑えようということになった。
 
そして二日が経った。
 
 
 
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