《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第六話 リザベートの提案

見學していた一行は無言のまま馬車へと乗り込み、城へと戻ってきた。

謁見の場所へと整列し、セトが魔王である玉座に座り、その両脇をカインとリザベートが座していた。

「――――それで反対の者はいるか?」

セトの言葉がホールに響き渡る。

しかし反対の言葉は上がらない。

あの圧倒的な魔力、セトの隣にいるカインが本気を出したらこの國は終わる。だれもがわかっていた。

そんなカインと友誼を結んでいるセトの意見に逆らえるはずもなかった。

「他に意見がなければ、人族との戦爭に反対を貫く。リザベート殿下がこちらについておられる。そしてカイン殿もな」

セトの言葉に參列した貴族たちは一斉に頭を下げた。

「リザベート殿下、この國は殿下の支援をすることで一致しました」

「セト殿、我が意思に賛同いただき謝する。まぁ、もし……裏切りなどしたら、その治めている領地があの――小島のようになるだけじゃがの」

笑いながら言うリザベートの言葉に、參列している領地持ちの貴族達が震え上がる。

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実際に他國の貴族とのやりとりをしているものもおり、參戦派に協力するように働きかけていた者もいた。

しかし、もし自分の治める街がセトの協力者であるカインの攻撃をけたら、と考えたら誰もが口を紡ぐ。

それだけインパクトのある魔法であった。

実際にカインも帝級魔法を撃てたことに満足していた。

(流石にあそこまで威力があるとはな……。普通に街が破壊されるレベルだよ……。ユウヤさん何考えているんだ……)

「それでは散會とする。主要大臣はこのまま殘って協議とする」

司會を務める宰相の言葉でセトたちは退出し、參列していた貴族たちも城を後にする。

しかし目の前であった信じられない景を誰もが忘れることができず、話題に上がることはなかった。

“魔王セトの友人は魔族國全てを相手にしても負けることがない”

リザベートが話したことが現実だったことに焦りを覚えながらも貴族達は帰路についた。

◇◇◇

會議室の空気は重いものだった。

気なセトとは別に主要大臣はカインの実力を確認したことで文句も言えない。

完全に戦爭反対派として発表することになった。

翌日には公布され、それと同時にセト、リザベート、カインは皇國に訪れることが決定した。

會議が終わった主要大臣たちは、公布のためにすぐに退出し、三人だけが殘った。

「セト、ありがとう。これで戦爭がなくなればいいんだけど……」

「しかし、戦爭反対派はまだ數。皇國が開戦を取りやめなければ意味がないからな……」

実際にセトが治める國が反対を表明しても、皇國と対峙するだけに過ぎない。

開戦派が多ければ多數による意見によって握りつぶされる可能もあった。

しかし、セトはリザベートがいることに負けることはないと考えていた。

それだけリザベートは魔族國の中で人気が高い。

だからこそリザベートが奴隷になったと噂が流れ戦爭になりそうなのだが。

「開戦派の街をいくつか滅ぼせばよかろう。なんなら皇國の城を潰せば良い」

リザベートは笑みを浮かべて言うが、カインとしては大量殺人を冒すつもりもない。

ならまだしも、相手は會話が通じる魔族である。しかも大多數が戦爭とは全く関係ない者ばかりである。

戦爭を回避するために大量殺人を侵したら意味がない。

「リザベート、さすがにそれは言い過ぎだよ」

「むぅ、なら兄上だけでも潰しておけば問題なくなるのじゃ」

強烈な意見にカインとセトは苦笑する。

リザベートが言っているのは、次期皇帝である皇太子を潰せと言っているのだ。

「まずは明日から、皇都に向かう。カイン様、よろしくお願いします」

セトは頭を下げる。誰かがいる時は友人のように接するようにと言われているが、三人だけの場合ははっきりと主従の區別をつけているセトにカインは手を左右に振り、頭を上げるように伝えた。

「戦爭になってしくないし、これくらいなら協力するよ。國王からも任されているからね」

打ち合わせが終わりカインが客室で休んでいると、扉がノックされた。

許可を出すと、部屋にってきたのはリザベートだった。

「遅くにすまんの。し相談に乗ってもらって良いかの」

「あぁ、まだ眠るには早いし問題ないよ」

ベッドから起き上がったカインはソファーに座り、その向かいにリザベートが座った。

「それで……相談って……?」

「それなじゃがな……。妾は皇國の――――次期皇帝を目指すことにする。馬鹿兄に治めさせて悠々自適な生活を送るつもりであったが、きっとそうもいくまい。それでじゃ……」

しだけリザベートは俯き、次第に顔を赤くしていく。

指先を絡み合わせ、何か言いたそうに上目遣いでカインを見つめた。

「うん? リザベート、どうしたの……?」

首を傾げて聞くカインに、リザベートは顔を上げ、一直線にカインと視線を差する。

その目には力がこもっており、カインはその瞳に吸い込まれるように魅了される。

「妾がもし、皇帝になった暁には……人族との架け橋のために、妾と――――」

リザベートはそこで言葉を止め、膝の上で両手の拳を強く握りしめた。

「――婚姻を結んでしいのじゃ!」

その衝撃的な言葉に、カインは絶句したのだった。

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