《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第八話 リザベートのウソ
応接室に移ったカインは向かいに座るセトとレファーネに事を説明していた。
リザベートの著替えは違う部屋にあり、自室に戻って著替えてから合流する予定となっている。
出発するのは午後からに変更され、ダルメシアが紅茶の準備をしていた。
「それにしてもカイン様もやるなぁ。まさか殿下にまで手をつけるなんて」
「だから違うんだって……。リザベートが來たら説明してもらうから……」
軽口を言うセトとは別にレファーネは厳しい表が続いていた。
扉がノックされ、著替えを終えたリザベートが部屋にってきた。
何も言わずにカインの橫に座る。
しかし、座った場所はカインの肩がれる程著した場所だった。
「皆さま、おはようございます。先程は恥ずかしいところを……」
頬を染めながら挨拶するリザベートにカインは苦笑する。
「それでは、聞きましょうか。何故、二人は同衾を……? 殿下もわかっているのでしょう。同衾の意味することを」
全員揃ったところでレファーネから確信めいた質問が飛び出した。
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「夜に次の日からの話をしていました。それで、リザベートが一緒に寢たいと言い出して……それで……」
「だからといって、男が一緒に寢たら問題あるのは、カイン様も十分ご存知の筈では……?」
「それについては、リザベートが……。未年については同衾については問題ないと……ねぇ?」
同意を求めるように隣にいるリザベートにカインは橫を向く。
しかし上目遣いで見上げたリザベートは舌を出してはにかむように笑った。
「えへへっ。噓ーー言っちゃった」
「そ、そんなぁ……」
いつもは靜かで大人しいリザベートであったが、しだけ頬を染めながら答えた。
肩をがっくりと落とすカインであったが、レファーネの表は未だに厳しい。
「それで……未婚の、しかも皇殿下と同衾した責任をどうとるつもり?」
カインも一人の一存では答えることは出來ず、セトに視線を送るが、レファーネの怒気にれたせいか、下を向いて言葉を発することはない。
そんな時、ダルメシアは笑みを浮かべ口を出す。
「レファーネ様、カイン様も急にそんなことを言ってもすぐに答えは出せません。あくまで人族の貴族ですから。しかも皇殿下は今は大切な時期でございます。できればし時間を置いてから再度話し合うのが最善かと」
レファーネは怒ると容赦がない事はダルメシアも重々承知している。
すでに一度は蟲の息になる程追い詰められたこともあった。
だから、焦點をカインとの仲よりも、帝都での問題を重視するように助言した。
に一途なレファーネとはいえ、今は國の一大事だということは納得している。
もし、戦爭が起こったら、カインは人族として立ち、敵になるのだ。
セトからも伝えられており、もし、人族と戦爭になったら魔族はーー滅ぶ。
だから絶対にカインと敵対してはいけないと。
セトから最初に説明された時は、信じられなかった。
こんな可らしい年が本気を出したら國が滅ぶ? 普通に考えたらありえない。
脳をフル回転させたレファーネは、大きなため息を吐いた。
今はこれ以上考えても仕方ないと思っていた。ダルメシアの言う通り、今はそれ以上の問題がある。
「仕方ないわね。たしかに今は魔族にとって一大事よね。でも、終わったら答えを聞かせてもらいます」
カインもそれについては反対しておらず、素直に頷いた。
それにしても今まで凜としたクールなイメージが大きかったリザベートだが、今日はがあり笑顔が絶えない。
どちらが本當のリザベートなのかしだけ疑問に思いながら、セトから今後の話に耳を傾けた。
◇◇◇
「それでは出発!」
カインたちを乗せた馬車はセトの街を出て、帝都へと出発した。
當初、リザベートには専用の馬車を用意し、カインはセトの馬車に同乗予定だったが、リザベートが頑としてカインと同乗するといい、仕方なくカインはリザベートの馬車へと乗り込んだ。
皇が乗るということもあり、その馬車は豪華な仕様である。
転移や空を飛んで行かないのか、と最初思っていたが、転移魔法を使えるのは上級魔族だけであり、護衛の者たちは使えない。しかも帝都では転移魔法を使うのは表向きは止されているとのことだった。
カインとリザベートが乗る馬車の者はダルメシアが行い、ゆっくりと帝都へと馬車は進んでいく。
魔族の國は、各魔王が國として稱しているが、実際は大きな首都クラスの街を拠點にいくつかの小さな街を管理している程度である。
帝都も一つの街のみで國と稱していた。
日程もそれ程遠いわけではなく、午後に出発したのにもかかわらず、次の日の夕方には到著するとのことだった。
しかも一日程度の距離に街もあるらしく、宿泊に関しても問題ない。
途中、街の宿で一泊したのだが、部屋はやたら豪華で思っていた宿とは異なっていた。
なんでもセトが通る度に宿泊するので、數部屋は豪華にしているとのことだった。
朝食を済ませ、街を出発する。
帝都までの道は石畳で舗裝されており、比較的治安も良い。周辺に魔が出沒する森もあるが、定期的に駆逐されており、反が起こることもない。
何事もなく馬車は進み、夕刻前には帝都が見えてきた。
「あれが、帝都じゃ」
リザベートの言葉に馬車の小窓から顔を出すと、白を基調とした帝都が見えてきた。
派手さはないが、を統一しているおかしい街並みとなっている。
「お主に期待しているからのぉ」
そい言ったリザベートの橫顔はいつも以上に綺麗だとじたカインであった。
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