《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第十二話 新たなる謀
「し落ち著かれよ。デニス殿」
険悪な雰囲気に水を差すかのように聲がかかり、全員がその方向に向いた。
中立派であったが、先程からデニスの肩を持つようになったイグニスであった。
カインやセトとしては、このままカインとの実力勝負になったらはっきりするだろうと構えていたのだが、肩かしの狀態であった。
「殿下、私はデニス殿の言葉は正論だと思います。しかしながら『あの約束』を遂行してくれるのでしたら、喜んで殿下の支持に回りましょう」
イグニスはしだけ口元を緩ませリザベートへと橫目で流すように視線を送る。その視線に気づいたリザベートは眉間にシワを寄せた。
「何はともあれ、無事に帰って來られたことですしね……」
「それについては……」
含んだ笑みを浮かべるイグニスに対して、ログシアの表は渋くなっていく。
同席しているカインは理由が分からずしだけ困するが、セトを含めて渋い表をしていることに無言を通した。
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「――妾はそなたの妻になんぞなるつもりはないぞ」
リザベートは真剣な表でイグニスに向かって答えた。その言葉でカインはこの國を逃げ出した理由について思い出す。
イルスティン共和國から保護してからし経った時に聞いた逃げ出した理由。
『魔王の一人と婚姻を結ぶように兄から言われている』
きっとこれだろうとカインは察した。そしてその相手が魔王の一人、イグニスだということを。
イグニスは格は大柄で筋で固められているが、どう見てもセトよりも年上に見けられる。
そして、下心があるような笑み。
カインも逃げた理由に対してしだけ同した。
ログシアも申し訳なさそうな顔をし、口を結んで答える様子もなかった。
しかしきっぱりと斷られたことで、イグニスの表は強張っていく。
「……それでは、わたしも開戦派に回ってもよろしいか?」
ログシアに対し、脅迫とも言えるような言葉。しかしログシアもカインという抑止力があることを理解している。
言葉の真意はわからないが、セトとリザベートの言葉を信じるなら問題ないだろうとじていた。
「――リザの婚姻については、なかったこととする。これは皇太子としての言葉だ……」
ログシアの言葉にリザベートも安堵の吐息を吐いた。しかしプライドを傷つけたのか、イグニスの表は今までで一番憎悪を持った目でログシアを睨みつけた。
「……そうですか。では、わたしはデニス殿を支持しましょう」
「ふんっ、そんな人族のガキのいうことに耳を傾けるからこうなるんだ」
ログシアにもリザベートにも斷られたイグニスは、當てつけのようにデニスを支持することを表明した。
「わしは戦爭を行うつもりはないぞ。我が領地から兵士も出すつもりもなければ、兵をあげるなら敵対するつもりだ」
イグニス、デニスの二人に対してセトは明確に反対を表明した。
ログシアもセトに視線を送り、小さくうなずいてから二人に視線を送った。
「わたしは戦爭をするつもりはない。これは皇太子として、そして魔皇帝代理としての決定だ。これは覆すつもりはない。二日後、國民に対して表明する。『戦爭は行わず、平和をもって人族と対話を行う』とな……」
はっきりとしたログシアの言葉に、開戦派の二人の表は渋る。
そして今まで沈黙を貫いていたアグスが口を開いた。
「殿下がお決めになったことです。わたしはそれに従いましょう。二人とも愚癡は後から聞きますから」
アグスの言葉に渋々ながら二人は頷いた。
「アグス、助かる。それでは戦爭は行わないことにし、二日後布告を行う。今日はこれにて終わりとする」
ログシアの締めの言葉とともに各魔王が席を立ち退出していく。
カインはセトに案され、別室へと赴いた。部屋でセトと待っていると扉が開き、ログシアとリザベートが室してきた。
「待たせたな、カイン殿」
「いえ、先程は英斷ありがとうございます」
カインは席を立ち、軽く頭を下げた。
満足そうに頷いたログシアも席に座る。
無事に戦爭を回避したことに四人は安心し雑談を続けた。
◇◇◇
別室では、不機嫌そうなイグニスとデニス、そして無表のままのアグスがテーブルを囲んでいた。
「なんで戦爭をしちゃいけないのだっ! あの殿下の腰抜けめっ」
「俺もせっかくあの皇を手にれる予定だったのにな、まったくもってあの皇太子としたら……」
不機嫌な二人に対して、アグスはテーブルに肘を乗せ手を組んで笑み浮かべた。
「二人の思い通りになる方法がありますよ。どうせ魔皇帝に決定を下すことはできませんしね」
アグスの予想外の言葉に、二人は苛立ちを抑え視線を送る。
「今は皇太子殿下がこの魔族國家を握っています。皇族は陛下を含め三人ですが、魔皇帝は病床の。もし、皇太子に何かあれば次はリザベート殿下がこの國を舵をとる必要があります。しかし、リザベート殿下は政治には疎い。誰かしら補助が必要になるでしょう。わたしたち魔族は力を見せてこうして魔王としての地位におります。力あるものが魔皇帝を名乗っても……」
アグスの言葉に二人はテーブルに乗り出した。
「おい、アグス。それって……」
「えぇ、可能でしょう。セト殿が強いと言っても魔王の一人。わたしたちは三人おります」
「もしかして、リザベート殿下を貰いうけることも……?」
「もちろん可能でしょう。リザベート殿下もいつかは嫁ぐ必要があるのですから」
「何かいい方法があるのか」
興味津々の二人にアグスは満面の笑みを浮かべた。
「こういう手を考えています。二日後に――――」
三人による怪しい談が始まったのだった。
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