《ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&長チート&ハーレムで世界最強の聖剣使いにり上がる語~》1章1話 宇宙の中心で、神様のの子と――

病院のICU 、集中治療室で『彼』は思った。

曖昧な思考で、朦朧とする意識の中で。

やむを得ない事のせいで部屋に引きこもることを余儀なくされた年は、友達もまともに作れず、外で自由に走り回って遊ぶこともできず、部屋の中で読書をするか、パソコンをするか、あるいは窓の外から空を見上げることしか、今までできなかった。

ゆえに――、

(もし……、もしも仮に……、死後の世界や、ボクが大好きだった小説みたいに、死んだらファンタジー世界に転生なんてことがあるのなら……願わくは、自由に生きたい)

年は死ぬのが怖いわけではなかった。

まるで赤子が眠りに就くように、穏やかで、溫かい布で包まれる覚。

繭まゆの中でうとうとする覚。

嗚呼、現実逃避かもしれないが、それは仕方のないことである。

引きこもりで、不登校で、世間一般に言われるオタクで、暗なのも、どうしても年にはやむを得ない事があったから。

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だが仮に現実逃避だとしても、未來、彼の言うところの転生に希を見出すのは素晴らしいことである。

なぜならば、実現するかどうかは神のみぞ知ることだが、それは將來のことを考えているわけだからだ。

それは稚園児の男の子がサッカー選手を目指すのと同じことで――、

それは稚園児のの子がお嫁さんに憧れるのと同じことで――、

逆に、現実味がないからこそ、転生とは、とても純粋な未來に対する展のように、年は思う。

だからこそ年にとって現実逃避はダメなことではない。

むしろこの上なく尊い行いだ。

繰り返しになるが、転生にかける年の憧れは世界一純粋なモノだから。

――そして、年の願いは純粋だからこそ、神が聞き屆けた。

…………。

……、…………。

目を覚ますと、年はよくわからない空間にいた。

彼は椅子に座っていて、演劇が行われている舞臺に立っている主役のように、自分の周りだけが白いスポットライトで照らされている。

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音は何もしない。

香りも何もしない。

ただ、強いて言うなら、左右に満天の星々が輝いていた。奧行きは1萬kmや1億kmや1兆kmなんて程度の低い距離じゃない。きっと、この左右に広がる空間に、終わりなんてないのだろう。比喩表現ではなく、正しい意味で無限なのだ。終わりという概念が存在しないのだ。

だがしかし、普通は星が輝いている上を見ても、そこにはなにもない。

天になにもない代わりに、左右の無限の奧行きを持つ空間に星が瞬いている。

「あっ、気が付きましたか?」

「……キミは?」

いつの間にか、年の前にはもう1腳の椅子が現れていて、それには1人の白いワンピースを著たの子が座っていた。

「あなたにわかりやすく言うならば、神、と呼ばれる存在です♪」

神を自稱するの子。外見から察する年齢は15歳ぐらいだろうか。

『神』を意味するパステルなパープルの長髪は現実というじが一切せず、幻想的で、年が今まで見てきたどんな彩よりもしい。

パッチリとした二重の瞳はアメジストをはめ込んだような紫眼しがんで、その雙眸は年が先ほどまで住んでいた世界のどの寶石よりも綺麗だった。

花の蕾のように艶やかで可憐なは、の子らしい桜

健やかに発育したに、細くくびれた腰、ぷにっ、と、したやわらかそうなおしりにかけてのらかな曲線は、まさしく人としてのしさを超えた圧倒的な魅力をめている。

の白くて細い指に自板をなぞられたら、さぞかしゾクゾクするだろう。

の艶やかな香をかもし出す腳は、誇張抜きに一種のアートのようにしか思えない。

は、世界中の男の誰もが可いと思い、しいと思い、あざといと思い、いじらしいと思い、艶やかだと思い、清楚だと思い、どうしようもなく劣を駆り立ててきて、処を奪いたいと思うのに、しかし純潔のまま大切に近くに置いておきたいと思える、世界一の子らしいの子だった。

「神様って……こんなの子だったんですね」

すると、神様はクスッ、と、小首を傾げて微笑む。

「私はここに連れてきた人が想像する、最もそれっぽい神様の姿になるんです。あなたは生前、ネットのファンタジー小説を好していましたよね? そのせいで転生=神ってイメージが付いたんです」

年が神様のの子の聲を耳にした瞬間、彼はが震えそうになった。

の聲は、天使が奏でるハープの音のように澄み切っている。

「――、今、神さまは転生って……」

「はい、間違いなく言いました」

ここが現実か幻かは不明だが、現実で転生と言われても普通の人は戸うだけだ。

しかし年は、彼が言ったことを、なぜか、スルリと飲み込めた。

「私は神ですから、どれだけ現実味のないことでも、あなたに信じ込ませることができるのです」

「その割にはこうやって口に出して説明するんですね」

「あはっ、この空間は宇宙の中心で、特別なんです。実際にはあなたの生前の世界で言う、言葉、空気の振による意思の伝達ではなくて、頭の中に直接意思を伝達しているんですよ。そもそもここ、宇宙空間ということで、仮に言葉を使おうとしても使えませんし」

「ああ、どこかの大學が研究していた脳波の実験みたいなヤツですか」

「それに今、あなたは五分ぐらい経ったような覚をお持ちでしょうけれど、前世からファンタジー世界に転生するまでのこの手続き時間、まだ1000億分の1秒も経っていませんよ?」

「マジですか……?」

「はい、大マジです♪」

神様のの子は、見る者全員を惚れさせるぐらい可らしい笑顔で肯定する。

そして「こほん」と一つ咳を払うと、いよいよ彼は本題に。

「さて、転生にあたって、あなたには通常スキルの上位互換スキル、ゴスペルを與えようと思います」

「転移ではなくて、転生、赤子からってことですか……」

「私があなたに與えるゴスペルは『努力が一切苦痛にじず、むしろ楽しくて楽しくてやめられなくなる』というモノで、名前を〈零から始めるオンベグレンツァト・無限の修練イーブナヌーマァ〉と呼びます」

聞くと、年はし落膽したような聲で言う。

「あまりチートな能力じゃないんですが……」

「いえいえ、私の與えられるゴスペルの中で、最強のゴスペルです。例えば、才能というのは生まれた時點で100%決まっています。力が9999、魔力が9999、攻撃力が9999、防力が9999、知識が9999――一見強そうに思いますよね?」

「一見強い、じゃなくて普通に最強でしょう」

「でも、世界に生み落ちた時點で上限があります。言い換えるなら、長の余地があっても、長の余地を増やす余地はない。いわゆるアンリミテッドではなくカウンターストップというモノです。翻ってあなたのゴスペルは――」

「――本當の意味で、無限? どこまで続いている? カウンターストップではなくアンリミテッド?」

「その通りです。あなたが本気を出せば、誰よりも強い存在、最強になれます! 私があなたに授けるのは、まさに、無限そのものの実力です! 楽しみながら努力できる上に、最初からカンストではありませんが、長の余地の上限解放なんてとってもチートです♪」

「……っ」

言うと、神様のの子は右手の人差し指を天に向けてクルクル回す。

「さぁ、そろそろあなたの第二の人生を始めましょうか?」

「いよいよですか……お願いします」

一瞬後、年はやたら眠たくなってきた。

瞼が重い。意識が朦朧とする。闇に落ちていくような覚。

でも、きっと目覚めた時には新しい朝がくる。

年はゆえに、新しい世界を祝福するように、幸せそうに眠った。

最後に神様のの子の――、

「私が転生者に與えるゴスペルは、転生者が生前に一番願った事象を象化したモノ」

「あなたの〈零から始める無限の修練〉は、あなた自んだゴスペル」

「あなたなら、きっと最強になれるでしょう。そしてきっと、■■■を倒してくれるでしょう。そのことを祈っています♪」

――という、なぜか一部、ノイズのかかった聲を聞いて。

この語は、元・引きこもりのオタク年が、

チートを授かり――、

異世界に転生し――、

ハーレムを築き――、

り上がり――、

世界最強の聖剣使いになり――、

――いずれは伝説になる語。

これは、そのプロローグ。

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