白くて、高潔で、本當に騎士のような男子生徒の制服。

一方で、黒くて、気品ある、本當に魔師のような子生徒の制服。

それぞれ、ロイは白、イヴは黒の制服を著て、寄宿舎の表、玄関の前に立つ。

２人の他にはマリアと、カメラを用意したクリスティーナの姿があった。

マリアもイヴと同じように黒の制服を著て、クリスティーナはいつもと同じメイド服。

「やっぱりビックリしましたでしょうか？　お姉様も同じ寄宿舎で暮らしていたこと」

「クリスさんは知っていたんですか、そうですか」

微妙な表かおで反応するしかないロイ。

雑談も早々に終わらせると、右から、マリア、ロイ、イヴの順番で並び、３人がフレームにるように、クリスティーナはカメラを調節する。

「ご主人様、お嬢様がた、お似合いでございます♪　それでは――」

この世界、この文明のカメラは、ロイの前世のカメラと比べて撮影にかかる時間が長い。ゆえに３人はしの間じっとして、撮影が終わるのを待つことに。

しかし今使っているカメラがロイの前世のカメラと比べて後れを取っているといっても、このカメラには々魔的な構造が絡んでいるので、中世ヨーロッパに関連しているダゲレオタイプのカメラ、カロタイプのカメラ、寫真乾板を使ったカメラとは全く違うである。

そして、約１分後、無事に撮影は終わった。

３人分撮った寫真をいったんクリスティーナに預けて、ロイとイヴ、そして保護者ではないが保護者の席で參列する予定のマリアは、晴れ渡る青い空の下、清々しいき通るような空気を吸って、學院の學式のために寄宿舎をあとにする。

最初、城下の街でグーテランド七星団學院の制服を著ているのはロイとイヴだけだった。

しかし、商人や王都の民で賑わう一角を抜け、３日前、旅蕓人や遊詩人がいた広場を進み、石畳と石造りの建が並ぶ西洋の街並みを抜け、學園の敷地に近付くにつれて――、

「この人たちが、全員、ボクと同じ學び舎で勉學に勵む生徒――っ」

思わず、ロイは震えそうになった。なんとか我慢するが、極まってほんのしだけ、涙が出そうになった。口元の笑みを、どう頑張っても隠し切れない。

前まで引きこもりで、不登校で、世間一般に言われるオタクで、暗だった自分が、この日から、普通に學院で生活が送れる。學初日から、クラスメイトが自分をバカにするなんて、絶対にありえない。教師が自分の扱いに手を焼くなんて、どう考えてもありえない。

誰も前世の自分を知らない。そのような環境でのリスタート。

ここでならやり直せる。誰もロイの過去を知らないから。誰もロイのことを、いるだけで迷なんて思わないから。ここは、ロイにとって優しい世界だから。

「弟くん、行こう？」

「お兄ちゃん、早く行こうよ～っ」

「――、うんっ」

そうして、ロイは今日から通うことになる學び舎の敷地に足を、一歩、踏みれる。

歴史と伝統、そして卒業生の方々の國に貢獻した功績によって、時が進むごとに、前に前に進んできた學院。王國の発展は、この學院なしには語れない。それを証明するように、敷地にはいろいろな、格式高い建造が並んでいた。

騎士學部が講義をける１號館と２號館。

魔師學部が講義をける３號館と４號館。

後方支援學部が講義をける５號館。

騎士道修練特別學舎に魔修練特別學舎。図書館と禮拝堂。

食堂の橫にはウッドデッキがあり、ウッドデッキの橫には広々としたガーデンが広がっている。

敷地の西側には植園と、小さいとはいえ、平均以上の設備が整っている天文臺。

そして自由に走り回るのに困らないグラウンドに、生徒たちが青春を謳歌するクラブハウスの特別棟まで、この學院にはあるというのではないか。

それで最後に――、

「學式は講堂で、か」

講堂に移すると、多くの新生、在校生、保護者、そして學院に関係している仕事をしている者（剣の講師や魔學の教授や事務職員など）が、橫長のイスに座っていた。

橫長のイスが橫に８列、縦に２０列と並べられていて、騎士學部アサルトナイト學科のロイは橫から１列目、縦からも１列目の橫長のイスに、魔師學部ヒーラー學科のイヴは橫から７列目、縦から２列目の橫長のイスに案される。ちなみに、新生ではないマリアは後ろの方に。當たり前だが、新生は前の方で、他の人々は後ろの方らしい。

どうも落ち著かず、ロイは講堂の中を見回した。

壇上には高さ７ｍはありそうなステンドグラスがあって、表からの日のを差し込ませてキラキラとそれを反させている。そして、つまり、それほど講堂の天井は高いわけだ。上を見てみるとシャンデリアまでぶら下がっているではないか。

また、前方には前述の壇上とステンドグラスがあるから仕方ないのだが、後方には２階席まで用意されている。劇場のような作り、と言えば伝わるだろうか。

橫長のイスもただの木製ではなく、上質な木々を使っているようで、その上、意匠まで彫られているし、新年度ということで一新したのか、新品の匂い、心が落ち著くような木の香りがするようだ。

そしてロイが、イヴのことが不安になってヒーラー學科の方に視線をやった、その時だった。

『これより、國立グーテランド七星団學院、中等教育、上位、ならびに下位の學式を始めます』

恐らく、無屬魔の中でも、音系統、反響を司る魔を使っているのだろう。涼やかなのにやわらかなの聲が、講堂に響いた。

司會進行役のは「中等教育、上位、ならびに下位の學式」と言ったが、言わずもがな、上位に學するのがロイで、下位に學するのがイヴだ。上位と下位というのは単純に生徒の年齢のことで、剣や魔の実力のことではない。

最初は學院長の挨拶から始まり、學院の関係者によるお祝いの言葉、そして在校生代表からの祝辭が新生に送られて、次に――、

『新生挨拶、新生代表、ロイ・グロー・リィ・テイル・フェイト・ヴィ・レイク』

「――はい」

新生の挨拶は新生代表のロイが擔當することになっていた。ゴスペルホルダーで、その上、聖剣、エクスカリバーの使い手、加えてエルヴィスの推薦でこの格式高い學院に學。これで新生代表に選ばれない方がおかしい。

席を立ち、壇上に上がるロイ。

同時に、ロイに憧れている、あるいはししか憧れていないが興味はある子生徒が歓聲を上げた。

そのの子たちの歓聲の中、ロイは壇上の中央に行く。

で、の子たちの歓聲がやんでから、挨拶を読み始めた。

まずは挨拶や在校生からの祝辭に対する禮、自己紹介、どこの學式の誰の話にも混じっている天気の話、その天気の話に織りぜて「長い歴史の中、王國の発展に寄與してきた學院に學できて栄」とか「喜びと不安がり混じっておりますが、學院生活を謳歌したい」とか、そのようなことを言い、最後に結びの言葉を口にして〆る。

ロイがほぅ、と誰にもバレないように安堵の息をらすと、同時に、講堂中から盛大な拍手が巻き起こった。の子はうっとりしたような表で、男の子は憧れるような表で、そして大人たちは未來ある若者の青春を祝福するように。

そして――、

講堂に集まった一同で國家を歌い、次に在校生と學院関係者が校歌を歌い、そうして、約１時間の學式は終わった。

で、次は教室に移である。

グーテランド七星団學院は、ロイの前世で言うところの大學と似ている部分があり、講義は學生が自由に取ることができるが、一応、クラスというモノも存在する。ロイのクラスは５學年次のＢクラスだった。

が、しかし――、