「アリスさんはそういうのがないから安心だよ～」

「そうですよね～」

本當に安心しているような表で、イヴとマリアはロイとアリスを互に見やった。

「ロイとは友達だもの。信頼を裏切るようなことはしないわ」

「もしかしたら今後、人同士になる可能は否定できないけど、なくともボクは、今の関係を気にっているんだよ」

「ん？」

「ん？」

「ん？」

「あれ？　今、ボク変なこと言ったかな？」

「お兄ちゃん！　アリスさんと人になるかもしれないの！？」

「か、可能の話だよ！？」

「それでも！　可能だけでもあるってことですよね！？」

「姉さん、落ち著いて！」

「わ、わわ、私、と、……、ろろ、ロイが？　こここ、人？」

「アリスも戻ってきて！　お付き合いする可能もあれば、當然、ずっと友達って可能もあるから！」

今にも泣きそうなイヴに、揺しまくりのマリア、そして先ほどの數十倍は赤面しているアリス。

３人をロイだけで宥めるには、多、長い時間を要した。

「コホン、そもそもこの王國、グーテランドは一夫多妻制を認めているのよ？　多數のの子から告白されたのなら、同時に付き合うわけにはいかないのかしら？」

アリスが咳払いをして仕切り直すも、いささか微妙な仕切り直し方だった。

「意外だね。アリスは１対１でお付き合う方に賛だと思っていたよ」

「大事なのは相手に対すると、なによりも真剣さでしょ？　本當に真剣なら何人とでもを深めればいいと思うし、逆に微塵も真剣じゃないなら、たとえ１人でもたぶらかしちゃダメよ」

「で、弟くん？」

「実際はどうなのよ？」

「そうだねぇ……、アリスはお付き合いに『真剣さ』が必要って言うけど、ボクは『誠実さ』が必要だと思う」

「「「うんうん」」」　と、３人の頷きが重なる。

「でもそれ以上に、ボクは誰かと付き合いたいんだ！　っていうがないと、って立しないよね？　お恥ずかしいことに、ボク、初がまだなんだよ」

想笑いを浮かべるロイ。

「でも――そうだね、仮にボクが複數人のの子を好きになったら、全員を幸せにしてあげたいかなぁ」

と、一先ずロイはここで締めくくった。

ロイの言う、全員を幸せにしてあげたい、とは、一夫多妻制を認めるということで、なくとも、ロイはそういう意味で発言した。

なぜなら、ハーレムに憧れるとか、そういう話ではなく、誰か１人でもが報われないの子がいたら悲しいし、寂しい。ロイは本気でそう考えているから。

「ところでお兄ちゃん、妹と結婚するのはどうなのよ？」

「！？！？」

イヴが可らしく小首を傾げてとんでもないことを訊いてきた。

「ちなみにお姉ちゃんと結婚する場合も答えてね？」

さらにマリアも乗っかってくる。

無論、ロイの前世の日本では、家族同士で結婚するのを法律で止している。

（――けど、この國って、そもそも王様からして、王家の筋を他家の筋で薄めないように縁者同士で結婚しているし、科學が進歩していないから、が近い人同士で子供を作ると、子供に悪影響ってことも証明されていないんだよね）

よって、グーテランドでは本人たちの同意があれば、妹とでも姉とでも、結婚し、子供を作ることが可能だった。

言わずもがな、ロイの前世で近親相はドン引きの対象であったが、この世界ではそのようなことはなく、むしろ一部の貴族の間では推奨までされている。この王國の民の全員に、近親相＝インモラルという発想はない。

「い、イヴと姉さんはどうなの？」

「わたしはいいよ？　もしお兄ちゃんが許してくれるなら、幸せな家庭を作りたいよ」

「わたしもですね。弟くんに対するはとは違うんだろうけど、生まれてこの方、弟くんよりもすごい男の子、いい男の子と會ったことないから、責任を取ってもらわないといけませんね」

マリアの言うことにも一理ある。

ロイはゴスペルホルダーで、聖剣使いなのだ。このまま、今後の人生で一切なにもしなくても、王國全土の教育機関の教科書で名前が載ることが確定している。

そのような偉人がにいるのだから、マリアの異に対するハードルが超絶高いのも仕方のない話だった。

「じゃ、じゃあ、考えておくね？」

「は～い！」「うん、ありがとっ」

余談だが、グーテランドのの平均出産年齢は、王都周辺と地方では多差があるが、２５歳前後だった。１０代で結婚している男もなくない。

ロイが覚えていた前世の報曰く、近親相でできた子供よりも高齢出産でできた子供の方が、言い方を非常に慎重に選ぶ必要があるが、悪い影響が出る可能が高い。社會的にどうとか、倫理的道徳的にどうとか、そういう強い批判もわかるが、數字上の事実としてそうなのである。

ゆえに、グーテランドでは、近親相でできた子供でも普通に暮らしている子供が多かった。

「そういえば、アリスって兄弟や姉妹はいるの？」

「姉が１人いるわ」

と、ここでアリスが立ち上がる。

「ちょっと長居しすぎたわね。あまり席に座っていてもダメでしょうし、そろそろ出ましょうか」

「うん」「は～い」「そうですね」

苦笑じり言うアリスに、３人は賛して、同じく立ち上がった。

「あれ？　そういえばロイは第２寄宿舎に住んでいたのよね？」

「え？　うん」

「と、いうことは、シーリーンさんと同じ寄宿舎じゃない！」

「そうなの！？」