《ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&長チート&ハーレムで世界最強の聖剣使いにり上がる語~》3章10話 ノーパンで、金髪のが――(2)

「ご、ゴメン! 興味本位で訊くようなことじゃなかった!」

「う、ううん! ロイくんはなにも悪くないよ? っていうか、あんな展開になったなら、普通は事を知りたがると思うし」

シーリーンは卑屈に笑う。

「まぁ、それでなんとか風に負けず寄宿舎に帰ってこられたんだけど、おトイレしたくなっちゃって……。でも上の階の子トイレは使われていたから下の階に、って」

「先にパンツを穿いてからにすべきだったね」

「あぅ、その……も、れ、そう……だった、から……」

の子特有の白い頬を乙に染めるシーリーン。

そして一方で、ロイはまた変なことを訊いてしまった、と、後悔した。

「あっ、そうだシーリーンさん」

「むぅ、シーリーンさんじゃなくて、シィ」

「し、シィ、キミに1つ渡したいがあるんだ」

「初対面なのに?」

「ちょっと待ってて」

いったん、ロイはシーリーンの部屋を出て、階段を下り、自分の部屋に戻り、あるを回収して、再びシーリーンの部屋に戻ってくる。

「これ、講義のノート」

「これをシィに?」

「正直に言うと、シィが不登校だってこと知っていたから、しでもシィの役に立てばいいと思って」

「っていうことは、イジメのことも……」

「……ゴメン、友達から聞いたんだ」

ふと、シーリーンはロイからけ取ったノートをパラパラめくる。

「――あっ」

「ぅん?」

「ひぅ!? もしかしてロイくんも、シィに講義に出席するように……!? 段階を踏んで登校できるように講義のノートを……!?」

顔を青ざめさせて、シーリーンは震える。

今にも泣き出しそうな、非常にからかいたくなるような可い顔で、シーリーンはロイに視線を送った。

「あはは、違うよ? むしろ逆かな?」

「逆?」

「キミは魔を究めたくてこの學院にきた。でも、出席はしたくない。ならボクが、キミの分までノートを取ってきてあげるよ」

シィは目を見開く。今まで同級生や教師はもちろん、親にさえそのようなことを言われたことはなかった。自分にとって優しい言葉なのに、自分のために紡がれた言葉とは、一瞬、本気で思えなかった。

「ホントに、いいの?」

「ボクはキミに、登校しろなんて絶対に言わない。だって――」

「だって?」

「學院に通いたくでも、そういう環境に囲まれちゃったら、どう足掻いても登校するのが難しいって、ボクはそのことをよく知っているつもりだから」

聲を出そう、なにか話そう。そう思っても、シーリーンは口から言葉を紡ぐことができなかった。別に、ロイに惚れたというわけではない。まだロイとは初対面だし、シィはの子としての自分を大切にするタイプなので、そうそう簡単に誰かにを抱いたりはしない。

ただ、一言で言うなら、驚いた。そして救われた。

驚いたせいで聲が出せなくなることがあるなんて、この時、初めて信じることができた。

「そうだ、シィ、ボクと友達になってくれない?」

「――シィが、ロイくんと?」

「ダメかな?」

「シィの事、たぶん知っているよね?」

「うん」

「シィと一緒にいたら、もしかしたら、ロイくんまでイジメに遭うかもよ?」

「ボクは損とか得とかで友達を選んでいるわけじゃないよ? それに、初対面だけど、シィのことが心配なんだ」

「だからって、真正面から友達になってくれない? なんて、普通訊かないよ?」

「だよね。でも、友達になりたいんだから、友達になってくれない? って訊くのが、一番手短でしょ?」

そして、數秒間だけ靜寂がシーリーンの部屋を包み込む。

友達になりというロイに対して、シーリーンは――、

「不登校だけど、友達を作っちゃいけないなんてルールはないよね?」

「うん、當然っ」

そしてロイはシーリーンに手を差し出す。

シーリーンはそれに応じて、ロイの手を握った。

握手する二人。

シーリーンは頬が熱くなるのを自覚したが、不思議と、イヤなじはしなかった。

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