《ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&長チート&ハーレムで世界最強の聖剣使いにり上がる語~》4章6話 シーリーンの自室で、特別講義を――(2)

ふいに、シーリーンのの奧が高鳴った。1回だけだけど、一瞬だけだけど、キュン、と、が切なくなった。

頬は乙に染まり、友達のはずなのに、出會ってまだししか経っていないのに、なぜか、ロイの顔を恥ずかしくて直視することができない。顔が熱い。どうにもこうにも、が落ち著かない。

「ねぇ、ロイくん――」

「なにかな?」

「シィ、ロイくんには、シィの事を知ってほしい」

「――、わかった」

返事をするロイ。

それを確認すると、シーリーンは、ゆっくりと、不安そうに語り始める。

「もともと、フーリーという種族は、大陸の別のところに住んでいたの」

「つまり、グーテランドの國民じゃないってこと?」

「うん。でも、シィの4代前か5代前の先祖が、フーリーの國をかにするために、って、資や賃金が富んでいるグーテランドに移住したんの。で、そこで得たモノを故郷のみんなに仕送りしていたらしい」

「立派なご先祖さまだね」

「クス、ありがと。でね? シィの一族は、そういう理由があってグーテランドに住み著いたの。けど、最初はここ、王都であるオラーケルシュタットに住んでいたわけじゃなかった」

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「じゃあどうして?」

「シィがパパとママに頼んだから。――夢を葉えるために、王都の寄宿制の魔學院に通いたい、って」

「夢、って――」

「シィの夢は、いつかグーテランドで、魔の教授になることなんだ」

告白すると、シーリーンは照れくさそうに、「えへへ」とはにかみながら、白くて細い人差し指で頬を掻いた。友達に夢を語るのがこそばゆいらしい。

しかしロイは、他人の夢を笑ったりバカにしたりはしない。どのような夢であれ、夢を抱くことをそのものが、今の自分たちの年齢の學生には必要だからだ。

「ロイくんは笑わないんだね。シィの夢を聞いても」

「笑わないよ、だって、すごく立派で、を張れるような夢じゃないか」

「うん……、ありがと……」

急に恥ずかしくなって、一応お禮は言えたものの、シーリーンの聲は恥ずかしさで消えりそうだった。

そして、シーリーンは「こほん」と、小さく可らしく咳払いをして、話を続ける。

「でもね? 魔の教授になるのは、すごく、すごく、難しいことで、言い方を変えるなら、貴族のように將來が約束されているわけじゃないんだ」

シーリーンにしては、し嫌味な言い回しだった。

まるで、貴族を遠回しに揶揄しているような言い方である。

「幻影のウィザード、ジェレミア・トワイラ・イ・トゴート。トワイラ侯爵のご子息で、幻覚の魔を使う5學年次の天才」

「話の流れから察するに、その人がイジメの主犯格?」

「うん。ジェレミアさんには『貴族であるオレは將來を約束されているが、キミの將來はお先真っ暗だねぇ』『に関するスキルを持っているヤツが、教授、聖職者に近い役職になりたいとは、それは葉えてはいけない夢だよ』って言われて……」

「なんで、そんなイチャモンみたいなことを……。なにか接點はあったの?」

「これはシィの憶測だけど、トワイラの家系は、多くの學者を輩出してきたから、ジェレミアさんも學者になりたいんだと思う。なのにシィが、學時の自己紹介で、將來は魔の教授になりたい! なんて言ったから、気に食わなかったんだと思う……」

アリスの規律や伝統を重んじる格や価値観が『いい方、善の方』だとするなら、ジェレミアのそれは、アリスと似ていても『ダメな方、悪い方』なのだろう。

「ねぇ、シィ、もしかしてジェレミアって、けっこう周りに取り巻きを連れていて、過剰なぐらい不遜な格じゃない?」

「ほえ!? よ、よくわかったね……」

「たぶん、本當のジェレミアはコンプレックスの塊なんだと思うよ? 他人をイジメて、自分は強いんだぞ! 偉いんだぞ! って、周囲にアピールして安心したいんだろうね。ついでに優越にも浸って」

「――――」

「取り巻きを連れているのも、1人じゃ小さいから、怖いから、なにもできないから、群れをして自分を大きく見せたいんだと思う」

「――――」

「となると、不遜な格は、弱い自分を隠すための虛勢、張りぼて、鎧かな?」

「ロイくん……」

「だからね、シィ」

「は、はいっ」

「すぐに心はれないと思うけど、一先ず、頭でだけでも理解してほしい。キミをイジメている人たちは、キミよりも弱いんだ」

剎那、シーリーンは泣きそうになってしまう。

その言葉だけで、救われた気がした。

誇張表現でもなく、言葉の綾でもなく、文字通りの意味で、暗闇の中から、の世界に向かって抜け出せた気がしたのだ。

正直、ロイはジェレミアと會ったことはない。だからシーリーンには申し訳ないが、心の底から、ジェレミアのことを、コンプレックスの塊とか、1人じゃなにもできないとか、弱い自分を隠しているとか、そう認識しているわけではない。

でも、ジェレミアがシーリーンのことをイジメている主犯格。その事実だけは変わりようがない。

イジメられている子と、イジメている子。

友達と、見ず知らずの他人。

ロイはそこまで聖人君子ではない。人並みに優しいが、人並みに怒りも覚える。

だから今は、ジェレミアのことを悪く言っても、シーリーンに優しい言葉をかけてあげたかったのである。

「今度、ボクがジェレミアに會ったら、シィの代わりに一発毆っておくよ」

「ほえ!? 毆っちゃうの!?」

「あはは、大丈夫。ボクも、そしてジェレミアだって、男の子なんだから、しぐらいケンカしても」

「う、うん」

「約束するよ、ボクがシィをイジメから救ってみせる」

それからし2人はたわいもない會話をして、シーリーンの部屋の前で別れた。

そして、いよいよ明日は、ロイは認めないだろうが、ハーレムデートの日――。

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