《ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&長チート&ハーレムで世界最強の聖剣使いにり上がる語~》4章11話 の中で、そのが――(1)

泣き止まないシーリーンを、4人は彼が落ち著ける場所ということで、醫務室に連れてきた。

醫務室の中では、シーリーンが椅子に座って嗚咽をらしている。

その隣で、イヴとマリアは彼のことをめ続けた。

そしてロイは、醫務室の前の廊下で、アリスと話している。

「たぶん、ジェレミアは今日、クラブ活があって學院の敷地にいたんだと思うわ」

「ちなみにそれって――」

「確か馬部だったはずよ」

「それ、例えば落馬とかしてケガしたら、ここにくるんじゃ……」

「なら、今、私たちは醫務室のドアの前で話しているけれど、ロイは道を譲る?」

「譲らないよ、絶対に」

即答だった。

「この際だからカッコつけさせてもらうけど、このドアは絶対に通さない。中にいるシィに、今は誰も會わせない」

「ふふ、ただの醫務室のドアが、王城の謁見の間の扉みたいね」

ふと、アリスはロイの腹部に視線をやる。

ロイもそれに気付いて、自分の腹部を優しくでた。

「痛まない、魔けたところ?」

「大丈夫だよ。シィとイヴにヒーリングをかけてもらったし」

「魔で人を傷つけるなんて、ホント、信じられないわ」

「……やっぱり、彼の言うところの権力で、うやむやにされるのかな?」

「口先だけだから、実際は、そこまでうやむやにされないと思うけど……」

「けど?」

「誰がジェレミアの告げ口をするのかが問題よね」

「……あぁ、なるほど」

「當然、ジェレミア本人と彼の取り巻きは、自分たちのしたことを、教師に限らず誰にもらさない」

「でもボクたちが告げ口にしようにも……」

「……さっきは適切な判斷をしたつもりだから、今になってなにかを言うってことはしないけれど……」

「……うん、ボクが魔けた跡は、ヒーリングで治してもらったからね」

つまるところ、魔けた証明ができない。

こんなことになるのなら、王都の魔に詳しい醫者に話を聞いてもらって、攻撃をけた証明書を作ってもらった方がよかったかもしれない。

「ねぇ、アリス」

「……なにかしら?」

「貴族の子供同士がケンカって、やっぱりマズイよね?」

「……ゴメンなさい」

アリスはけなそうに、そして悔しそうに、顔にりを作る。

「さっき、ジェレミアに対抗するなら、同じ貴族の子供である私がどうにかするべきだったわ。……でも、貴族の娘と息子が魔を使ってケンカなんて、後先がどうなるかわからなくて、不安になった……。けないけど、正直、その時私は怖かった……」

「それが普通だよ。貴族の娘と息子が魔を使ってケンカなんて、冗談じゃ済まないし、アリス、そして例えあのジェレミアでも、ケガなんかさせたら大問題。もしかしなくても、家の名前に傷が付く」

ロイがアリスを肯定するようなことを言っても、アリスは白い手に爪が食い込んで充するぐらい、握り拳を震わせる。

「笑っちゃうわね。風紀、風紀、って小うるさく口にしていても、いざという時に役立たずなんて」

「そんなことはないよ」

「でも……っ、だからロイは、貴族の子供同時でケンカはマズイよね? って訊いたんじゃ……」

「違う」

ロイは首を橫に振る。

「アリスにはアリスに事がある。人には、人の數だけの事が」

「ロイ……」

「だから、やっぱりジェレミアにケンカを売るのはボクが適任だな、って」

こともなしにロイは言う。

そのロイの発言に、アリスは言葉を失った。

戦いの強さの問題ではない。武力では権力に勝てないのである。

先ほどのやり取り。1回の攻防。ロイは、ジェレミアの魔を食らって反撃できなかったし、そもそも、最初に自分の方が先手を取ろうという発想を、貴族と平民の関係という常識によって封印された。

まさかロイが、決闘の場でもないのに、自分から先に手を出すわけにはいかない。仮に手を出したとしても、ジェレミアのように権力がウンヌンとは、ロイには不可能。

反撃できなければ、先手も取れない。否、先手を取るという発想が、どこかしらで抜けてしまう。

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