《ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&長チート&ハーレムで世界最強の聖剣使いにり上がる語~》5章6話 決闘で、幻影のウィザードに――(1)
「逃げずによくきたものだねぇ、ロイ?」
と、舐めるようないやらしい笑みと視線で、遠回しにロイを挑発するジェレミア。
しかしロイは、それを意に介さない。
真面目な表で、真剣な視線で、目の前に相対する倒すべき男に向き合う。
「逆に訊くけど、逃げるとしたらどこに逃げればいいんだい?」
「ふふん、まぁ、確かにそのとおりだ」
「そう、今のボクに逃げるための場所なんて存在しない」
言うと、ロイは自の右腕を前方に突き出して、右手に意識を集中させる。
イメージするのは、いつだって、自分の理想。
理想の自分とは、いずれ至ろうと思う最強の姿。
剎那――、
「 顕現せよ、エクスカリバー 」
ロイが唱えると、王に勅令を出されて、颯爽と馳せ參じる騎士のごとく、彼の右手には、聖剣・エクスカリバーが握られていた。
神々しく、暴力的なのに聖なるオーラをじて、圧倒的で絶対的なのに、その外見は蕓的で、まさに聖剣と呼ぶに相応しい一振りである。
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「「「「「きゃあああああああああ♡♡♡」」」」」
「「「「「うおおおおおおおおおお!!!」」」」」
の子たちのロイに対する聲援と、男の子たちのエクスカリバーを見られた興による歓聲が、誇張抜きにコロシアム全を震わせる。まるで音のような熱狂に、思わずロイは鼓が破裂しそうな覚に陥った。
その聲援と歓聲は、まるで熱暴走という概念を象化したかのようで、焼き千切れるかのようにボルテージが振り切っている。――熱狂――。まさに灼熱を宿して発狂するような聲援と歓聲に、この決闘の注目度がそのまま反映されているかのようではないか。
しかし、それでもロイはジェレミアから視線を逸らさない。
「往くよ、幻影のウィザード」
「かかってこいよ、田舎者の聖剣使い」
ロイがエクスカリバーを構えて、ジェレミアが右手に魔力の粒子を煌かせる。
神経がヒステリックな金切り聲を上げそうな、張を極限まで張り詰めた空気。
脳に張り巡らされた神経の1つ1つまで鋭敏になるぐらい、繊細にしてき通るように明な意識の中で、2人の集中力は同年代の學生とは圧倒的すぎて比べにならない領域まで高められる。
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「今ここに、ボクの往く道が最強に至ることを証明する!」
「五の全てを弄り、偽り、裝い、欺き、その果てに絶を教えてやる!」
『『『『『 READY STEADY GO!!!!! 』』』』』
コロシアムに設置された音響式魔のアーティファクトを通じて、建全に決闘開始の宣言が大音量で響き渡る。
その瞬間に、同時だった。
「「――――ッッ」」
ロイがステージの上を突風のごとく疾走する。開始から0・1秒の時點で全力疾走。ペース配分も、なにかの作戦もあったものではない。まさに正面突破そのもの。ジェレミアに向かって、全力で、全速で、真正面から正々堂々と突っ込む。
一方でジェレミアは右手を開いたまま突貫をするロイに向ける。瞬間、彼の右手の平に宿る魔力。幻影のウィザードの二つ名に相応しい純度の高い魔力だった。
嗚呼、そうだ。
決闘開始の歓聲が湧き上がったのと、ロイ、あるいはジェレミアの最初の一手が同時だったのではない。
ロイとジェレミア、相対する騎士と魔師の最初の一手が同時だったのだ。
決闘開始の歓聲など、とっくに相手を倒そうといていた2人にとって、最早、時間で5秒は遅れてくる産に他ならない。
「我は強さを渇する! 腕には力を、腳には速さを! 戦爭の神よ、與え給え、我に我が敵を打ち倒す神を! 【強さを求める願い人クラフトズィーガー】!」
ゴッッ! と、いう破砕の鈍い音を立てて、ロイが強化した瞬間、彼が踏み抜いたステージの床が抉れる。
その衝撃を以って、ロイはますます加速した。
突撃するロイに待ち構えるジェレミア、彼我の距離は5m。
「ジェレミアが幻影魔を使う前に勝負を決める気だよ!」
「弟くん……っ!」
観客席の最前線でイヴとマリアが張を張り詰めた聲で言う。
その隣ではシーリーンが切なそうな表で、ロイの決闘を真剣に見守っていた。
しかし――、
「アハハッハ! キミならそうくると思ったよ! 詠唱破棄! 【聖なるの障壁】!」
たった一言、それだけでジェレミアの眼前に魔による障壁が顕現する。
ウィザードというのは、まだまだ上位のランクが存在するが、學生の分ではほぼ頂點に近いクラスである。そのウィザードである彼が編演算した魔の防壁。常識で考えて打ち破れるわけがない。
だが、ロイはそれすらも上回る。
「ボクも! キミならそうくると思ったよ! 最初から幻影魔を使うんじゃなくて、キミなら、まずは自分の優位を高めるはずだって! だから――ッッ!」
ロイはエクスカリバーを思いっきり振りかぶった。
空気は唸るように悲鳴を上げて、ロイは腕に全力を込める。
その一瞬後、振りかざされる純白の輝き。轟ッッ、と、風を斬る黃金の一振り。
技も駆け引きもあったものではない。
ロイは強引に、力任せにエクスカリバーを【聖なるの障壁】に叩き付けた。
斬り付けたのではない。叩き付けたのである。
「こいつ……っ、脳みそまで筋でできるのか!?」
鏡が割れるような甲高い音を鳴らして、【聖なるの障壁】は破壊された。
それと同時に、ジェレミアはバックステップで迫りくるロイから距離を取る。
「キミぃ! 普通だったら剣が折れるぞ!?」
「――ッッ、エクスカリバーの特はキミだって知っているだろ!? エクスカリバーは絶対に折れない! それも含めての行だ!」
そう、まずジェレミアは(ロイなら、否、ロイに限らずとも普通の騎士なら、幻影魔をこちらが使う前に勝負を決めようとする!)と、考えた。ゆえに彼はロイが強化しても慌てずに【聖なるの障壁】を展開したのである。
一方でもロイも(ジェレミアなら騎士と戦ったことがあるだろうし、騎士の行パターンを読んで、魔で防壁を展開するはずだ!)と、考えた。だからこそ、強化の魔に2重の意味を持たせた。
1つは1秒でも早くジェレミアに辿り著くため。
もう1つは、【聖なるの障壁】を展開されても、強引に強化でぶっ壊すため。
だがそれでは普通、剣が折れてしまう。
しかし、それは先刻ロイ自が言ったように、エクスカリバーなら問題なし。
「このまま往けるなら、速攻でケリを付ける!」
いかにジェレミアがバックステップで距離を取ろうと、強化がかかっているロイから逃げられるわけがない。
ロイがジェレミアに聖剣を振りかざす。
しかし、その時だった。
「甘い! 剣を振りかざす瞬間を待っていた! 詠唱破棄! 【黒よりシュヴァルツ・アルス・黒いシュヴァルツ・星の力ステーンステーク】!」
言葉にするとの同時に、ロイの周辺の重量が何倍にもなる。
聖剣を振りかざしたのが裏目に出た。重力の負荷が本來の何倍も強い環境下で、聖剣を頭よりも上に挙げているなど、ジェレミアの策略どおりだとしても最悪すぎる。
結果、必然的にロイはその場に倒れてしまう。
「……強化をッッ、2重――否! 3重にィッッ!」
「それも予測済みだ。――ありのままの世界よ。あるべき姿の真実よ。魔による現実の浸食を、どうか赦し給え。魔師の傲慢を、どうか免じ給え。我は祈る。我は願う。その贖罪により、一時でも、ありのままの世界を此処に! 【零の境地】!」
「ガ、ハ……っつ!?」
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