ロイが王都に來訪して、そしてグーテランド七星団學院の中等教育上位に學して、もうすぐで２ヶ月が経とうとしている。

王國の新學期はサファイアの月、ロイの前世でいう９月に相當する時期から始まるため、學して２ヶ月が経とうとしている今は、トパーズの月、同じくロイの前世でいう１１月に相當する時期である。

石造りの建に、石畳が並ぶ城下の街。

西洋の街並みを抜けて、ロイは學院に通學する――、

――シーリーンとイヴとマリアの３人と一緒に。

「眠い……」　と、ロイがあくびを噛み殺す。

そんな彼の片腕には、小柄なブロンドの、シーリーンが抱き付いていた。

寶石を溶かして作った糸のような金髪ブロンド。つぶらでパッチリした黒曜石のような夜空の瞳は、今に限って言えば眠そうだ。そして黒い瞳を際立たせるがごとく初雪のように白いはどこかっぽい。

「昨日はお楽しみだったもんねぇ……ふぁ～」

「ちょ！　シィ！？」

「弟くんの聲で聞こえませんでしたね。イヴちゃんは聞こえた？」

「ううん、聞こえなかったよ？」

実は最近、みんなが寢靜まった夜になると、シーリーンがロイの自室に夜伽にきて、人同士２人きりで、朝日が昇るまでイチャイチャしていることが多い。しかも男にとっては喜ばしいことで、シーリーンの初めての証は、〈永遠のエーヴィヒカイト・処ユングフラオ〉というフーリー特有のスキルによって毎朝、日の出と共に再生するのだ。

テクニックと度といやらしさはどんどん上がっていくのに、キツさと反応と処の証は、未だ初めての時とまったく同じに初々しく瑞々しい。

流石、だけの種族である。

「あっ、聖剣使いのお兄ちゃんだ！」

「カノジョさんもいる～っ！」

「黒髪の姉妹も！」

と、王都に住む子供たちが４人の橫を通りすぎる。

今ロイが歩いている辺りでは、４人はすっかり顔を覚えられていた。

ロイはもちろんのこと、シーリーンは見間違えることのないほどの傾國級のブロンドだし、イヴとマリアもで、しかもロイの妹と姉なのだ。４人１組の仲良しグループとして、関連付けられて覚えられている。

だが決して、ここらに暮らす王都民は、ロイのことを、そして彼と仲良くしている３人のことを、変に持ち上げて、変にチヤホヤして有名にしているのではない。

自然な接し方で、フレンドリーに挨拶などをわし、緩やかに顔馴染みになっていったのだ。

（そういえば、家族だったから特別意識していなかったけど、シィだけじゃなくて、イヴと姉さんもって呼ばれているんだよね）

姉妹揃って夜空の髪を、イヴはいツインテールにして、マリアはお姫様カットのロングストレートにしている。どちらも髪はサラサラで、の子のいい匂いがした。

２人の赤い瞳はルビーをはめ込んだように綺麗で、イヴもマリアも、伝のせいなのか、パッチリした二重だった。

きめ細やかなに、普通のの子からも憧れられるような、お人形のように小さな顔。

お姫様のようなアイドル的な可さ、しさではなく、親しみやすくて誰にでも手が屆きやすい可さ、しさだった。

「――ねぇ、イヴ、姉さん」

「ぅん？」「はい？」

「２人って、異に告白されたことってある？」

「あるけどお斷りしたよ！　わたしはお兄ちゃん一筋だもん」

「わたしもですね。申し訳ないと思うけど、弟くんと比べたら、どんな男の子も理想から遠すぎるんですよね」

「理想？　ちなみに、２人の理想の男の子は？」

「お兄ちゃんだよ！」「ふふ、弟くんですね♪」

ロイは自分のことを、軽度とはいえシスコンと自覚していたが、イヴとマリアは、それ以上にブラコンだったようだ。

イヴは慎ましやかなを張って、自信満々に宣言して、マリアは頬の手を當てながら、照れてはにかみながら宣言する。

「ちなみに、シィの理想もロイくんだから♡」

臆面もなくシーリーンは、ロイの腕に抱き付く力を強くしながら言う。

がくっ付いているが、例のごとく、當たっているのではない。當てているのだ。

「まぁ、シーリーンさんからしたら、弟くんは本當に白馬の王子様ですからね」

「しだけシーリーンさんが羨ましいよぉ……」

このようなやり取りの數分後、ロイたちは學院の門に到著する。

言わずと知れた、國立グーテランド七星団學院。

剣の道を極めるにしても、魔の道を究めるにしても、最高水準の教育をけられる、王國最高の教育機関である。グーテランド七星団學院は、長い歴史の中で、多くのキングダムセイバーやロイヤルガード、オーバーメイジやカーディナルを輩出した驚異的な実績を持つ。

竜が攻めてきても問題ないぐらい堅牢無比けんろうむひな城のごとき學舎。広大で緑かな敷地。この時代、この文明において、最先端にして最高級の設備が揃っている特別棟。靜謐で格式高く、建そのものが蕓作品のような図書館と禮拝堂と講堂。

そして、今、ロイたちが立っている厳かで、それそのものが存在を威風堂々と主張するような學院の門。

その學院の敷地ギリギリのところで、ロイはシーリーンに確認する。

「シィ、今日も訊くけど、大丈夫？」

「うんっ、大丈夫だよ」

言うと、シーリーンは豪奢な西洋風の門をくぐり、學院の敷地にった。

まだ始業の鐘が鳴るまで時間があるため、つまり遅刻になるまで時間があるため、多くの學生は余裕を持って登校してきている。一番學生が登校してくる時間帯。そのように周りに他人がいる中で、シーリーンは不登校児なのに、無事、登校できた。

「ロイくん、褒めて褒めて？」

「しょうがないなぁ」

だが満更でもない様子で、ロイはシーリーンのやわらかなブロンドをでる。さらさらで、指が髪に絡まるなんてありえない。の子の髪をでると気持ちいいとよく言うが、神的な理由でだけではなく、的にも、指の表面が気持ちよかった。

心としても好きなの子の髪をでて満たされるし、、指としても快い。

「えへへ～」