放課後、ロイとアリスは學院の中庭に呼び出されていた。

シーリーンとイヴ、そしてマリアに、事を説明して！　とのことで。

「いい、ロイくん？」

シーリーンが切り出す。

シーリーンとイヴとマリアの３人が座る橫長の椅子、そのテーブルを挾んで対面の椅子にはロイとアリスが背筋をばし、ロイは手をグーに膝の上に置いて、アリスは両手を重ねて膝の上に添える形で座っていた。

まるで面接のようである。

「シィはね、シィとアリスのどっちが１番目なの！？　なんて訊く気はないよ？　ロイくんには、好きな人を平等に、つまり同じぐらいしてほしい」

「ありがとうございます」

「でも、ロイくんにも、そしてアリスにも、シィに話せないを作られたことはショックだったな」

「ゴメンね、シィ」

「シィ、ゴメンなさい……」

ロイ、次にアリスの順番で素直に謝ったが、２人とも當然、罪悪を覚えているし、シーリーンの方だって、シュン……と元気がなさそうにしょぼくれていた。

「シィはを作るなって言いたいんじゃないの。を作ってもいいけど、伝えるべきことはきちんと伝えてほしいって言っているの」

「うん……」「ええ……」

と、ここでシーリーンはパン、と、１回だけ両手を叩いた。

「はい！　じゃあ、この話はここで終わり♪　今日からは３人で１組の人だよ？」

にこっ、とシーリーンは笑う。可らしい笑顔だった。

翻って、シーリーン本人が笑顔なのに、ロイとアリスはどこか戸ってしまう。

「シィ……許してくれるの？」

「うんっ、ロイくんもアリスも反省しているし、幸せになれるのなら、みんなで幸せになった方が嬉しいから。それに――」

「「それに？」」　と、ロイとアリスの聲が重なる。

「ロイくんに前にしだけ説明したよね？　フーリーの伝承を」

「うん」

「そもそもフーリーっていうのは、ハーレムを前提に生まれてくる種族だもん。神話の時代、フーリーというだけの種族は、天國にやってきた男にお嫁さんとしてあてがわれる役目を創造主によって與えられた。その時、一何人のの子が男のお嫁さんとしてあてがわれるかって訊かれたら、天國の最下層の男だとしても、最低７２人なんだよね」

「ハッ！？」

「それって１人の男が７２人のハーレムを作るってこと！？」

「うん、しかも天國に住む男全員が。まぁ、的に言うと、１人の男にあてがわれるフーリーは２人だけで、他の７０人は幽霊になっただけで普通のの子、つまりフーリーじゃないんだけど」

「すごいよ……。私には想像できない世界だよ……」

「イヴちゃん、それが人間からしたら正常ですからね？」

「でも種族はバラバラでも７２人以上のハーレムを認めるのがフーリーという種族だから、実はシィ、今日、アリスもロイくんと付き合っているって聞いた時に初めて自覚したんだけど、ハーレムを許せるみたい」

「ボクが言うなって話だけど、シィにしては意外だね……」

「前まではハーレムに対して、頭では『しどうなんだろう？』で、心では『でも、本人たちが幸せならいいのかな？』ってじだったんだよ？　でも今日、実はロイくんがハーレムを作っていて、自分もその一員だったって知ったあとは、頭の方には変化がなかったけど、心では『あれ？　意外と許せるなぁ』って好印象だし」

「そうなんだ。でもね、シィ、ボクはハーレムなんて作ってないからね？　人はシィとアリスだけだからね？」

「お兄ちゃんにはそれを突っ込む権利はないよ？」

「悪いのは弟くんとアリスさんですからね？」

「……ゴメン、突っ込むのは確かに調子に乗っていたかも」

ここでシーリーンは「コホン」との子らしく小さく咳払いする。

「つまり！　シィは二をかけられたことに怒っていたんじゃないの。伝えるべきことを伝えられていなかったことに怒っていたの。でも、もう許したけどね。ロイくんもアリスも、次からは気を付けるんだよ？」

「うん」「はい」

するとシーリーンは優しく微笑んだ。これで、一先ずシーリーンには許してもらえたらしい。

となると次は――、