（そういえば、ロイの部屋に招かれるのって初めてね）

アリスを呼び出すためにロイが指定したのは寄宿舎の一室だった。ロイによると、アリスが泊まれるよう、手配はすんでいるらしい。

寄宿舎にお邪魔した段階、いや、寄宿舎への道のりの段階で、アリスは々はしたないが、下腹部の奧の方がキュンキュンしてしまっていた。非常に俗っぽいが、風俗に店する前、道のり段階で興してしまう男と似たようなモノだ。

無論、アリスは男なら誰でもいいというわけではない。

呼び出したのがロイだから、彼ならいいかな、と思えることができた。

夜、呼び出し、自室、お泊り。この４つが揃ってがドキドキしない思春期のの子なんているわけがない。

アリスはロイの部屋を目指して４階――ではなく、５階のとある一室の前で立ち止まった。

そして大きく深呼吸を２回。

「ロイ？　その……お泊まり、に、きた……わよ？」

『鍵は開いているからっていいよ～』

部屋の中からロイの聲が返ってくる。

アリスは明のある細いを、コクリ、と鳴らして生唾を飲み込み、そして部屋のドアを開けた。

「アリス、夜遅くに呼び出してゴメンね」

「シィ、一度アリスとお泊り會をしてみたかったんだよね♪」

「……え？」

部屋にはロイだけではなくシーリーンもいた。しかもシーリーンは寢間著でベッドの上をゴロゴロしている。男であるロイが目の前、機とセットになっている椅子に座っているのに、だ。

そしてロイも浴したあとなのか、髪はしだけ濡れていて、シーリーンと同じく寢間著である。

「ハッ、まさか３人プレイ！？」

「ぅん？　どういうこと？」

「アリス、チェスは３人でできないし、そもそも遊ぶためじゃなくて、話したいことがあるから呼んだんだよ？」

「ならどうしてロイは寢間著なのよ！？」

「アリスと話し終えたあとに浴しようと思っても、浴時間は終わっちゃうからね」

「～～～～っ」

恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい。と、アリスは顔を真っ赤にする。

全て自分の勘違いだった。年頃の乙がはしたない、と、アリスは自分で自分を心の中で叱る。

ここまでの道中、ロイの腕と板に抱かれる妄想をしていた自分がバカみたいだ。

「アレよね？　泊まるのはロイの部屋じゃなくて、シィの部屋よね？」

「當たり前じゃないか。學院に在席する男の同衾を許すなんて、學院の施設の１つである寄宿舎が許すと思う？」

「ええ！　そうよね！　知っていたわよ！」

「なんで逆ギレ！？」

腕を組み、ぷんぷんと頬を子供っぽく膨らませるアリス。

一先ず、ロイはアリスをシーリーンが寢転がっているベッドの縁に座らせて、自分は機とセットになっている椅子に。

ここから、今まで聞けなかった話を始めようとする。

「アリス、ゴメン、実はシィにはもう全て話したんだ。ボクとアリスが本當は付き合っていないことを」

「……えっ」

「ボクも、そしてアリスも、今日の放課後にみんなで集まった時、シィに、次にナイショの話をする時は気を付けてね、って言われて頷いたよね？　ボクはうん、って。アリスははい、って。だから話してもＯＫって解釈してみたわけ」

「ああああああああああああ！？」

「アリス？　夜は靜かにしないとダメだよ？」

「あっ、ご、ゴメン、シィ」

シーリーンに宥められて、アリスは謝りながら冷靜さを取り戻す。

「図ったわね、ロイ？」

「いや、本當に図ってないんだよね、これが」

「えっ？」

「あんなやり取りになったのは全くの偶然だし、それを校門に向かう途中で、なんていうか直して、利用できるなら意図していないモノでも利用しようかな、って」

「ぐぬぬ……」

悔しそうにアリスは唸った。

それを見てシーリーンは、同じの子ながら、アリスのことを可いと思う。

「それで、そろそろ説明してもらうよ？」

「……っ」

「なんでアリスは、ボクと人なんてウソを？」

「シィだけは知っている狀態だけど、未だ、學院の全員、イヴちゃんやマリアさんも騙していることになるんだよ？」

そう言われて、意外にもアリスは混しなかった。

いや、それは落ち著いていたからという意味ではなく、逆に、もう諦めてしまったから、もうどうでもよくなってしまったから、と、そういう意味だろう。

ここに呼び出されたアリスの妄想ではない、正しい理由を知った時點で、どこかこうなることを、こういうことを訊かれることを、察して、そして事を放り投げるようにしてもいいと思えてきた。

だからアリスは、なにもかもどうでもいいかなぁ、という一種の気楽なじによって、フラットに語り始めた。

「私、もうすぐ結婚するのよ」

「――ハ？」

「ほえ！？」