《ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&長チート&ハーレムで世界最強の聖剣使いにり上がる語~》4章8話 2人きりの自室で、ロイにを――(2)

そして驚いているロイを意に介さず、マイペースに話を始める。

「ロイさん、実はあなたに、いい話と悪い話と普通の話があります」

「……先に聞きたいヤツを選べ、ということですか?」

「いえいえ、違います。話をわかりやすく伝えるために、私が勝手に、普通の話、いい話、悪い話の順番で語らせてもらいます」

アリシアは「こほん」となのに、大人ぶって、背びしたじで咳払いをする。

しかし大人らしさは微塵もなく、むしろ背びしていて可い。

「あなたのルーンナイト昇進試験、その対戦相手が決まりました」

別にロイは驚かない。

逆に、平然と返した。

「レナード先輩、ですよね?」

「あらあら、バレていましたか」

「簡単なパズル、誰にでもできる辻褄合わせですよ。先輩はボクと同じで聖剣使い、そしてランクも同じでロードナイトです。もう、この時點で先輩がボクの対戦相手として選ばれる要素が揃いすぎています。けれど、それ以上に――」

「?」

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「他ならぬ特務十二星座部隊の一員であるあなたが、ボクと先輩の決闘に介した」

「正解です」

「そう、他の人が仲裁するなら、ケンカかもしれない! と、勘違いして普通かもしれませんが、実際に止めたのは他ならぬあなたです。偶然とは考えづらい」

「そうですわね。王國に特務十二星座部隊は12人しかいないのに、そのうちの1人がたまたま仲裁にるなんて、とんでもない確率ですし」

「そして最後の最後に、究極的な決定打があります」

「それは?」

「それは、アリシアさん、あなたはボクと先輩の決闘を、正確には仲裁したんじゃなくて、私が預かるって言って、実際に預かりました。つまりこれは、いつかまた、再戦の機會を與える、ということですよね?」

「パーフェクト」

楽しそうにアリシアは笑う。

目を細めて、口元を緩ませて笑う表は、どこからどう見てもそのもの。

「実はあの時から、2人が対戦することは決定事項でした。で、今夜はそれに加えて、正式な対戦日時も決定したので、それをお伝えに」

「それだけのためにアリシアさんが?」

「いえいえ、先ほど口にした3つの話、そのうちのいい話に関しては、他の誰にも、私にしかロイさんに伝えられない話でしたので」

「それで、そのいい話って――」

ロイはアリシアにどこか縋るような目を向けた。

で、ロイのその視線をけて、アリシアは、初めて會った時から初めて見せるような、真剣な表で言葉を紡ぐ。

「ロイさんのお友達、アリス・エルフ・ル・ドーラ・オーセンティックシンフォニーの結婚式は、本當に、あと10日後です」

「な――っ」

二重の意味で、なぜアリシアが知っているのだろう?

アリスの政略結婚のことで、ロイがもがいていることも。

アリス本人すら知らなかった結婚式の日時も。

2つとも、誰もわからないはずなのに。

アリシアの得の知れなさに、ロイは、聲を震わせて問う。

「アリシアさん、あなたは何者なんですか……?」

「うふふ、そうですわね。ロイさんには、私の正を明かしましょう」

パチン、と、アリシアは指を鳴らす。

瞬間、アリシアのが淡い燐を発した。

シルエットだけの狀態になったアリシア。

急激に長がび、がシーリーンよりも、マリアよりも大きくなり、ヒップのラインと太ももがむちむちしたじになる。

そしてから発生していた燐が収まると、そこには、1人のエルフがいた。

「アリシアさんって、まさか――」

ブロンドのゆるふわロングの髪。サファイアのように蒼い瞳。

まるで、アリスの髪と瞳のように。

「私の本名は、アリシア・エルフ・ル・ドーラ・オーセンティックシンフォニー。エルフ・ル・ドーラ家の長で、要はアリスの姉ですわ」

「なんでアリスのお姉さんがの姿なんかに……」

「理由はさておき、自分で言うのもアレですが、可らしいだったとは思いませんか?」

見る者の全員をに落として惚れさせるような、可らしい笑顔のアリシア。

そんな彼に対して、ロイは相手の方が目上ということを忘れて溜め息を吐いた。

「まさかロイさんとアリスがお友達でしたとは……。そうだったなら、もっと早く正を明かせばよかったです」

「もしかして、最近知ったんですか?」

「はい。ロイさん本人と、レナードさんについては昇進試験の都合で資料を読んだのですが、あくまで本人のスペックをメインで読んだので、友人関係にまでは……」

「なんて酷いすれ違いなんだ……」

目に見えて落ち込むロイ。

そう、つまりロイとジェレミアの決闘の際、ロイがジェレミアに幻影魔をキャストされていた時、エルヴィスが「ロイの友達のようだな。ブロンドのの子が、今回の男同士の決闘の発端らしい」と発言して、アリシアが「――、そういう言い方をすると誤解を招きますわよ?」と応えたが、彼がこの時言った『誤解を招く』というのは、エルヴィスの発言が『2人の男の子が1人のの子を奪い合って戦っている』なんてイジメ要素皆無なじにも捉えられるから、そう指摘したのではない。シーリーンもアリスも、微妙に彩が違うがブロンドには変わりなく、ブロンドのの子という表現だけだと、『ロイがアリスのために戦っている』とも捉えられるから、そう指摘したのだ。

なぜこの時、アリシアは『ロイがアリスのために戦っている』という捉え方に対して誤解を招きそう、と、言えたのか。実際に誤解してしまう前に『誤解を招きそう』と気付けるということは、その可能を排除できる理由があったということ。そしてその理由とは『アリシアはこの時、アリスにロイという知り合いができたとは知らず、つまりロイとアリスは他人という認識を持っていて、まさかロイに限らず誰もが他人のためには戦わないだろうから』というものである。

ロイは今「もしかして、最近知ったんですか?」と口にしたが、逆を言えば最近より前は知らなかったということ。で、以上が最近より前は知らなかったということに対する証明である。

それ以降も同様だ。例の決闘の時點で知らなかったのは前述のとおりだが、それ以降も知る機會が特になく、今回アリシアが2人は友達ということを知れたのは、ちょっとした興味本位で(本當は々いけないことではあるが)ロイのプライベートなことまで調べたから。

「でも、アリスの結婚式の日程がわかったのは収穫です、ありがとうございました。それで、最後の悪い話というのは――?」

珍しく、アリシアは會話の相手から目を逸らした。

なにか後ろめたいことでもあるのだろうか。

だが、そして、アリシアはなにかを吹っ切るように、ロイに告げた。

「ロイさん、申し訳ありません」

「へっ?」

「昇進試験を取り仕切るのは、それ専門の部署で、私は確かに特務十二星座部隊の一員ですが、そこに介するのは難しいんです」

「アリシアさん、一なにを……?」

「そしてアリスの結婚式も、日程についてはエルフ・ル・ドーラ家の都合よりも、相手の家の都合が優先されて、私には介できませんでした」

「――っ、まさか!?」

アリシアは悲しげに瞳を潤ませて揺らした。

それだけで、ロイは、アリシアのいう『悪い話』とやらを察してしまう。

最悪で、最低で、ロイとアリスに立ち向かうための勝機、そして希すら與えない、と、言わんばかりの現実だ。

ふざけるな。

思わずロイはそう怒鳴りたくなってしまう。

そう、即ち、悪い話というのは――、

「ロイさんのルーンナイト昇進試験と、アリスの結婚式は、同じ日にちなんです。ラピスラズリの月の1日、日曜日。昇進試験に臨むなら、結婚式の邪魔はできない。逆に結婚式の邪魔をするなら、功するにしても、失敗するにしても、昇進試験に間に合いません」

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