《ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&長チート&ハーレムで世界最強の聖剣使いにり上がる語~》2章15話 解答保留のプロブレム(6)

私服のポケットから、1個の黃金のような沢を放つ立方をアリシアは取り出す。

目算ではあるが、一辺は恐らく2~3cmぐらいしかないだろう。それでも、もしそれが本當に黃金なら、とんでもない高級品ということになるが。

「私の先代の【金牛】からいただいたアーティファクトです。すでにお亡くなりになられていますが、生前、面識がありましたので1個だけ分けてもらいました。簡単に説明しますと、これを忍ばせたポケットの収納量を持ち主の任意の量にして、収納対象の重さ、大きさ、熱さ、その他諸々を無視できるアーティファクトです」

「ご族の方の了承を得て、これを人數分、用意する手はずですわ」

「ちなみにそのアーティファクト、ポケットの部を全員で共有することは可能ですか?」

「えぇ、ロイさんに言われずとも、元から先代の【金牛】がそのように設計しております。ご安心ください」

數に限りがあり、かなり製造が難しい代だったため、アリシアは早々にそれをポケットにしまい直した。

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もちろん、アーティファクトとしての効果はオフにした狀態で。

「さて、ようやく、本當にようやく、作戦會議も終わりに近付いてきました。いよいよ滯在終盤に行う破壊工作について説明いたします」

ふと、アリシアは資料に一度目を向けて――、

そしてそれだけで前を向き直すと――、

「改めて、研究施設の名稱は軍屬北西區域第13研究所。

主な研究容は聖剣と魔剣の複製、量産方法の発見と確立。並びに霊脈、つまり魔的地下資源の制、運用技の効率化と一般化。

市街地から西に約3kmも離れた地點にあります。敷地面積は南北に推定850m、東西に推定550mで、よって面積は約46萬7500m^2と推定されるとのこと。

四方を高さ5mの壁で囲まれており、その上部には高電圧有刺鉄線があります。これの源となっているアーティファクト、あるいは魔師は、當たり前ですが表から確認できる場所に存在しませんでした。出口は5ヶ所。市街地から続く道と直結している真正面の正門。敵襲や自然災害、研究対象の暴走などを考慮したと考えられる避難口が3つ。そして文字通り裏口。この裏口から本當に真っ直ぐ行くと貧民街《スラム》がありますので、まぁ、そういうことでしょう。また、この5ヶ所の口の全てで、遠隔監視を可能とするアーティファクトの存在を確認しています。

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正門には常時、守衛が6人。3つの避難口にも常時、6人。あれ? おかしいですね。なぜか裏口には常時、守衛が10人です。さらに敷地の四つ角には壁がガラスになっている箇所があり、敷地の側の守衛室から常時、3人、合計で12人の守衛が周辺を警戒しています。ですが、このガラス張りの箇所はダミーで、ここから見える部は魔で景だけを繋げた事務所のどこかでしょう。

壁の側、敷地は全6棟によって構され、1つは事務所・兼・來賓のための迎賓館。地下室が存在するか否かは不明。地上は4階建てで、極力來賓に階段を上らせない、防犯上、窓が存在する上の階に案させない、主にこの理由で研究員の個人報が眠る事務所は上の階層か、存在すれば地下室と推測されます。

2つ目と3つ目は研究員や警邏兵の宿舎。こちらも4階建て。これは完璧に想像ですが、常識的に考えるなら、男が下でが上でしょう。

部屋の數は両方、1階のみエントランスが存在しているため32部屋、2~4階は各々36部屋です。異常なほど部屋の數が多いですが、窓の大きさとベランダのパーテーションから推測するに、ワンルームタイプの部屋のはずです。地下室に人が住むとは考えづらいですが、代時間を待っている看守の待機室や倉庫など、こちらも地下に空間がある可能は否定できません。

そして、4~6つ目の建こそ我々の本命、研究棟です。1つは4階建て、1つは6階建て、で、最後の1つが驚異の10階建て。なお、この3つの建の窓は1階と2階にしかありません。で、第13研究所は聖剣と魔剣の複製、量産方法の発見と確立の他に、霊脈という魔的地下資源の制、運用技の効率化と一般化を目指して設立されたはずですから、各員、この研究棟に関して言えば、地下空間があると斷定して任務に挑んでください。

いえ、むしろ重要なのは地下空間の有無ではなく、地下空間の大きさがどの程度であるかの方でしょう。先ほども言いましたが、ここの面積は約46萬7500m^2です。研究施設としてはかなり大きい部類にるはずですが、採掘場も兼ねているなら、むしろ小さ目の敷地面積と言えるはずです。この目に見える約46萬7500m^2の真下に、それをかなり凌駕する面積の階層が待ち構えている、と、認識しておいた方が、當日までには覚悟が完了すると思います。

資料のイラストを見てもらえばわかると思いますが、東に前述の正門があり、そこから直進すると大きめの噴水、それを迂回すると迎賓館です。この迎賓館は敷地の中央よりわずかに東にあり、その南西に研究員たちの寮、北西に3つの研究棟があります。避難口は敷地の南側、迎賓館の真南に1ヶ所、寮の付近に1ヶ所、そして敷地の北側、迎賓館と研究棟のどちらにいても使うことができるような座標に1ヶ所、最後に裏口は研究棟に直通で行ける北側にあります。微妙に避難口の配置に違和を覚えますので、恐らく、この周辺には地下空間の出口もあるのかもしれませんね。不確定要素が強すぎますので、任務で使うことは今のところ考えていませんが。

最後に――、――、――、この施設は軍立の研究施設です! 地下空間の有無とか! 建造部の構造とか! わからなくて普通です! むしろ私はかなり! かなり! それはもうかなり頑張りました! この見取り図は! 當該施設から! 30kmも離れた山中で! 私が! ボッチで! 遠視の魔をメインに! ある時は施設から別方向に最大30kmも離れた山中に鏡を設置し! 反を利用してあらゆる角度から観測! また別のある時は遠視の魔に加え、熱源反応を知する魔をキャストして! まさかの24時間耐久レース! 今度こそ汚名を雪《そそ》ぐため! 王殿下がロイさんの國外追放を決定したのを聞いた瞬間! 時流作なり時間遡行なり、時屬の魔をキャストして! 2週間の準備期間をたぶん、だいたい3時間に圧して! 4時間前にようやく帰還し! 自ら! 誰にも頼らず調べて、既存の報と照らし合わせ、信頼できると斷言できる報です!」

「落ち著け、アリシア! 誰もお前を責め――……」

瞬間、アリシアを宥めようとしたエルヴィスの頭は、1つの事を思い出した。

即ち、アリシアが演説終了間際にやらかした大規模戦闘で、ロイが1回死んだんだったな、と。

それが原因で、ロイのことをしているの子たちは泣き止まなかったはずだな、と。

「……――てる可能は否定できないが、それでも、まぁ! 落ち著け!」

「かばうなら最後までかばってください!?」

エルヴィスに勢いを挫かれたため、アリシアは深呼吸するだけで冷靜さを取り戻す。

結果的にエルヴィスのんだ方向に會議は進んでくれそうだった。

「お兄ちゃん、30kmってどのぐらい?」

「七星団本部からだいた――」

「うぅ……、前世の地図じゃないと正確なイメージがわかないんだよぉ……。グーテランド、地図が間違っている可能もあるし、街と街の間がスカスカだから……」

「となると、東京駅と橫浜駅の直線距離が約27kmだったはずだから……、上野駅から橫浜駅の直線距離ぐらいかなぁ……?」

「えっ? ち、ちなみに、約46萬7500m^2は……」

「う~ん、パッと思い浮かばないけど、明治神宮外苑が約30萬m^2で、新宿苑が約60萬m^2だったはずだから、だいたいその中間をイメージしてくれれば……。ゴメンね、間違っているかもしれなくて」

「ううん、そんなことないよ! そんなにすぐに答えが出てくる人、滅多にいないと思う!」

「そんなことないよ。ボクはまだまだ勉強することが山ほどあったのにこっちに來ちゃったし」

「えぇ……、本當の本當にそんなことないのに……、だよ……」

ロイは本気でそう思っているらしいが、なくともイヴの元同級生に、東京駅と橫浜駅の直線距離と上野駅から橫浜駅の直線距離、そして明治神宮外苑と新宿苑の面積をだいたいでも答えられそうな生徒はいなかった。

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