《ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&長チート&ハーレムで世界最強の聖剣使いにり上がる語~》2章24話 原因不明のスキル(2)
一瞬だけ、アリシアは続きを言いよどんでしまう。
スラスラと滯りなく説明できていたのが仇となってしまったようだ。気付いた時にはもう、続きを「いえ、やっぱりなんでもありません」と誤魔化して、なかったことにできる段階を通り過ぎてしまっていたのだから。
今から言おうとした報が、別に忌的というわけではない。ロイ本人を傷付けたり、悩ませたりするようなモノでもなければ、彼のことをしているの子たちを怒らせたり、悲しませたりさせるようなモノでもない。
しかし、確かに著名な學者たちが、學會などの正式な場で論理的に主張しているとはいえ、第一印象がどうしても似非科學ならぬ、似非魔的な報だったから。聞けば頭の中でクエスチョンマークが浮かび「つまりそれってどういうこと?」と思われて當然の報だったから。
とはいえ、ここで中斷しても、ロイなら會議終了後か、生還できた場合なら任務終了後、自分で図書館に赴いて調べるはずだ。図書館が國外追放に関する政治的な都合で難しかったとしても、彼にはこの城の書斎で調べるという手段もある。
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だからアリシアはアンニュイな表で、意図的に、形からだったとしても自分の口調、テンションを冷ますと――、
「自分の信仰対象が自分になるほど――、
自分の信念が教義や戒律になるほど――、
個人の価値観を突き詰めていて――、
なのに獨自の世界観で突き進み――、
――個の影響力で世界を一新する――、
――そのようなと外、両方において、
――『存在として完する可能』を、
――たとえ1%でもめた存在。
――そのように解釈して研究を進める學者も、ないですが普通にいて、論文の容次第では、普通に高評価をいただくこともあります」
剎那、會議室と化したロイの自室に靜寂が広がりかけた。
十中八九、次の瞬間、シーリーン、アリス、イヴ、マリア、ヴィクトリア、クリスティーナ、レナードの視線はロイに集まるはずだ。
悪意があるわけではないだろう。
だが、気まずい空気が発生することは火を見るよりも明らか。
時屬の魔なんて使うまでもなくそれを予見し、彼と、彼をするの子たちと、そして彼のライバルが気まずくならないように、先手を打とうと考えたがいた。
彼は隣に座っていたシーリーンの肩をポンポン、と、叩くと――、
「シャーリーさん?」
「継続――お勉強タイムはまだ続いています。次は聖剣と魔剣の違いについてです」
「あれ? そういえばそうかも……。聖剣も魔剣も、スキルが宿っているのは同じなんですよね? なら、2つの違いって……」
「回答――スキルにはデザイアが必要不可欠、ということは恐らく間違いではないと考えられているが――、教科書のここにあるとおり、デザイアをもとに上書きする現実が、正常にデザイアを反映していたら聖剣、デザイアを屈折させて反映していたら魔剣、そのように區別しています」
言っている途中、シャーリーはシーリーンがテーブルに置いておいた教科書の當該部分に、橫からわかりやすく指を差してあげた。
「なら、その正常か否かはどのように……」
「一度スキルを発させて、その時の反応を、何人もの魔師やいくつものアーティファクトを起用して調べるしかない。ロイのエクスカリバーとレナードもアスカロンも恐らくそうだったと思うが、なくとも、オレのデュランダルは絶対にそうだった」
「あれ? でもお兄ちゃんのエクスカリバーって……」
「えぇ、弟くんが抜く前から聖剣だって伝承で……」
「つーことは、先代がいたんだろうなァ。ロイが抜くまで誰も抜けませんでした~、なんて聞いたことあっけど、それが本當なら、誰も抜けなかったこと以外の伝承なんて生まれるわけがねぇ。まぁ、もし矛盾なく辻褄を合わせるんだとしたら――」
「――仮にボクの先代がいた場合、最初からエクスカリバーを保有していて、持ち主本人も聖剣の方も役目を終えたあと、初めてそれは石に刺さった、ってことだろうね」
「気が遠くなるような話でございますね。記録どころか伝承にも殘らないほど、ご主人様の先代の方が昔の人なんて……。仮に存在したらの話でございますが……」
「傷――時間遡行は過去改変が起きる可能があるから論外だとして、私めの過去視でも、恐らく昔のことすぎてなにも見えてこないでしょう……」
と、そこでパンっ、と、ヴィクトリアは手を打った。
「ひとまず、本日の作戦會議はここまでということでいかがでしょうか? 日も落ちてまいりましたし、ディナーの用意も進んでいるはずですわ♪」
「そうですね。では、シーリーンさん、それとイヴさん」
「はいっ」「わたし? お兄ちゃんじゃなくて?」
「まずシーリーンさん。勉強でも、任務のことでも、わからないことがありましたらいつでも私のところにきてください。むしろ、わからないことを放置されている方が、こちらとしては大問題ですので。もし私のところを訪れるのが理的に、あるいは心の問題で難しかった場合、その時はアリスや他のみんなに」
「りょ、了解です! 気を付けます!」
「次にイヴさん、明日のちょうど今頃の時間、用事などありますか? あなたの場合、狀況がかなり特殊なので、できれば個別に作戦容を微調整したいと思っていたのですが……」
「わかりました! 大丈夫だよ!」
「では、これにて會議を終了したいと思います! 各員、王國を発つその日まで、しばらくの別れを告げる王都での日常を楽しんでおいてください」
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