《ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~異世界転生&長チート&ハーレムで世界最強の聖剣使いにり上がる語~》3章10話 真実到達のファーストステージ(4)

そこでアリシアは數秒だけ、改めて考えてみる。

確かに、こちらがこの可能に気付けたのはロイという異世界人のおかげだ。

しかし、參謀本部の中に、1人か2人ぐらいはこの可能に気付いている味方がいても本來おかしくはないだろう。

いくら魔王と神様の関係を知らなくても、敵軍のトップが強さを求めるためだけに戦死者の魂を求めた、という推測程度、1回ぐらい出ていないなんてありえなかった。

考えられる危険因子はやはり、【土葬のサトゥルヌス】を置いて他にいない。

あいつの目的が國王陛下や王殿下の暗殺ではなく、魔王軍の意図に気付いた者の口封じだと仮定すれば、いろいろな辻褄があってくる。

「やはり、國で今のことを話しておかなくて正解だったようです」

『アリシアさんも、ボクと同じ結論に?』

「えぇ、重鎮じゅうちんの暗殺ではなく、魔王軍の狙いに気付いた者の口封じが、恐らく例のアイツの目的だ、と」

「逆を言えば、今ここで話したことを、俺たちが國で話していたらアウトかもしれなかった、っつーことだ。隊長の判斷には謝しかねぇな」

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無線機越しにシーリーン、アリス、イヴ、マリアが、やはり息を吞むじがレナードに伝わってくる。

流石にロイの神力は群を抜いているが、それでも揺していないわけではないだろう。

「ロイさん」

『はい、なんでしょうか?』

「王都に帰還したら例のあいつがどこかに潛んでいることになります。つまり皮なことに、の話をするなら今が一番ということです」

『はい、ボクもそのように考えています』

「――あなたが転生したから、今、この瞬間まで、グーテランドと魔族領について違和を覚えていたことを、全て、教えてもらってもよろしいですか?」

『――わかりました』

予想以上に落ち著いた聲で、ロイは隊長の命令に従うことを決める。

いや、落ち著いているというより、ロイにしては珍しく、その聲音はどこか冷徹でさえあった。

まるで、今から途轍もなく殘酷なことを言う、そのことを暗にほのめかすように。

まるで、今から、本當なら七星団に背くような発言をするように。

『先に言わせてください。ボクはみんなの味方だし、魔王を本気で倒そうと考えている。これまでも、これからも』

『ろ、ロイくん……?』

『それをみんなは信じてくれる。信じてくれると信じて、ボクはおかしい點を、ハッキリおかしいと指摘するけど――』

『ろ、ロイ……?』

『――正常なのは魔王軍の方で、むしろ、ボクの瞳にはグーテランドの方が異常に見えていた』

『『『『「「…………は?」」』』』』

シーリーンも、アリスも、まるで極限まで思考が停止したかのように、あまりにも呆けた聲をらす。

ロイが魔王軍のことを正常と言ったから。

ロイと同郷のイヴでさえ、どうやら言葉を失ったようで、マリアは座りながら無線會議をしていたはずのに、立ちくらみを覚えた時のようにいた。

ロイがグーテランドの方を異常と言ったから。

普段は野なじだが、急時にはかなり冷靜なレナードでさえ、一瞬、頭にが昇ってしまったかのごとく、椅子から半ば立ち上がって音を立てた。

そこで全員を代表してアリシアが――、

に任せて否定しても、なにも解決しません。ロイさん、敵が正常で、こちらの方がむしろ異常、そう考えた理由を聞かせてもらえますか?」

『一番初めに、異常であることが悪で、正常であることが善とは限りません。異常であることが善で、正常の方が悪ということも普通にあります』

「と、言いますと?」

『出國前、ボクの部屋で會議した時、アリスと先輩は奴隷制度に対して嫌悪を示した。特に、アリスは貴族のはずなのに』

の男の子の発言に、真っ先に反応したのは、名指しされたアリスだった。

絶対に理由がある。それを普通に理解していても、否、理解しているからこそ、し悲しげな聲音でアリスはロイに訊いてみせた。

『ロイは……、奴隷制度に賛なの……?』

『いや、ボクもあれは大嫌いだ』

『なら、いったい……』

『なぜかと言えば、それはボクが21世紀の価値観で生きていたからだ』

瞬間、會議に參加していた全員が頷いたような気配がした。

そう、ロイの話によると、グーテランドは彼の前世の18世紀か、一部の進んだ分野に限っても、19世紀にしか相當しないはずなのだ。

『実を言えば、わたしもそこはおかしいと思っていたんだよ。ま、まぁ、わたしの場合は、みんな優しいなぁ、ってしすませちゃおうとしていたんだけど……』

『つまり弟くんは、なぜか人権的な水準のみ、グーテランドは弟くんとイヴちゃんの前世に追いついている、そう言いたいわけですね?』

『うん、グーテランドは街並みや料理、政治や経済などの生活水準は18世紀レベル。科學の方は魔研究の副産で19世紀レベル。だけど、人権に限っていえば、もう誤差ですませられる範囲をかなり超えている。もちろん、奴隷制度なんてウソ偽りなく許せないことだけど、グーテランドの國民がこの結論に辿り著くには、推測だけど、あと100~200年は必要なはずなんだ』

『な、なら、ロイくん、魔族領の方が正常、って言うのは……』

『こっちは普通に奴隷制度をまだ運用している。それに――地説が正しい、そう理解している。さっき本を読んで確認したけど、それは確定報だ』

『『『「「…………は?」」』』』

再度、全員の驚愕の聲が重なった。

流石に今回は、イヴが驚いて聲を上げることはなかったが。

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