《クラウンクレイド》『1-1・Presage』
登場人
三奈瀬 弘人―みなせ ひろと― (18) ・主人公。學校をサボりがちな高校三年生。
樹村 香苗―きむら かなえ― (19) ・子大生。三奈瀬の馴染。
禱 茜 ―いのり あかね― (17) ・主人公。高校二年の子高生。
明瀬 紅―あきせ くれあ― (17) ・禱の友人。スプラッタ-・オカルト映畫好き。
矢野 七海―やの ななみ― (17) ・禱の友人。天文部に所屬。
【1章・滅亡とその方法/弘人SIDE】
1-1
男子高生である三奈瀬弘人-みなせ ひろと-が駅前のコンビニを出ると、9月とは思えない程の熱気が襲ってきた。冷房の効いていた店との寒暖差に弘人は顔をしかめる。著こんでいる制服のブレザ-が暑苦しく、弘人は制服というものに辟易し、ひいては高校自への嫌悪に繋がった。スマ-トフォンで時間を確認すると、11時を過ぎている。今頃、「浦高校」のクラスメイト達は4時限目の授業をけている筈であろう。
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弘人は今日、高校をサボった。突発的ではあったが、初めての事ではなかった。しかし、常習化している様な素行不良な生徒でもなかった。髪も染めていないし、制服を派手に著崩してもいない。顔付きも中的で凄みもなく、中中背で至って平凡な男子高生である。サボりがちな不良でもなく、不登校がちな引きこもりでもなく、朝になれば普通に高校に行き、気が向かなければ高校に行かなかった。
原因と言える程の事ではないが、切掛けは弘人が3學年になった時だった。気が付けば周囲のクラスメイトの皆が進路を決めていた事に、弘人は置き去りにされた様な覚を覚えた。そこで何となく、高校に行くのが気怠くなった。
「あれ、弘人君?」
自分の名前を呼ばれて、弘人が顔を上げると見知った顔があった。ロングスカ-トとカ-ディガンを著た長い黒髪の、樹村香苗-きむら かなえ-であった。香苗は弘人の馴染である。年齢は一つ上の19歳で、今は県の大學に通っている。家が近所だった事が切っ掛けで、稚園時代からの腐れ縁。年の近い姉の様な覚であった。
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學校をサボっている時に知り合いに會うのは、いささか予想外であったが、弘人は何気なく香苗に返事をする。
「香苗じゃないか。どうしたんだ、こんな所で」
「私は今からバイトに、……ってそうじゃないわよ。弘人君こそ、どうしてこんな所にいるの? 學校は?」
「サボった」
「あのねぇ」
香苗が腰に手を當てて、いつもの説教にろうとする。香苗が一つ年上であるというだけで、事あるごとに年上ぶるのだけは勘弁してしかった。駅前でそんなやり取りをしたくはない、と弘人は咄嗟に踵を返す。そんな弘人の態度に、香苗はより一層口を尖らせる。
「あ、ちょっと。弘人君」
弘人を追いかけて香苗が後ろを付いてきていた。香苗は電車に乗ろうとしていたのではなかったのだろうか、と駅前から離れようとしながら弘人はそう思う。差點の赤信號で足止めを食らうと、追い付いてきた香苗の小言が始まる。
「弘人君のお姉さんは、この事知ってるの?」
「研究室に籠りっぱなしらしくて、暫く帰ってきてない」
「そうなの?」
「新種のウイルスがどうとか言ってたけど。姉貴の顔、數カ月は見てないな」
「それ大変じゃない。お姉さん居なかったらご飯はどうしてるの」
弘人の両親が離婚したのは、弘人が中學生の時である。母は出ていき、父が弘人を引き取った。年の離れた弘人の姉は既に獨り立ちをしていたが、弘人と弘人の父での二人暮らしを始めるにあたって家に帰ってきた。弘人の父は出張がちであり、家の事は専ら弘人の姉が取り仕切っていた。
そんな事も香苗はよく知っていた。故に、事あるごとに香苗が世話を焼きたがる。それを弘人としては理解も謝もしている。しかし、高校生という思春期真っ只中の時期に、一つ年上の馴染の子が世話を焼いてくるというのは、非常に機微な問題であるのもまた事実であった。
香苗の問いに弘人は気怠そうに答える。その答えに返ってくるであろう香苗の反応に予想も付く。
「コンビニ」
「それじゃあ、駄目よ。今夜は私が夕飯作りに行くからね」
「良いよ、別に」
「良くないわよ」
押し問答をしているに、歩行者用信號が青に変わった。香苗は何処まで付いてくる気だろうか、と弘人は思いながら差點を渡ろうとする。
そこで弘人の足が止まった。差點の向こう側でス-ツの上著を著こんだ男の姿が見える。他の人は青信號に変わると共に差點を渡り始めたが、その男だけは足を止めたままである。それが弘人には気になった。
車道を挾んでいても分かる程、彼の顔は悪かった。呼吸がれているのか、肩が大きく上下している。それに呼応して彼の元が異常な隆起を繰り返す。その彼が急に苦しみだした。元をかきむしり、背を丸めその場できを上げる。倒れ込んで両手を地面に付いた。香苗も彼の様子に気が付いたのか、差點を渡ろうとする。弘人は咄嗟に香苗の手を取って、その親切心を引き留める。
地面に手を付いて彼はきを上げた。の奧から絞り出した様な言語化出來ていない聲。奇怪な彼の様子に周囲の人が足を止め始めた。ある者達は遠巻きに彼を見つめ、ある者は彼の側にしゃがみ込み背中に手を當てる。
彼が一際大きなきを上げると共に、口から赤黒いを地面に吐き出した。一瞬、その正がであると気が付けなかったのは、それが滝の様に大量に溢れ出したからである。その量故に、まるで個の様に、質量を持つかの様に、重たくが地面に落ちた。赤黒く染まっていく彼の周囲、その真ん中で彼は一際大きなき聲を上げて。そのを大きく跳ね上げるように仰け反らせて。
そして、破裂した。
【1章・滅亡とその方法/弘人SIDE 完】
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