《クラウンクレイド》『5-1・Stranger』
登場人
禱 茜 ―いのり あかね―(17) ・主人公。高校二年の子高生。炎の魔法を扱う魔の家系。
明瀬 紅―あきせ くれあ―(17) ・禱の友人。スプラッタ-・オカルト映畫好き。ゾンビに噛まれたが……。
矢野 七海―やの ななみ―(17) ・禱の友人。天文部に所屬。禱の目の前で死亡した。
佳東 一葉―かとう かずは―(16) ・禱と合流した一年生。水をる魔法が発現した。気弱な格。
葉山 颯―はやま はやて― (16) ・佳東のクラスメイト。異常に冷靜な格。
小野間 遼―おのま りょう― (16) ・佳東のクラスメイト。暴な格。
三奈瀬 弘人―みなせ ひろと― (18) ・主人公。學校をサボりがちな高校三年生。
樹村 香苗―きむら かなえ― (19) ・子大生。三奈瀬の馴染。
【5章・雷鳴と鋼が嘶く場所/弘人SIDE】
5-1
駅前からし離れた場所に位置し、書店やセレクトショップが居している5階建ての商業ビル。公共通機関よりも自家用車文化が発達した地方都市らしく地下には駐車場を備えている。
Advertisement
その最上階の資材用通路の隅で、床に座り込んだ弘人と香苗は息を潛めていた。屋燈で廊下は明るいままであったが、時間は既に夕刻を過ぎて夜になっている。
資材用通路は、ビル5階にテナントとしてっているスポーツ用品店売り場の裏に位置しており、弘人の背後の倉庫の扉から売り場まで一本道となっている。
もし誰かが來たとしても、すぐに確認できる。このような場所に弘人と香苗が居る理由など一つしかなかった。
 スポーツ用品店から拝借した金屬バットを抱え込み、弘人は焦躁しきった表で通路の角をずっと見據えていた。売り場は靜まり返っており、二人の他に誰もいない。
時折、別の階からか音が斷続的に聞こえて、また靜まり返る。
それでも、弘人の耳の奧には誰のとも知らぬ悲鳴がこびりついていた。弘人の傍らで香苗は顔を膝に埋め鳴き聲を圧し殺していた。
駅前で見た景が脳裏を過る。あの景を形容する言葉を、地獄としか弘人は知らなかった。
突如、人間が破裂した。風船の様に膨張して、文字通り破裂したのだった。皮もも臓も散り散りになって周囲一帯に飛び散った。
赤が飛び散り周囲の人間に降り注ぐ景に呆然としていた弘人だったが、気が付けば街中が大混に陥っていた。
を浴びた人々が、突然にも道行く人々を襲い始めていた。彼等は人々に噛み付き、人を喰らい始めた。その歯と爪でを裂いていった。
噛みつかれた人間も、気がれた様に人を喰らうようになった。その混の最中を、弘人は香苗を連れて駆け抜けた。そうして商業ビルの最上階まで逃げてきたのだった。
「香苗、怪我してないか。平気か」
「平気なわけないわ……。何だったのかしら、あれは」
「俺だって、分からないよ」
憔悴しきった表で香苗が弘人の手を摑んだ。
まるでゲームみたいだ、なんて言葉を弘人は呑み込む。洋ゲーでよくあるゾンビが出てくるやつだ。ゾンビが突然現れて人々を襲い始める。
窮地を逃れた主人公が、出の為に銃を片手に走り回るやつ。そんなゲームみたいな展開を空想したことも、んでみた事もある。
例えば、世界が終わってしまえば良いだとか、全部壊れてしまえば良いだとか、そんな事を思ってみたことはある。だがそれは、破滅願とまで呼ぶ程のものではなく。
こんな世界をんだわけではない、そう弘人は誰かにびたくなる。誰だってしは思った事があるであろう、ちょっとした現実逃避でしかなかった。
學校に行くのが嫌で、現実に積み重なった大小の問題點を突き付けられるのが嫌で、朝起きたら世界は終わっていて煩わしい何もかもが壊れてしまっていれば良いと思った。
けれども、こんな形で葉う事なんてんでいない。現実では本當に人は死ぬし、銃なんて落ちていない。役に立つか分からない金屬バットを抱えて、恐怖に震えることしか出來ない。
「弘人君、何か聞こえない?」
「香苗、靜かに」
足音が聞こえて、弘人は聲を潛めそう言った。神経を研ぎ澄ませて、聴覚に全てを傾ける。足音が再び聞こえて、弘人は震え出しそうな自分の腳を強く摑んだ。足音が聞こえてくるのは、同じフロアからで間違いなかった。ブーツの底が立てるい足音がする。
ゆっくりと音を立てないように弘人は立ち上がる。持ち上げようとした金屬バットが床をって小さく音を立てた。弘人の背を冷汗が伝う。
音に気付かれたのか、足音は徐々に近付いてきていた。弘人は何度も脳でシミュレーションする。ゾンビは力が強いがきは鈍いのが定説だ、きっと上手くやれると自分に言い聞かせる。
通路の角から影がびた。グリップを握り締め深呼吸を繰り返す。足を踏み込んできた人影を前に、弘人は思い切りバットを振り上げる。
「ちょっと待った!」
男のび聲に、三奈瀬は咄嗟に手を止める。バットを構えたままの弘人に向かって、その男は両手を上げていた。30過ぎくらいの見た目で、茶髪に染めた長髪を後ろで束ねている。季節外れのアロハシャツ姿は、この狀況に似合わなぬ間の抜けたじを出していた。
バットを振り下ろすのを寸前で止めた弘人を前に、男は何度も首を橫に振る。弘人がゆっくりとバットを下ろすと、男は間の抜けた聲と共に盛大に息を吐き出した。弘人は張が途切れ、心臓が激しい鼓を取り戻す。
「よぉ。生きてるか、坊主」
き聲ではなく、男はハッキリとそう言った。
《書籍化&コミカライズ》神を【神様ガチャ】で生み出し放題 ~実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします~
KADOKAWAの『電撃の新文蕓』より書籍化されました。2巻が2022年5月17日に刊行予定です!コミカライズも決定しました。 この世界では、18歳になると誰もが創造神から【スキル】を與えられる。 僕は王宮テイマー、オースティン伯爵家の次期當主として期待されていた。だが、與えられたのは【神様ガチャ】という100萬ゴールドを課金しないとモンスターを召喚できない外れスキルだった。 「アルト、お前のような外れスキル持ちのクズは、我が家には必要ない。追放だ!」 「ヒャッハー! オレっちのスキル【ドラゴン・テイマー】の方が、よっぽど跡取りにふさわしいぜ」 僕は父さんと弟に口汚く罵られて、辺境の土地に追放された。 僕は全財産をかけてガチャを回したが、召喚されたのは、女神だと名乗る殘念な美少女ルディアだった。 最初はがっかりした僕だったが、ルディアは農作物を豊かに実らせる豊穣の力を持っていた。 さらに、ルディアから毎日與えられるログインボーナスで、僕は神々や神獣を召喚することができた。彼らの力を継承して、僕は次々に神がかったスキルを獲得する。 そして、辺境を王都よりも豊かな世界一の領地へと発展させていく。 ◇ 一方でアルトを追放したオースティン伯爵家には破滅が待ち受けていた。 アルトを追放したことで、王宮のモンスターたちが管理できなくなって、王家からの信頼はガタ落ち。 アルトの弟はドラゴンのテイムに失敗。冒険者ギルドとも揉め事を起こして社會的信用を失っていく…… やがては王宮のモンスターが暴れ出して、大慘事を起こすのだった。 舊タイトル「神を【神様ガチャ】で生み出し放題~「魔物の召喚もできない無能は辺境でも開拓してろ!」と実家を追放されたので、領主として気ままに辺境スローライフします。え、僕にひれ伏しているキミらは神様だったのか?」 第3章完結! 最高順位:日間ハイファンタジー2位 週間ハイファンタジー3位 月間ハイファンタジー5位
8 105【完結】「死んでみろ」と言われたので死にました。【書籍化・コミカライズ】
▶9/30角川ビーンズ文庫で書籍版発売しました! ▶コミカライズ、決定しました! 絶望、悲しみのドン底に落とされたナタリー。クソ夫に死んでみろと煽られ、カッと勢いで死んだ…と思ったら!? 同じ失敗はもうしない! ユリウス・ファングレー公爵に嫁いだ伯爵令嬢ナタリー・ペティグリューの逆行劇! ※皆様のおかげで、完結まで書けました…!本當にありがとうございます…!
8 64無能力者と神聖欠陥
一度崩壊した世界は生まれ変わり、それから特に成長したのは人類の「脳開発」だった。頚椎にチップが埋め込まれ、脳が発達し、人は超能力を手にするようになり、超能力を扱えるものは「有能」と呼ばれる。しかし、チップを埋め込まれても尚能力を持てない者は多數いた。 「無能」は『石頭』と揶揄され、第二新釜山に住む大學生、ググもまた、『石頭』であった。 ある日、アルバイト先で、一人の奇妙な「有能」の少女と出會ってから、ググの日常はそれまでとは大きく変わってゆく。
8 76ヤメロ【完】
他人との不必要な関わりや人混みが苦手ということもあり、俺はアウトドア全般が昔から好きではなかった。 そんな俺の唯一の趣味といえば、自宅でのんびりとホラー映畫を鑑賞すること。 いくら趣味だとはいえ、やはり人が密集する映畫館には行きたくはない。それぐらい、外に出るのが好きではなかったりする。 だが、ある映畫と偶然出會ったことでそんな日常にも変化が訪れた。 その映畫の魅力にすっかりとハマッてしまった俺は、今では新作が出る度に映畫館へと足繁く通っている。 その名も『スナッフフィルム』 一部では、【本當の殺人映像】だなんて噂もある。 そんな噂をされる程に上手く出來たPOV方式のこの映畫は、これまで観てきたホラー映畫の中でも一番臨場感があり、俺に最高の刺激とエンタメを與えてくれるのだ。 そして今日も俺は、『スナッフフィルム』を観る為に映畫館の扉を開くーー。 ↓YouTubeにて、朗読中 https://m.youtube.com/channel/UCWypoBYNIICXZdBmfZHNe6Q/playlists ※ 表紙はフリーアイコンを使用しています 2020年4月27日 執筆完結作品
8 97サブキャラですが世界と戦います
2222年に10000人中1999人の高校生に能力が発癥した。 その能力は様々であるがその三年後、いち早く適応したのは日本だった。 主人公ムラサキとその親友アオは自らの能力と立場から己を「サブキャラ」としている。 しかし、能力の発癥が遅かった2人は世界の殘酷さを知っている。 これは何気に強い2人がなんやかんやで政府(そして世界)に立ち向かっている行く恐らくサブキャラ?の話である。
8 78俺だけ初期ジョブが魔王だったんだが。
203×年、春休み。 ついに完成したフルダイブ型のVRMMORPGを體験する為、高校二年になる仁科玲嗣(にしなれいじ)は大金をはたいて念願のダイブマシンを入手する。 Another Earth Storyという王道MMORPGゲームを始めるが、初期ジョブの種類の多さに悩み、ランダム選択に手を出してしまうが... 設定を終え、さぁ始まりの町に著い... え?魔王城?更に初期ジョブが魔王? ......魔王ってラスボスじゃね? これは偶然から始まる、普通の高校生がひょんなことから全プレイヤーから狙われる事になったドタバタゲームプレイダイアリーである!
8 121