《クラウンクレイド》『7-4・Electric』
7-4
「向かってくるわ!」
大型ゾンビがき出し、桜がんだ。ゆっくりとした歩行であるが、ゾンビ特有のたどたどしさは無く、しっかりと床を踏みしめながら歩いてくる。
大柄の鷹橋を一撃で吹き飛ばした程の腕力。待ち伏せという概念を持っている知。あれは危険だと、深く考えるまでもなく。その異様な空気を纏った存在に、膝が震え出す。
逃げ出せ、と本能がんでいた。死という概念がちらついて、心臓の鼓が吐き気を催すほどに激しくを打つ。それでも、弘人は自らの足を叩き、その昂りを鎮めようと聲を張る。
「鷹橋さん、けますか!?」
「足を捻った」
鷹橋が顔を歪めながら、近くの棚に腕を乗せを起こそうとする。しかし足が上手くかずに床に崩れ落ちてしまう。弘人はしゃがみ込むと、鷹橋の肩の下に腕を回した。足を踏ん張り彼を持ち上げようとするも、彼のは重たく上手く持ち上がらない。
「坊主、何を」
「人を助けるのに、理由が要りますか!」
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巨軀のゾンビは、速度はそのままにゆっくりと近付いてきていた。鷹橋を持ち上げようともがく弘人の姿に、桜が怒鳴る。
「あんた、なに馬鹿な事をやってんのよ」
「手を貸してくれ」
「あのゾンビの狙いはそいつでしょ。言ったじゃない、使えない奴は見捨てていくって。恨まないって」
「そんな事出來るか!」
「どうせみんな死んでるのよ! 今、目の前で一人死んだところで一緒じゃない!」
鷹橋の言葉は冷酷であったが、それでも正しかったのかもしれない。あまりにも人が死に過ぎたから。
大勢の人間が突然死んだ。それは誰もが平等で、故に誰もが逃れることが出來ないことで。その嘆きと恐怖の中で、誰が、その橫の誰かを気遣う
事が出來ただろうか。誰が、その不徳を責めることが出來るであろうか。誰かを救う余裕など、自らの生命の危機の最中では持ち合わせている筈もなく。
故に、鷹橋の言葉は正しいのかもしれない。誰かを、互いを、見捨てても構わないという言葉は、ある種の「呪文」であった。その誰かの死に、自らの心を縛ってしまわぬ為の。
「なら、桜は逃げろ」
弘人は鷹橋を降ろして、金屬バットを握り締める。大型ゾンビの姿を正面に捉える。
救うことなど出來ないから、誰かを見殺しにしても構わないと。その呪文で暗示をかけること。間違いではないのかもしれない。それしか方法がないのかもしれない。そうしなければ、その心を殺してしまうから、と。それでも、弘人は前を向いた。
「自分まで殺してたまるか」
「分かったわ、あんたが馬鹿だっていうのは」
大型ゾンビに向かっていこうとする弘人を見て、桜が背負っていたチェ-ンソ-を構えた。彼がチェーンソーのスイッチをれると、機関部が唸りを上げ始める。真っ直ぐにびた鈍い鋼の刃が、回転を始めて反するを散らす。チェーンソーを支える彼の左手から、青白くパルスが散った。
唖然として、それを見つめていた弘人は、違和の正に気が付いた。彼の抱えているチェーンソーは、コンセントのコードがびていた。その先は、勿論何にも繋がってなどいない。
チェーンソーが唸りを上げる中、桜がぶ。
「あたしが助けてあげるんだから、急ぎなさいよ! 引きずっても抱えてでも何でもいいから!」
「お前、それは一……」
「説明は後!」
大型ゾンビがいた。その巨大な右腕を構えてゆっくりと桜へと振り下ろした。ただ、勢いよく振り下ろされただけの腕が、空気を切る鈍い音を立てる。衝撃が伝わる程の重たい一撃が、床を易々と穿つ。振り下ろされた右手を、咄嗟にを屈め避けた桜が、空中へと舞い上がった床材の殘骸ごとを切り裂いて、そのチェーンソーを振り抜いた。勢いよく回転を続ける刃が、大型ゾンビの脇腹へと切り込む。削り上げる鈍い音が、チェーンソーの駆音に雑音として混ざる。桜の手には、刃の食い込んだ先の、重たいの覚が伝わってきていた。桜がびながら、思い切りチェーンソーを振り抜いた。大型ゾンビの皮を裂いて、その脇腹から激しくが飛び散った。飛沫の中で、桜が飛び退いて距離を取る。
その景を見て、鷹橋が苦し気な聲を吐き出した。
「まさか、……あの子がシンギュラリティなのか」
今までのゾンビのきには特徴があった。人間にただ向かっていき、噛み付こうとするだけだった。だが、大型ゾンビはそれとは明確にきが違う。
大型ゾンビが咆哮した。拳を振りかぶり、桜へと振り下ろす。その重量をもって加速を付けたきは、大柄の鷹橋すら簡単に吹き飛ばすだけの威力があった。その一撃を、チェーンソーを抱えているとは思えない程の機敏なきで桜が回避する。を屈め、大型ゾンビの腕を寸前をすり抜ける。
桜が、大型ゾンビの出した心臓へとチェーンソーを突き立てた。まるで噴水の様に、鋼の刃がが飛び散らせる。赤く染まる景の真ん中で、桜が翳す鋼の煌めきが見えて。
そして、雷が散った。
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ソロでCランク冒険者のアウンはその日、運よく発見したダンジョンで魔剣を獲得する。しかし、その夜に王都から來たAランク冒険者パーティーに瀕死の重傷を負わされ魔剣を奪われてしまった。 そのまま人生が終わるかと思われたアウンだったが、なぜかゾンビ(魔物)となり新しいスキルを獲得していた。 「誰よりも強くなって、好きに生きてやる!」 最底辺の魔物から強くなるために進化を繰り返し、ダンジョンを形成するための核である『ダンジョンコア』を食い、最強を目指して更なる進化を繰り返す。 我慢や自重は全くせず無雙するちょっと口の悪い主人公アウンが、不思議な縁で集まってきた信頼できる仲間たちと共に進化を繰り返し、ダンジョンを魔改築しながら最高、最強のクランを作ることを目指し成り上がっていきます。 ※誤字報告ありがとうございます! ※応援、暖かい感想やレビューありがとうございます! 【ランキング】 ●ハイファンタジー:日間1位、週間1位、月間1位達成 ●総合:日間2位、週間5位、月間3位達成 【書籍化&コミカライズ】 企畫進行中!
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『銀河戦國記ノヴァルナ』シリーズ第2章。 星大名ナグヤ=ウォーダ家の新たな當主となったノヴァルナ・ダン=ウォーダは、オ・ワーリ宙域の統一に動き出す。一族同士の、血縁者同士の爭いに身を投じるノヴァルナ。そしてさらに迫りくる強大な敵…運命の星が今、輝きを放ち始める。※この作品は、E-エブリスタ様に掲載させていただいております同作品の本編部分です。[現在、毎週水曜日・金曜日・日曜日18時に自動更新中]
8 190俺のハクスラ異世界冒険記は、ドタバタなのにスローライフ過ぎてストーリーに脈略が乏しいです。
ハクスラ異世界×ソロ冒険×ハーレム禁止×変態パラダイス×脫線大暴走ストーリー=前代未聞の地味な中毒性。 ⬛前書き⬛ この作品は、以前エブリスタのファンタジーカテゴリーで一年間ベスト10以內をうろちょろしていた完結作品を再投稿した作品です。 當時は一日一話以上を投稿するのが目標だったがために、ストーリーや設定に矛盾點が多かったので、それらを改変や改編して書き直した作品です。 完結した後に読者の方々から編集し直して新しく書き直してくれって聲や、続編を希望される聲が多かったので、もう一度新たに取り組もうと考えたわけです。 また、修整だけでは一度お読みになられた方々には詰まらないだろうからと思いまして、改変的な追加シナリオも入れています。 前作では完結するまで合計約166萬文字で601話ありましたが、今回は切りが良いところで區切り直して、単行本サイズの約10萬文字前後で第1章分と區切って編成しております。 そうなりますと、すべてを書き直しまして第17章分の改変改編となりますね。 まあ、それらの関係でだいぶ追筆が増えると考えられます。 おそらく改変改編が終わるころには166萬文字を遙かに越える更に長い作品になることでしょう。 あと、前作の完結部も改編を考えておりますし、もしかしたら更にアスランの冒険を続行させるかも知れません。 前回だとアスランのレベルが50で物語が終わりましたが、當初の目標であるレベル100まで私も目指して見たいと思っております。 とりあえず何故急に完結したかと言いますと、ご存知の方々も居ると思いますが、私が目を病んでしまったのが原因だったのです。 とりあえずは両目の手術も終わって、一年ぐらいの治療の末にだいぶ落ち著いたので、今回の企畫に取り掛かろうと思った次第です。 まあ、治療している間も、【ゴレてん】とか【箱庭の魔王様】などの作品をスローペースで書いては居たのですがねw なので、まだハクスラ異世界を読まれていない読者から、既に一度お読みになられた読者にも楽しんで頂けるように書き直して行きたいと思っております。 ですので是非にほど、再びハクスラ異世界をよろしくお願いいたします。 by、ヒィッツカラルド。
8 105僕はまた、あの鈴の音を聞く
皆さまの評価がモチベーションへとつながりますので、この作品が、少しでも気になった方は是非、高評価をお願いします。 また、作者が実力不足な為おかしな點がいくつもあるかと思われます。ご気づきの際は、是非コメントでのご指摘よろしくお願い致します。 《以下、あらすじです↓》 目を覚ますと、真っ白な天井があった。 橫には點滴がつけられていたことから、病院であることを理解したが、自分の記憶がない。 自分に関する記憶のみがないのだ。 自分が歩んできた人生そのものが抜け落ちたような感じ。 不安や、虛無感を感じながら、僕は狀況を把握するためにベットから降りた。 ーチリン、チリン その時、どこからか鈴が鳴る音が聞こえた。
8 101T.T.S.
2166年。世界初のタイムマシン《TLJ-4300SH》の開発された。 だが、テロ組織“薔薇乃棘(エスピナス・デ・ロサス)”がこれを悪用し、対抗するICPOは“Time Trouble Shooters(通稱T.T.S.)”の立ち上げを宣言した。 T.T.S.內のチーム“ストレートフラッシュ”のNo.2い(かなはじめ)源とNo.3正岡絵美は、薔薇乃棘(エスピナス・デ・ロサス)の手引きで時間跳躍した違法時間跳躍者(クロックスミス)確保の為に時空を超えて奔走する。
8 168完璧超人がスライムに転生した結果
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