《クラウンクレイド》『15-4・著陸』
15-4
チェーンソーを振り回す事が自分の魔法ではないと、加賀野さんは言うものの。失禮ながら、正直そうなのだと思っていた。
「し下がってて」
加賀野さんが左手をの真正面に突き出した。手の平を返し、指を折り、そしてまた手を別の向きに変え。その細い指先が、踴っているようで。それを見ていた私は、遅れて気が付く。何かの印を結んでいる、おそらくそれが彼にとっての暗示の解除に當たるのだと。
そして彼は口を開く。魔として、け継いできたもの。それを隠匿し、家系のとし、魔法の似合わぬ時代においてその力をむやみやたらに振りかざしてしまわぬように自らに課した暗示。
彼の家系の魔、そして魔法と私の家系におけるそれの在り方は大きく違うが、魔が自らに暗示を課すのは奇妙な事に共通のものだった。かつて、魔同士が繋がっていた事を示すのか、それとも時代の変遷によりいずれ誰もが辿り著く結論であったのか。それは分からないが、なくとも、私の目の前で彼は呪文を高らかに唱え上げていた。
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「參照、エヴェレットの書178項。マルティアリスの言葉より……撃鉄を起こせ」
私のそれとはの全く違うその呪文に呼応して、彼の周囲で青白いパルスが舞う。周囲の塵芥が舞い上がり吹き飛ぶ。猛り狂う雷撃が焦がし弾き飛ばし、蒼く周囲を照らし出す。
「ラジェンランテイル!」
その言葉が告げて、手を勢いよく払い。
一閃。青白い閃が瞬きを放つ。雷撃が走り抜けた。放たれた雷撃の一部は行き場を失ったように、彼の周囲でパルスが弾ける。音が衝撃波となって、空気を打つ。単純で、そして膨大な電気の放出。力押しとも言えるその魔法は、彼の潛在能力の高さを語っている様で。
雷撃が駆け抜けてゾンビの群れを薙ぎ払った。駆け抜けた雷撃が瓦礫を巻き上げ、衝撃波を起こし、ゾンビを焦がし焼き盡くす。一瞬だった。目で追う事さえ出來ない、その一閃が全てを葬った景を前に、加賀野さんは言う。
「ま、こんなもんよ」
ゾンビの亡骸が道に転がる中を、私達は突っ切った。黒く焦げて煙を上げるその姿は、今にもき出しそうだったが、彼等はみな一様に息絶えて微だにしなかった。地面に臥せた彼等の手が地面に並んでいて、私はそれを踏まぬように必死になっていた。その手が私の足首を摑み、泥の底へと引きずり込もうとするイメージがぬぐい切れなかった。
死骸の山を後にして、私達は進む。今押し通ったゾンビの群れが、周囲一帯のほぼ全てであったのか、私達の道を阻むものは何もなく。焦る心が私の背を押して、跳ね上がった心臓も荒くなった息も全てを忘れて、私は一心に駆けた。小學校の校舎が見えてきて、加賀野さんが私にぶ。
「禱、あれ!」
興し切っている加賀野さんの言葉を聞くまでもなく、私もそれを見つけていた。心臓の鼓が更に跳ね上がる。脳天を毆られた様な衝撃が私の思考を麻痺させる。その事実が信じられず、上手く呑み込めず。
浦小學校の校庭にヘリが著陸していた。校庭を囲う緑のフェンスの向こう側にその姿が見えた。間違いなく、稼働しているヘリだった。ドクターヘリ等で見かける一般的な形をしたし小型のヘリで、全が青に塗裝されており側面には何かのロゴマークらしきデザインが見えた。
助かる、その確信めいたが私を突きかしていた。ヘリの著陸している校庭の真ん中へと走る。
あの日。パンデミックの起きたあの日。全てが崩れ去った。誰もが死んでいった。私の手は屆かなくて、私は無力で。救えなかったものがあった。切り捨てたものがあった。それも全て、生きる為だった。守り抜く為だった。
2カ月以上、この地獄を生き抜いてきた。高校生二人だけでだった、それは十分すぎる果だと思う。私は明瀬ちゃんを守り切る事が出來た。これで救助を呼んで、みんな助かって、それで終わりだ。その後の幕引きは、この語の主人公がすれば良い。この世界を救うのは、私でなく他の誰かの筈だった。私は、私と明瀬ちゃんを守るだけだった。
ヘリの中で人影がいているのが見えた。その姿に私達は手を振る。ヘリの側面のスライド式ドアが開いて、そこから一人の男がを屈めながら地面に降りてくる。全は黒一の「ツナギ」の様な格好で、ヘルメットとガスマスクを著用していた。濃紺で厚手のベストを著込み、肘と膝にはプロテクターを付けている。脛を覆うブーツもまた黒一で、手にはグローブをはめて、の出が一切無かった。その腕には、何か四角く黒いを抱えている。
兵士の様な服裝をした彼はゾンビではなく、明らかに人間だった。彼へ向かってび呼びかける私達の姿を見て、彼は私達に向かってぶ。
「止まれ! 止まらないと撃つ!」
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