《クラウンクレイド》『23-1・Apocalypse』
【23章・呼び聲に応えて/弘人SIDE】
23-1
三奈瀬優子はWHOのメディカルオフィサーとして、染癥対策で世界を飛び回ってきた。新型インフルエンザ、エボラ出熱を始めとして様々な有事に現場で対策を講じてきた。
初めは、やる気に満ちていた。WHO職員は狹き門であり、多くの応募者の中から正規職員に選ばれたという自負もあったし、勿論他の誰よりも上手くやるという気概とそれを支える能力もあった。當然、力を盡くさなければ死んでいく命があり、それを救うという大義と使命、そしてその達で充実もしていた。
しかし、三奈瀬優子は徐々にその仕事に苛立ちを覚える事が多くなっていく。染癥はスピードが重視される。しでも対処が遅れれば、それは一気に広範囲に拡大し、そして多くの人間の命を奪う。
人命が掛かっている死と隣り合わせの現場。そこに臨む者は全て自分と同じような高い志を持っている人間ばかりだと思っていた。しかし、そうでは無かった。
Advertisement
職員同士の昇進爭いによる手柄の取り合いなんていうミクロな問題から、國同士の関係と言うマクロな問題まで、三奈瀬優子にとってみればどれも些細な事が邪魔をしてきた。人命よりも重たいものが、この世界の差しで測ってみれば幾らでもあるのだと、否応なしに気付かされた。
現場にも不満はあった。先進國からすれば信じられないレベルの醫療技に、衛生観念。それを仕方ないと言ってしまえば、それだけ死者は増える。染癥は拡がる。だが、世界には、その基準に満たない場所ばかりであって、それが彼を苛立たせた。救えなかった命はそもそも、危険に曬されなくても良かった命では無いか、と。
それはつまり、その人々の罪だと思った。あまりにも歩みが遅すぎる。世界は既にそのレベルには無いのに、學ぼうとしない者、進めない者、そしてそれを良しとしないもののせいで、また誰かが死んでいく。
そう言った國や地域は、大抵の場合社會システムに欠陥を抱えていた。染癥が起きずとも、紛爭や抗爭や犯罪や天災やその他様々な要因によって、人々が死ぬ可能が高かった。救っても救っても、世界の何処かでは人が死に続ける。その事に彼は苛立っていた。
社會問題の歪は、人間の欠陥の出であり、それを是正するのは簡単ではない。そこに特効薬というものはない。指導者が倒れても紛爭が終わらない様に。
泥にまみれた池に、綺麗な水を一滴垂らしても、池は綺麗になどならない。その泥を全て取り除く必要がある。しかし、それは簡単な事ではなく。
三奈瀬優子はいつしか、とある考えに囚われた。世界全を、人類全を、一斉にアップデートさせる必要がある。全てを進化させなければ、悲劇は終わらないと。
社會構造を丸ごと壊して造り直してしまえるような何かが。人類全をその愚かしさから解放する様な何かが。神の啓示の如き、何かが必要だと思っていた。そんなものある筈がないとも知っていた。それでもこの社會を造り変える方法はないかと思っていた。
ある日、突然それは現れた。
おそらく、ほぼ同日、同タイミングにて、そのパンデミックは発生した。世界規模、しかも全ての地域にて。染率にして80%以上。染すれば中樞神経を破壊され、他人を襲い続ける、歩く亡者の如き姿になる。
これこそが神の啓示だと三奈瀬優子は思った。既存の社會構造は破壊され、新たな社會が一から作られる。舊來の全てのしがらみは消える。人を突きかすのは生存への求であり、シンプルな価値基準が支配する。
人類の進化の日だと思った。
- 連載中85 章
現実でレベル上げてどうすんだremix
ごく一部の人間が“人を殺すとゲームのようにレベルが上がる”ようになってしまった以外はおおむね普通な世界で、目的も持たず、信念も持たず、愉悅も覚えず、葛藤もせず、ただなんとなく人を殺してレベルを上げ、ついでにひょんなことからクラスメイトのイケてる(死語?)グループに仲良くされたりもする主人公の、ひとつの顛末。 ※以前(2016/07/15~2016/12/23)投稿していた“現実でレベル上げてどうすんだ”のリメイクです。 いちから書き直していますが、おおまかな流れは大體同じです。
8 183 - 連載中65 章
私たちだけ24時間オンライン生産生活
VR技術が一般化される直前の世界。予備校生だった女子の私は、友人2人と、軽い気持ちで応募した醫療実験の2か月間24時間連続ダイブの被験者に當選していた。それは世界初のVRMMORPGのオープンベータ開始に合わせて行われ、ゲーム內で過ごすことだった。一般ユーザーは1日8時間制限があるため、睡眠時間を除けば私たちは2倍以上プレイできる。運動があまり得意でない私は戦闘もしつつ生産中心で生活する予定だ。まずは薬師の薬草からの調合、ポーションづくり、少し錬金術師、友達は木工アクセサリー、ちょびっとだけ鍛冶とかそんな感じで。 #カクヨムにも時差転載を開始しました。 #BOOTHにて縦書きPDF/epubの無料ダウンロード版があります。
8 98 - 連載中179 章
【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔術師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔術の探求をしたいだけなのに~
---------- 書籍化決定!第1巻【10月8日(土)】発売! TOブックス公式HP他にて予約受付中です。 詳しくは作者マイページから『活動報告』をご確認下さい。 ---------- 【あらすじ】 剣術や弓術が重要視されるシルベ村に住む主人公エインズは、ただ一人魔法の可能性に心を惹かれていた。しかしシルベ村には魔法に関する豊富な知識や文化がなく、「こんな魔法があったらいいのに」と想像する毎日だった。 そんな中、シルベ村を襲撃される。その時に初めて見た敵の『魔法』は、自らの上に崩れ落ちる瓦礫の中でエインズを魅了し、心を奪った。焼野原にされたシルベ村から、隣のタス村の住民にただ一人の生き殘りとして救い出された。瓦礫から引き上げられたエインズは右腕に左腳を失い、加えて右目も失明してしまっていた。しかし身體欠陥を持ったエインズの興味関心は魔法だけだった。 タス村で2年過ごした時、村である事件が起き魔獣が跋扈する森に入ることとなった。そんな森の中でエインズの知らない魔術的要素を多く含んだ小屋を見つける。事件を無事解決し、小屋で魔術の探求を初めて2000年。魔術の探求に行き詰まり、外の世界に觸れるため森を出ると、魔神として崇められる存在になっていた。そんなことに気づかずエインズは自分の好きなままに外の世界で魔術の探求に勤しむのであった。 2021.12.22現在 月間総合ランキング2位 2021.12.24現在 月間総合ランキング1位
8 111 - 連載中17 章
異世界から帰ってきた元勇者
異世界に行く前の日常から突如召喚魔法により異世界に召喚された勇者は魔王を倒し最強の稱號を手に入れ。やっと帰還できた勇者は元の世界を謳歌する!
8 78 - 連載中34 章
自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十數年酷使した體はいつのまにか最強になっていたようです〜
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。 その一員であるケイド。 スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。 戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。 それでも彼はこのパーティでやって來ていた。 彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。 ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。 途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。 だが、彼自身が気付いていない能力があった。 ずっと荷物持ちやパシリをして來たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。 その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。 自分は戦闘もできる。 もう荷物持ちだけではないのだと。 見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。 むしろもう自分を卑下する必要もない。 我慢しなくていいのだ。 ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。 ※小説家になろう様。アルファポリス様でも連載中
8 186 - 連載中89 章
転生しているヒマはねぇ!
異世界で転生する予定になり、チキュウからマタイラという世界の転生界へと移動させられた『カワマタダイチ』。 ところが、控え室で待たされている間に、彼が転生するはずだった肉體に別の魂が入れられ、彼は転生先を失ってしまう。 この大問題を、誤魔化し、なおかつそうなった原因を探るべく、マタイラ転生界の最高責任者マーシャが彼に提示したのは、冥界に來た魂を転生させるこの転生界の転生役所で働くことだった。 ニホンでやる気を持てずに活力なく生きていたダイチは、好みの女性陣や気の合う友人に勵まされながら、少しずつ活力を取り戻し、それでも死んだままという矛盾に抗いながら、魂すり替え事件やマタイラの冥界と現界を取り巻く大問題と、わりと真面目に向き合っていく。
8 76