《クラウンクレイド》[零11-7・象徴]
0Σ11-7
-ビル屋上ヘリポート-
「弾あと何発殘ってますか!」
弾が切れたと合図するようにハンドガンを振ってゼイリ氏は首を橫に振る。
ヘリポートの存在する屋上に通じるり口前に、積み上がったゾンビの死の山は一種の簡易なバリケードの役目を果たしていた。とはいえ崩れて乗り越えられるのも時間の問題であった。
私のサブマシンガンも今撃ち切ったマガジンで最後だった。AMADEUSによる移の都合上、ハウンドの裝備には重量制限がある。私はゼイリ氏の救出の為に最初からいていたので、手持ちの弾數がそもそもない。
り口前でゾンビが侵に手こずっている間に、ヘリポートまで後退すると強風の中でぶ。背負ったエヴェレットの鍵の位置を調整し直す。それを見てゼイリ氏は言う。
「そんなもの持ってきてどうすんだ。ガラクタだぞ」
その問い掛けに、私は首を靜かに振る。肯定したくないというが自分の中で沸いて出た。
「これと同じを私は知っています。エヴェレットの鍵と呼ばれた魔の杖です。閉ざされた扉を開く可能の象徴」
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「……この世界に魔法なんてものは存在しねぇ。魔法なんてを探していた人間は確かにいた。そいつらに言われて造った杖だ。だが、魔法なんてこの世界に存在する筈がなかった」
彼が造ったというのか、このエヴェレットの鍵を。私の知っているエヴェレットの鍵は加賀野家に代々伝わっていた舊い杖だった。細部は違うものの、明らかに同じ意匠を意識している。モチーフになったのか何らの要素による一致か。いや、それよりも。
魔法を探していた人間がいて、それ故に彼に杖を造らせた。
「やっぱりこれは魔の杖なんだ」
「だから何度も言ってるだろ、ガラクタにしかならなかったんだコイツは。魔法という可能の為にコイツは造られた、だが魔法なんては存在する筈がなかった。魔法を探してたやつらはカネと時間とヒトを使いまくって探し回ったみてぇだが、出した結論は魔法なんてものは存在しないだった」
それは違うと私は言いたかった。けれども私の手には、今魔法は存在しない。
天にまで屆くビルを幾つも建て、その中だけで人々は暮らしている。生活を支える全ては自化されて何の労力もなく平等に行き渡る世界。
世界のあらゆる報ネットワークは一つの巨大なデータベースとリンクし、生で空中を移する為のは生まれ、私達のの中には健康のためにナノマシンが埋め込まれ、自然破壊から守ろうと全ての植を保存する為の箱庭を造り出し、そんな現実の広がる2080年という時代において。魔法は完全に否定されていた。それが正しいのかもしれない。
本當は魔法なんて存在しないと、全ては見ていた夢であったのだと。私は世界から現実を突き付けられているのかもしれない。
こんなにも科學が発展した世界で。地獄の上で綱渡りしている世界で。魔法があればとっくに世界だって救えていたのかもしれない。
だから魔法なんて存在しないのだと。
「禱、レベッカだ!」
ビル屋上にワイヤーを利用してよじ登ってきたレベッカの姿があって。
「レベッカ、ウンジョウさんは」
「……あたしを庇って……」
私は言葉を喪った。レベッカにかけるべき、いや私自ぶべき言葉が分からなくなる。
また世界は牙を剝く。誰かから大切なを素知らぬ顔で奪っていく。いつかと変わらない、その景は何度だって見てきたもので。
私は頭を振る。兎に角考えるべきは今何の行をすべきかということだった。
「ヘリに、急いで!」
私の言葉を遮ったのは、吹き荒ぶ風と。そしてその中でハッキリと聞こえた空を切る音。確かに暗闇の中で煌めいた何かがヘリの元へ飛んでいって。それが機へと抉り込み。
脳裏を過ったいつかの景に、私は咄嗟に二人の肩を摑んで勢いよく地面に伏せさせた。そのまま私もその場に伏せる。地面にをぶつけたがそれでも構わず。
一瞬の間を置いて発が起きた。始めは小さな発が起きて、それがヘリに火を點けて。更に発を引き起こす。
炎が巻き起こる。炎が勢いよく這い廻ってそれが次の炎を生み出す。灼熱が風の中で跳ね回る。
ヘリが再度発を起こした。炎が一気に燃え上がる音と衝撃波が轟いてくる。発の衝撃で散った無數の鈍の殘骸が、風に押し出されて弾丸と見紛う程の速度で空を切る。空気を叩き斬る低い音が耳元を過っていって。私達の直ぐ上を殘骸が通り過ぎていく。何かが割れる様な音がした。
「今のは明らかに……」
何者かによる人為的な被害だった。出用のヘリを狙った攻撃だった。闇夜の中でヘリは炎上し続けて、煌々と空を橙に染める。
「AMADEUSが……」
レベッカの唖然とした聲に私は振り返る。彼のバックパックにヘリのパーツの一部らしき鈍の破片が食い込んで。火花を散らしていた。レベッカがトリガーを引くも鈍い音が響いて、AMADEUSは反応しなくなり、出口からは煙があがる。
この暗闇かつ暴風の中でAMADEUSを使って下まで降りるのは厳しい、しかもレベッカのは故障しゼイリ氏は裝備していない。
どうする、此処で持ちこたえようにもゾンビが溢れ出してくるのは時間の問題の筈。そう思って振り返った瞬間、屋上り口からゾンビが勢いよく溢れ出す。
私は手にした鍵の名を呼ぶ。
「……エヴェレット……!」
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