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ルートと必要な裝備の確認をする為にクニシナさんの所へ向かおうと思ったが、彼の方から私達に會いに來た。

舊東京都に殘る區畫はここダイイチ區畫だけであり、他の區畫は二度の襲撃により數萬人規模の犠牲者と共に崩壊した。最早罪を問うなんて言葉では片が付けられない話であった。それに本命の相手は人間ですらない。

クニシナさんは周辺の地理データを私に見せながら語る。

「リーベラ、そしてムラカサの最終的な目的が何であるかを確かめ、そしてこれ以上の被害を出さない為に。何としてもデータセンターを制圧し彼達を確保する必要があります」

「向こうの言葉を全面的には信用は出來ません、區畫の防衛に人數は回すべきです。私とレベッカだけで向かいます。魔法の質上、人數での行の方が向いていますから」

「この絶的な狀況にあっても尚、あなたは進むのですね」

ダイサン區畫、そしてダイニ區畫の崩壊の報は遂にダイイチ區畫に洩し始め公式に公表せざるを得なくなっていた。衝撃的な事実は人々の揺と焦燥をい、區畫はパニック狀態にあった。暴こそ起きていないが靜かに狂気は広まりつつあるとみるべきだろう。

それでも、この聖域は行き止まりでしかない。

輸送機は現在存在しない、そもそも何処に行けるわけでもない。だが座して死を待つ事が出來る程人間はしやすいものではなく。

クニシナさんが額に手をやってくたびれた聲を出す。

「人々の間ではダイイチ區畫を離して安全な場所を目指すべきだと聲が上がっています」

「それは不可能ではないですか？」

「區畫を出して避難するとすれば、現在ハイパーオーツ政策によって耕作地になっている関東圏のどこかでしょうが……。そこまでどうやって數萬人の人間を運び、そしてゾンビの襲撃をけずに済む拠點を作るかという話です。あなたの言う通り出來る筈がありません」

ハイパーオーツ政策によって都市部以外は農耕地に変わった。生産から収穫、都市部までの輸送全てが自化と機械化しそれの恩恵で今もこの生活はり立っている。此処を捨てるならば、その農耕地を目指す他無いが移手段がない。

更には生活をする拠點も存在しない。ゾンビは現狀、人間しか襲わない點と人口が集中していた事から都市部に溢れかえっているが、人々の移を知した彼等が移する可能も大いにある。

不安からの逃避行としては理解できるが、此処からの離をぶのはあまりにも拠のない話だった。

「あなたに託すしかありません。この世界を救ってくれると期待するのは、あまりにも蟲のいい話かもしれませんが。この世界はあなたの世界を壊した張本人達の世界です。許せないでしょうが」

「それは……」

「そして、私も同じ。知らなかったとはいえ、あの時あなたに酷い事をしたのは事実です。本當に何と謝罪すればいいのか」

あの世界には二つの視線があって、それは決して差しない筈ので。

仮想世界でゾンビから生き延びる為のゲームであっても、私にとっては現実でしかなくて。それは誰かの悪意と無自覚によって歪められてしまったもので。

私のびは、だからこそ屆かない。それを向ける先が分からない。世界はいつだって悪意と無自覚が積み重なって足元に変わっていく。

私は言葉を探して絞り出す。

「私が特異點というだけだったんです。あの世界にいたのは結局はデータとコードで構された人に似せたものでしかありません。だから」

「それでも」

その先の言葉を私は制した。それを聞いてしまえば、言葉にしてしまえば私はきっと何も許せなくなってしまう。私は今何に向けて怒れば良いのか分からないのだから。

どうやっても私は誰かと同じ線の上には立てない。

「クラウンクレイドというゲームは暴力表現規制の解除の反をけて作られた、と聞きました」

ムラカサさんはそう説明した。私の問い掛けにクニシナさんは頷く。

「私も世代ではありませんが、かつて世界中で様々な表現や描寫や言葉が制限された事があります。現実から創作まで様々なが対象でした。人がその本質と決別し新しい世代へと向かう為に」

「新しい世代？」