1章 始まりと邪神

「いらっしゃい！」

どこかに転移したのか、一瞬の間の後にはあの純白の空間は視界から消え失せ、目の前には黒い石材で作られた神殿のような何かと、そこに漂う不気味な照明のみだった。

この神殿は水中にあるのか所々水が見えている。

そして、聲をかけてきた何かの方へとシグレは振り返り、質問を投げかける。

「こんにちは、ところでここはどこでしょうか？始まりの街ではなさそうですが。あと、あなたは何・なんですか？」

シグレが聲をかけたのは、蛸タコの頭にイカの腕が生えていて、背中に蝙蝠コウモリのようなぬめりのある翼を持ち、その全てが黒く染まっているナニカ。

そう。まるで神話に出てくるような、冒涜的なものの象徴。敬うべき深淵の邪神。ルルイエにて夢を見る古代の神格のようなものだった。

「へえ、驚かないってことは僕のことを知っているんだね？」

「ええ、私の記憶と予想が合っていればあなたは舊支配者グレート・オールド・ワンである蛸邪神クトゥルフ様で、ここは貴方の封印されているルルイエのはずなんですが」

「その通り！最近僕のこと知ってる人ないから嬉しいよ！」

「何故私をここに？まぁ、だいたい分かりますが」

ゲームは始まりの街からのはずであった。

シグレがここにいるということは、眼前の邪神がシグレをここに呼んだことに他ならない

「封印を解いてもらうためさ。そのための力も與えよう」

「力というと何を？」

「まずはこれだよ」

そう言うとクトゥルフ様は封印されたでありながら用に手をり、どこからか首飾りと指を取り出し、差し出してくる。

それをけ取ろうとすると、いきなり斥力のようなものが発生し、盛大に吹き飛ばされ、部屋の中の水たまりに飛び込んでしまった。

「あぁ、ごめん、さきにこれをあげなきゃダメだった」

ー「シグレ」が稱號《蛸邪神の寵》を取得しましたー

とアナウンスが流れた。

「これは？」

「この稱號でさっきのやつを裝備できるようになるんだよ。他にも効果あるけどね。」

「鑑定」

《蛸邪神の寵》

？？？

「鑑定じゃ見えないよ。ついでだから鑑定も強化してあげよう。」

ースキル「鑑定」が「異界の神眼」に変化しましたー

「はい、これで見れるよ。」

《蛸邪神の寵》

クトゥルフから寵をけたものの印

「水作」の取得

「蛸邪神の加護」の取得

【蛸邪神の首飾り】☆X

裝備制限《蛸邪神の寵》の所持

クトゥルフの裝飾がほどこされた首飾り。

INT5倍上昇 POW5倍上昇(蛸邪神との契約の所持)

封印狀態であるためステータス上昇は無効

深淵からの軍勢深きものどもの取得

【蛸邪神の指】☆X

裝備制限《蛸邪神の寵》の所持

黒い石が嵌っている指

STR3倍 DEX2倍(蛸邪神との契約の所持）

封印狀態にあるためステータスの上昇は無効

萬能変化メタモルフォーゼ 

所有者がイメージした武に姿を変える。攻撃力は武によって変わる。矢などは魔力で補充可能。

念話 クトゥルフとの念話が可能となる。

五共有 クトゥルフと覚を同調させられる(同調させる覚は選択可能)

なにこれすごい。

詳細を見るともはや空いた口が塞がらなくなっていた。

水作Lv.1 

付近の水をどんな量でも作可能

作する水の量によって消費MP変

蛸邪神の加護 

変。

の一部を神格へと作り替える。

異界の神眼 全てのアイテム、モンスター、スキル、稱號、プレイヤーを鑑定可能(隠蔽無効)

鑑定を無言で発可能

マップを閲覧可能

眼を使う魔を使えるようになる

深淵からの軍勢深きものども 

深きものどもの大軍を召喚可能

「魔もあげるねー」

ースキル 「深淵魔」を取得しましたー

深淵魔 

使用可能魔一覧

治癒  対象HP回復

邪眼 ランダムに狀態異常を付與

霊の刀 INT×10のダメージの刀を出する

「これくらいで十分かな？」

「いえ、むしろ貰いすぎですよ。」

「じゃあ僕の復活に協力してくれる？」

「ええ」

ー《蛸邪神クトゥルフとの契約(仮)》を取得しましたー

ーワールドクエスト『蛸邪神の復活』を託しましたー

『混沌の第一試練 蛸邪神クトゥルフの復活』

功條件 クトゥルフの封印解除

失敗條件 ？？？

報酬 死霊法ネクロノミコン クトゥルフとの契約

何かを思い出したかのようにシグレは振り返り、クトゥルフに質問を投げかける。

「今から天使召喚しますけど大丈夫ですか？」

「もちろん大丈夫だよー、というか、干渉していい？」

「干渉とは？」

「生まれてくる天使の屬を反転させて墮天使にする」

「デメリットは？」

「無い、高位の墮天使なら天使と墮天使両方に強いからやった方がいいよ」

どうやら墮天使は強いようである。そうとなればやらない道理はない。

「お願いします」

「分かったよ、じゃあ始めて」

「天使召喚」

黒一だった床に真っ白なが魔法陣を描いた。クトゥルフ様が干渉を開始したのか魔方陣か次第に黒へと変わっていく。

やがて完全に黒になった時、黒いが溢れ、収まったあとには一人の墮天使がいた。

しい金の髪に、綺麗な顔、そして二対の漆黒の翼を持ったが、シグレをその両の眼で見つめていた。

「あなたの名前は……そうですね。

『フィー』です。これからよろしくお願いしますね？」

墮天使のは靜かに頷くと、シグレの異空間へと消えていった。

ー墮天使「フィー」が配下に加わりました！ー

名前:フィー

種族:墮天使    Lv.1

スキル

墮天使の威 聖屬 邪屬 

聖魔法 邪魔法 

剣 槍 弓

墮天使の威 自分より位階の低い敵対している天使、墮天使のステータスダウン。

聖屬との邪屬は両者に與えるダメージが増え、けるダメージも増えるようである。

「さて、そろそろいきましょうか。」

「始まりの街に行く？」

「はい、お願いします」

「了解、ここにはいつでも來れるようにしとくね」

「じゃあ、行ってらっしゃい」

こうして、シグレのは再びに包まれた。

第二話、クトゥルフとの邂逅と裝備確認回です。

AMOではアクセサリーなどにスキルが付與されていることがあります。例えば火屬なら、火屬のスキルを取得できます。ただし殆どのものには(裝備時のみ)というか制限があります。それがないのは一部のもののみ、　しかもシグレが貰ったのはユニークより強い加護スキル付與のアクセ、つまりシグレが貰ったのは正真正銘の超絶レアでチートな裝備なのです。

深淵魔に消費MP軽減の効果はありません。これは、深淵魔がこの世界のスキル、魔法ではないという設定のためです。

聖屬や暗黒屬はと闇屬の上位屬です。

従魔のスキルにレベルはありません。プレイヤーより威力や効果が小さいですがそのスキルに関連する行(魔法や武技)(武技については後述)を使えます。

武技 武スキルを上げると使えるようになります。これを使うとシステムアシストが発生するため剣をやったことがない人でも剣を扱えます。ただ、そこからPSプレイヤースキルでブーストすることもできます。

加護スキルは前にも書いた通り神から授けられたスキル(現狀だと異界の神眼、クトゥルフの加護、深淵からの軍勢深きものどもの三種類)でこれらも深淵魔と同じく消費MP軽減の効果をけません。

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読んでいただきありがとうございます。