9章 Grim happy end

「なるほど……これが「骸」の所以ですか。「紅荊」でもいい気がしますけどね…」

眼下の川より襲撃をけないギリギリの距離からゆっくりと川に沿って移し、偵察を続けていたシグレは、変わらぬその景にため息をつきながらそういった。

どこまでも広がる赤いに、水面のいたるところに浮かび、水際では地面が見えないほど大量に存在する腐死や白骨化した死。

いたるところにウジやを漁るワームが発生しており、紅に染まる荊の中にはやはり死が転がっている。

「……隨分と無謀な人間がいたようで」

群生する荊の茂み、そこをよく見てみれば、見つかったのは、人間の死だった・・・・・・・・。

余すところなく大小様々な傷が刻み込まれ、に大きなが空いた皮鎧や腰から下の存在しなくなった防を纏い、荊に剣を突き立てたままの姿勢で絶命している人間の死。

死してからあまり時は立っていないようであり、そのには荊がを張っている。

そして何より眼に映るのは、皮鎧に空いたの大をそのまま貫通した大きな。

腐したの部にもを張っており、すでに白骨化した死の眼窩からは鮮やかなのをした薔薇のような花が大となって咲いていた。

見回してみれば、周囲にも似たような肢が散している。

荊の棘に貫かれ、ぼろぼろになってしまいだらりと垂れ下がったローブをまとい、寶飾に彩られたきらびやかな杖を持っていたり、片刃の短剣ダガーを腰のベルトに固定したまま白骨化していたり、多の違いがあるものの、そのすべてが紅い荊に絡め取られ、例外なくにを張られて絶命していた。

（使い魔経由では鑑定などのスキルが行使できないのが悔やまれますね……まあ、やばいことは確認しましたし、ここのフィールドの名前の理由もわかったので良しとしますか）

湖畔の近くに人間の死は存在しない。

最低でも人間の死が存在しするのは湖畔から100mほど離れた位置であり、周囲の荊の茂みの高さは5、6mほどであり、群生しているせいで前など見えなかっただろう。

つまり、人間達は川のことを知らないのだ。

この森を探索しにやってきた人間は全てあの薔薇らしき植に捕獲されてしまっているため、奧に存在する本當の地獄を知らないのだろう。

だから、侵者を絡め取りその死骸に寄生して花を咲かす荊の植がある森。

だからこそここは「荊骸の森」なのだ。

誤字字や作品への意見等ございましたらコメントしていただければ幸いです

(誤字字がありましたら、何話かを明記・・・・・・した上で修正點をコメントしていただければ幸いです)

いいね、フォローもお願いします

Twitterのフォローもお願いします

(IDは@87lnRyPJncjxbEpです)

Fictionalizerに參加したいという方は私のTwitterにリンクが載ってますのでそちらからどうぞ