《邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜》第三百七十九話 インフェルテーション・ヴィレッジ
9章 Grim happy end
「なかなかに大きいですね……ここ」
一介の村には似つかわしくない城壁のようなものがあることからある程度予想はしていたが、やはりこの村はケンタウロス達によって改造されていたようである。
そうしてケンタウロスの足で踏み慣らされて固まった地面の道の上を歩き、立ち並ぶ住居の橫を通り抜けて周りを観察しながら村を回る。
そうして歩いていると、周囲の様子が一変した。
視界の先の景が住居が立ち並ぶ場所から、巨大な畑へと変わったのである。
(鑑定)
レッドキャロット ☆2
通常の人參が赤になったような姿の人參。
獨特な赤いは外敵からを守るための毒素のであり、毒は弱いが人間では食べる前に加熱して消毒する必要がある。
それに加えて通常の人參より度があるため食用には不向きだが、ケンタウロス達の食料としてケンタウロス達により広く栽培されている。
「育てているのは人參ばかり。というか馬って別に人參ばかり食べているんじゃなくて牧草やら切り藁、林檎だって食べるのに何故人參だけなんでしょう?いや、今はそれは関係ないですね」
所々で赤人參を引っこ抜かんとしている人間達からの奇異の視線を向けられながら、再びシグレは歩きだした。
「人參、人參、人參。稗、粟。どう見ても人間用の稗と粟の畑が人參畑の十分の一以下なんですが……ここのケンタウロスは村を絶させたいんですかね?」
ありえないだろうが、この畑を見るにそうではないとしても相當酷い扱いをけていると見える。
見れば、村人達は別や年齢など関係なく畑仕事をしているし、そんな彼らの掌は乾燥し固くなりひび割れ、り合わせると軋むような音がなるようにまでなっていた。
泥に塗れながらそれを意にも介さず農作業を続ける人間達の目にはなく、時折疲労を思い出したかのように膝を折り、そして緩慢なきでひたすらに仕事をし続けるその様は、人と言うより人形のようであった。
(そして、最も気になるのが)
そうしてシグレは畑の向こう側に見える沢山の魔道の明かりと立ち並ぶ先程の住居とは比べにならないほど巨大でしっかりとした建築を靜かに見やり、ゆっくりとそちらへ歩いていった。
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