《邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜》第三百八十五話 怪の箱

9章 Grim happy end

「……いや、考えても答えは出ないでしょうね。その人間の狀況によって答えなんてものはいくらでも変わり得るでしょうし」

シグレは、答えの出ない問を打ち切り、日が沈み切った草原を一人歩いていた。

「おっと危ない。ウェルダン」

唐突に突進してきた牛を躱し、炎魔法の火加減を調節しちょうどウェルダンになるようにして焼き上げる。

魔法の名前もウェルダンなため、実に安直である。

そんなこんなで近くに群生していたベビーリーフのような植などと合わせて料理して簡単な夜食を拵える。

どうやら村に著く前に捕らえた牛とはまた違う種族であったらしく、存外に味であったため、保存魔法をかけてアイテムボックスの中に保管しておく。

「うへぇ……ここに國作るとか、旅人れたくないんですかね?」

次のマップに著くと、そこは怪の巣窟であった。

所々木々が生い茂るような場所もあるが、基本的には開けた草原となっている。

見たじは普通の平原と言ったところだろう。

ただ、怪達が徘徊しているだけで。

このマップにり込んだ常時発している敵生探知魔法の探知反応が瞬間的に急増したのである。

そして見てみれば見渡す限りの怪達。

なぜか真っ黒な草原には二角獣バイコーンやケンタウロスなどが闊歩し、地下には土竜型のモンスターや蟻型モンスターが巣を作っている。

空には巨大な怪鳥が悠々と飛んでおり、その瞳はシグレを一心に見つめていた。

「あ……よかった。これは簡単に切れますね」

草原に一人立ちケンタウロスたちに襲われる危険を抱えるくらいなら多ゆっくりでも遮蔽のある林の中に隠れて移した方がいいと思い、シグレは黒い樹皮を持った樹が群生している林へと足を踏み込んだ。

隠蔽魔法をかければいいが、それだってタダではない。

このではMPは無限ではないのだ。

魔法で作りだした鉈を使い垂れ下がる蔓を切り裂いて道を作っていたシグレは、あの強度の高すぎる荊は普通のものではなかったのだと若干安堵しつつ、目の前に広がる林の央部へと向かっていく。

「お姉さん。お姉さん。僕と一緒に遊ぼうよ!」

唐突に響いてきた竪琴の音とともになにやら年のような聲がシグレの耳に響く。

「はぁ……」

ー魅了チャームによる干渉を確認……抵抗しましたー

當然のごとく魅了チャームを防ぎながら、シグレは若干めんどくさそうに聲の主の元へと進んで行った。

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