《邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜》第三百九十一話 報
9章 Grim happy end
朝、微かに聞こえる小鳥の囀りで目を覚ます。
「とりあえず、報収集がてら街を回りますかね」
そう言いながら変化した冒険者の男の姿のまま宿わチェックアウトし、金貨が數枚と大量の銀貨、そして幾らかの銅貨がった袋を懐にしまうふりをしてアイテムボックスにしまうと、シグレは外へと歩いていく。
「やっぱり明日から徴兵令が出るらしいぞ…」
「うげぇ、なんてこった。せっかく畑に次の麥の種を撒いたばっかだってのによぉ」
「俺もだ。しかも、人した男なら年齢関わらず全員らしいぞ」
道行く二人組の男の會話を盜み聞きしたシグレは、屋臺で串を買うとそれを晝食代わりに手に持ち食べながら広場で再び報収集を始める。
「あ、これをどうぞ、あと、聞きたいことが幾つかあるのですが」
シグレは広場の隅のベンチに腰掛けて空を眺めていた人間の男に話し掛ける。
「ああ、ありがとう。でも、見てのとおり僕はこんななりでね。君がしがる報なんて持ってないんだ」
肩を竦めてそう言った男に、シグレはにっこりと笑って話しかけた。
「噓をついてはダメですよ?エルフさん」
「あらら……バレてたのか、なら仕方ない。なんでも聞くといいさ、僕は一応この街で一番の報屋らしいからね。大のことは知ってるよ。今回は初回サービスで無料にしてあげよう」
そんなことを言いながら目の前のエルフは牛串を頬張り、滴る油を自らの指の腹で拭い去った。
「ん?この國が近々戦爭を起こすって?その通りさ、なにせこの國は隣の月の國と犬猿の仲だからね」
呑気に牛串を頬張るエルフの報屋に戦爭が起こるかと聞くと、そんな返答が帰ってきた。
「何故です?今は農家にとってはまさに一年で一番大事な時期でしょうに。しかも、街中で騒がれているのを見る限り戦爭を仕掛けるのはこの太の國の方でしょう。穀倉地帯や國の食糧事が一気に揺らぐかもしれないのに、今この時期にわざわざ侵攻する必要は無いと思うのですが」
シグレがそう聞くと、エルフの男はニヤリと笑い、そして話し出した。
「そうだよね。うん。その通りだ。普通ならこんな収穫と種蒔をしなきゃならないこの繁忙期に戦爭を仕掛けるなんてことはしないだろうさ」
「でもね。この國の王様、馬鹿なんだよ」
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平和の守護者(書籍版タイトル:創世のエブリオット・シード)
時は2010年。 第二次世界大戦末期に現れた『ES能力者』により、“本來”の歴史から大きく道を外れた世界。“本來”の世界から、異なる世界に変わってしまった世界。 人でありながら、人ならざる者とも呼ばれる『ES能力者』は、徐々にその數を増やしつつあった。世界各國で『ES能力者』の発掘、育成、保有が行われ、軍事バランスを大きく変動させていく。 そんな中、『空を飛びたい』と願う以外は普通の、一人の少年がいた。 だが、中學校生活も終わりに差し掛かった頃、國民の義務である『ES適性検査』を受けたことで“普通”の道から外れることとなる。 夢を追いかけ、様々な人々と出會い、時には笑い、時には爭う。 これは、“本來”は普通の世界で普通の人生を歩むはずだった少年――河原崎博孝の、普通ではなくなってしまった世界での道を歩む物語。 ※現実の歴史を辿っていたら、途中で現実とは異なる世界観へと変貌した現代ファンタジーです。ギャグとシリアスを半々ぐらいで描いていければと思います。 ※2015/5/30 訓練校編終了 2015/5/31 正規部隊編開始 2016/11/21 本編完結 ※「創世のエブリオット・シード 平和の守護者」というタイトルで書籍化いたしました。2015年2月28日より1巻が発売中です。 本編完結いたしました。 ご感想やご指摘、レビューや評価をいただきましてありがとうございました。
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