《邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜》第三百九十七話 おしまい

9章 Grim happy end

「事はわかりました。ですが、戦爭の理由が見えてきませんね。森の中にあるものを取りに行きたいならばそれに対して力をれていなさすぎる。現に街の中では戦爭の話でもちきりでしたし。森の中に存在するナニカを手にれようとしているのならば、いっそそれを放棄しているような今の狀況は不自然極まりないのですが?」

そう言って目の前のエルフの男に質問を投げかけると、男はバツが悪そうにその整った顔を歪め、肩を竦めてみせた。

「さあ、流石の僕もそこまでは知らないよ。案外鍵みたいなものが必要で、二人が持ってるそれが揃わないとダメとか、そんなのかもしれないよ?まあ、僕から言える報はこれが全てさ。ああ、お代はさっき貰った牛串で構わないよ。それじゃ、また何かあったらご贔屓にね」

言うだけ言ってエルフの報屋は広場の雑踏の中へと消えてゆき、やがて人混みの中に姿を消した。

「……絶対ぼったくりましたね。數十本食べてますし」

話している時に常に牛串を頬張っていたのだから當然である。

最初に渡した何本かを食べ切ると、シグレの手から奪い取ってでも食べていたほどなのだから。

エルフの例にれず細であるに関わらず、シグレがのどこにあれだけの牛串がるんだと思わざるを得ないほどの食であり、普通に報を買った時よりぼったくられたのは間違いないだろう。

まあ、金銭的に問題が発生した訳でもないので別にいいのだが。

「あ、すいません。そのサンドウィッチ頂けますか?」

「あいよ」

「ありがとうございます」

そんなことを考えながら広場の店でサンドウィッチを購し、食べながら市街を散策する。

何しろ先程の牛串は報屋に全て渡してしまったため、シグレはほとんど食べていないのである。

そんなこんなでほぼ晝食に近い朝食を済ませ、することもなしに大通りにそって歩いていく。

しかしまあ、大通りにしては寂れた、というか汚れた印象が目につくものである。

道の脇にある街燈なども汚れて街燈の役割を果たせていない。

整備が行き屆いていないのだろうか。

(覚強化センスブースト)

「…………明日には徴兵令が発令されるそうよ」

「はあ、憂鬱だ……また人を殺さなきゃならないのか……」

「俺にはこうやって日用品を売ってるのがにあってるのによお」

「いつまで続くのかしらこの戦爭は、うちの旦那もいつ死ぬのかとビクビクしてるわよ」

(住民はほぼ最悪ですねこれ……)

強化した聴覚で道端の會話を盜み聞きしながら、シグレは市街地を進んでいく。

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