《邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜》第四百四話 害悪

9章 Grim happy end

そして、もう一人の青年が口を開き、靜かに話し始めた。

『なあ兄さん……僕はね。決めたんだ。父上を継いで僕の作る王國に、頭まで筋でできた戦うことしか能のないヤツはいらないってね。だから、死んでくれ』

そう言うと、青年の背後から白銀の甲冑にを包んだ近衛兵と思しき者達が現れ、太王を拘束しようとした。

『貴様ら、何をする!これは不敬罪に値するぞ!』

『関係ありませんね。我々は王家やあなたに仕えているわけではないんだ。我々はこの國の行く末を真に憂いているのだ』

現れた近衛兵達は太王の腕を摑み、両脇を抱えるようにして扉の向こうへと移していく。

その顔に生気はなく、瞳は濁り切っている他口はだらしなく開け放たれている。

連れていかれる間に投げかけられた太王の言葉には抑揚の一切ない機械的な聲で返答し、一定の速度のまま部屋の扉へと進んでいく。

『憂いている?この國を?……笑わせるな!今の貴様らの目になどない!無様にられた木偶人形が!』

そう言うと太王はするりと拘束された狀態から抜け出し、なにかされたのか非常にきの鈍くなった近衛兵達をすぐさま制圧すると、腰から下げていた剣を引き抜いてもう一人の青年に向けた。

『貴様こそが國家の膿、破滅を齎す害悪だ。故に、敗する。仮にも兄弟だ。一撃で沈めてくれる。瞳を閉じよ。死をれろ。それこそが、貴様にできる唯一の貢獻である』

そうして、太王の剣は眩いに包まれ、それが目にも止まらぬ速さで青年のに突きつけられた。

『いいや、そんなことは無いさ。僕はこの國を変える。不純を取り除き、丹念に丹念に濾過していき、そうして優良な人間達のみを殘す。そうすれば、我々は歴史上最高の國家になれる。そして、その軍の長には兄さんを……と思っていたんだけどね。その説明を聞いて斷るなんて……』

首に剣を突きつけられた青年は別に震えることも泣きぶこともせず、ただただ真っ直ぐ前を向いて話し続ける。

傲慢に、高慢に、自らの死が佇んでいるのにも関わらず。

『黙れ、愚が、貴様など弟ではない』

心底軽蔑するような目を向けた太王に返し青年は薄く笑うと、靜かに聲を発した。

『悲しいなぁ。でも、僕も譲れないんだよ』

そう言うとどこかからピンポン玉程度の大きさの球が現れ、部かららしながら発した。

映像は真っ白に染まり、そして、消失した。

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