《NPC勇者〇〇はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!?》第11話B そして勇者は貍寢りをする。みたい??

ハックが居る方向は勇者が顔を向けていない方向なので、薄目を空けて確認する事も出來ない。だが服に付いたベルトやらチェーンのれる音が聞こえるので、間違いなく部屋の中に居る。その存在が勇者を苦しめる。その時、窓の外からの聲が聞こえてきた。良し、『このまま』起きるチャンスを伺おう。

「ハックさーん?るよ~?」

「お邪魔しまーす」

扉を越えて廊下を通り、聞き覚えのある聲の持ち主が部屋の中にって來る。間違いなく「タリエル」と「マリーナ」だ。ひょっとしてココはハックの家か?

「やぁ二人とも。今日も良い天気だね。」

「おいす~ハックさん」

「こんにちは。パパからお見舞いの品を渡されたので持ってきました。」

(・・お、お見舞い?それって、俺の事か?)

マリーナと思わしき気配が近づき、何かとても味しそうな匂いのするを枕元に置いていった。その匂いをかいだ途端、猛烈な空腹に襲われる。

(な、なんだこの味そうな匂いは~腹減ったぁ~)

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「・・・キュルルルゥ・・・」

(やべぇ!腹が!!)

「あらあらマルマルさん。夢の中でお腹でも空いたのかしら?」

うふふと笑うマリーナの気配が部屋の角の方に遠ざかる。多分ハックの座ってる方に行ったのだろう。顔を向けている側に気配が無くなったので、興味本位で薄目を空け、匂いの正を見てみる。

(匂いって事はミンギンジャンの料理か?・・・って!げぇ!!!)

それは確かにミンギンジャンが作ったであろう料理だったが、舌を出した何かのモンスターの『頭の丸焼き』で、あちらこちらに「死」とか「殺」の字が焼きごてのようなもので書かれており、包丁、ナイフ、フォークの類いが頭頂部に刺さりまくっている。皿の下にはナプキンが敷かれている・・と思ったがどうやら請求書と手書きのメモで、「はやく金を払え。さもないと」と文字で書かれていた。

(い、いらねぇぇぇ!!なんだよこの気味の悪い料理は!!お見舞いにこんなモン持って來んなよマリーナも!!)

次に軽い足音が近づいてくる。これはきっとタリエルだ。タリエルは何をするんだ。

「はい、コレ。お見舞いの花。マルたん、はやく良くなってね。」

どうやらタリエルは花を持ってきたようだ。そういえば部屋の隅の花瓶に白い花が挿してあったな。タリエルがやってくれたのか。多分花の良い匂いがしてるんだろうが、ベット脇の『異』の匂いがそれを遮ってくる。

「タリエルさん、ちゃんと可らしい所があるんですね。」

「なんというか・・鬼の目にも涙・・・いや違うな、『亡者グールの手にも花』、と言えば良いのか。正直あやつにもあのような一面があるとは思っても見なかったぞ。大方、金の掛からない所で無難な花を選んだのだろう。」

「ハックさん。毆ってもいいよね?いや答えは聞いてない。」

「フガッ!?た、タリエルよ。次からはそのような臺詞を吐くときは、手を出す前に言うが良い。」

(えええぇぇぇ!?タリエル、ハックを毆ったの!?み、見たかった)

「でも本當にどうしてあんな事が・・」

「あぁまさに、『悲慘な事件』、だったな」

(なんか毆られたの無かったことにしてハックが語り始めたぞ!?)

「まさか、マルたんとお別れしてから、上から落ちて來るなんて想像も出來なかったよ-」

(・・へ?え!?)

「凄い音しましたよね。ドーンって」

「勇者殿はてっきりあのまま天に召されて帰ると思って居たんだがな。が消えた途端、『そのまま』落ちて來るとは夢にも思わなかった。」

「ねー。しかも、あんなバラッバラのビッチビチになるなんて・・思い出しただけでもグロくて吐き気がするよぉ」

(でぇぇぇ!?俺、あの後空から落っこちて來たの??マジで!?しかもバラバラって何!?)

「しかし、よくぞ機転を利かせて破片を持って帰ろうと考えたものだなマリーナ嬢。流石店長殿の娘だけある。」

「い、いやぁハックさんに褒められると、えへへ。」

(いやいやなんで片を持ち帰ろうとしてんのよ。それでしかも褒められて喜んでるし!!)

「マルたんを街にある神殿までこぼさないように持ってくの大変だったねー」

「あぁ。だが流石の私も持ってった先で僧が間違えて仏のお経とお線香をあげてしまうとは想像が付かなかった。」

(はい?復活手続きじゃなくて極楽手続きされたの俺?てか、神殿ってまさかのブッダスタイル!?いや、宗教とか関係ないけど、そこ神殿じゃなくて寺とか神社じゃね?)

「しかも見習いの小坊主が手違いであっという間に勇者殿の墓を建ててしまったらしい。」

「あー!?ウチの店のゴミ捨て場の隣に出來たの、あれマルマルさんのお墓だったんですか!?あそこ、酔っ払ったお客さんがみーんなおしっこしたりゲボ吐いてく公共場所みたいなじになってますよ!」

(なにやってんだよ小坊主ゥゥゥ!!しかも今脳イメージで表示されてた墓石「ゆうしゃのはか」じゃなくて「ゆうしゃのばか」になってたよ!?てかマリーナも、店の隣にそんなの出來たらダメでしょ衛生的に!!やめさせなさいよ!!あと死者を冒涜しない!)

「でもさー。あの後のハックさんにはがっかりしたよねー。神殿が頼りないから自分でなんとかするーって息巻いてたのに、まさか復活魔法失敗するなんてさー!ちょっと魔法の勉強足りないんじゃないの?」

「それは・・すまない事をしたと反省している。もっとも、復活魔法については昔本で読んだだけだったのでな。鍛錬が甘かったのは素直に私の責任だ。努力する。」

(いやおい復活魔法ってまぁまぁな難易度の高等魔法じゃねーのかよ!?なんでそんな昔聞きかじった程度の技量でやっちゃってんの?しかも失敗してるしハック!!)

「しかし、そこでよくぞ機転を利かせてその『灰』を持って帰ろうと考えたものだなマリーナ嬢。流石店長殿の娘だけある。」

「い、いやぁハックさんに褒められると、えへへぇ。」

(なんで『灰』持って帰ろうとしたのマリーナ!?!?店長の娘関係なくね!?つーか!失敗して『灰』になってるし!!全俺が『ロスト』寸前!!)

「でもアレにはびっくりしたよね!」

「ハイ!まさかパパにあんな力があるなんて、娘の私も知りませんでした!!」

「あぁ、あれか。ミンギンジャン殿が完させた料理系の『究極魔法』の事だな?」

「うん!あんな凄いの見たことも聞いたこともなかったモン!」

(なんだ?ミンギンジャンの『究極魔法』??なにそれ知らない!こわい!)

「私の様な一世代前の冒険者の中ではかなり有名な話なんだがな。そうかタリエル達は知らなかったのか・・彼はその魔法を習得するために、冒険者の道を諦めたのだぞ?」

「えぇーー!?」

「そ、そうだったんですか?パパ、昔のことを話したがらないので、私も聞いた事ありませんでした!」

(なんだ?あのミンギンジャンが『冒険者』を諦めるぐらいの魔法・・・気になる、すっごい気になる!)ドキドキ

「アレこそまさにミンギンジャン殿が生涯をかけて完させた、『焼きすぎたを生の狀態に戻す』魔法だ!!」

「えぇッッ!?」「そんなまさか!?」

(うええぇぇぇーー!?!?くそだせぇぇぇぇーー!!なんだその使い道のない究極魔法!そんなのの為にミンギンジャンって冒険者諦めたのぉぉぉ!?!?)

「彼はにある全ての魔力を集中させる事により、焼きすぎたを生の狀態に戻すという奇跡を起こせる者。大陸全土に渡っても、彼と同じ奇跡を起こせる者はいない!」

「す、すごー!!」「パパ、なんて恐ろしい事を・・・」

(いやこっちだよ恐ろしいのは!その魔法で俺に何したんだよ!?)

「一般的に復活に失敗した者は『灰』になってしまう。いわゆるロストと呼ばれる狀態だ。そこまで行くと王都にある『醫療會系神殿』の大僧正でも復活は難しいらしい。だが、ミンギンジャン殿には違う。何故なら、彼にとって『灰』とはまさに『焼きすぎた』そのもの!!」

「「な、なんだってー!?」」

Bパート終了→

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