《NPC勇者〇〇はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!?》第15話A そして勇者は裝備を強化する。みたい?

勇者がゲームに閉じ込められてから8日の朝を迎えた。バイトに行く前に一応DMが送れるかどうかを試してみたが宛先を運営にするとエラーで弾かれてしまう。完全にサーバーを落としてしまっているようだったのでさっさと諦めた。それで今に至る。

「トンマぁ!まだ鍋の仕込み終わらねーのか!いつまでかかったんだ!!」

「マルマルさーん!こっちのお皿洗って下さい!」

「あ、あいよ〜ちょっと待ってて〜」

正直食い屋の仕込みを舐めていた。これ程までに忙しいとは。

「これ仕込み終わったのこっちに置いとくぞ、あと調味料こっちで合ってたっけ??」

「馬鹿野郎!そりゃ砂糖だ!菓子作ってんじゃねーぞトンマぁ!!」

「なーんで砂糖と塩が同じってて隣に並んでんだよ!分かりづれーぞミンギンジャン!」

「うるせえ!ケチ付けんな!あと仕事してんだから料理長って呼べ!」

「パパ〜フロアの準備終わったよ。」

「あのなぁマリーナぁ。お前にも前から言ってるけど、営業中は料理長!!」

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「はーいごめんなさーい!」

これだけの作業量よく今まで2人だけで切り盛りしてたなと思うぐらいの忙しさ。慣れない作業でもあって勇者はてんてこ舞いになっていた。

「ホイ!手空いてんだろミンギンジャン!金!」

「食材扱ってる時に金渡す馬鹿がどこにいる!このトンマぁ!!」

ミンギンジャンに空きが出來ればその都度金貨を渡す。午前中はひたすらそれを繰り返していた。そんなこんなで午前中はあっという間に時間が過ぎていった。

「ふぃ〜疲れた〜流石に休憩なしで午前中ぶっ通しはキツいぞこりゃ。」

「はい、お疲れ様でした。マルマルさんどーぞ」

マリーナが晝食のまかないを持ってきてくれた。たっぷりのスタミナ丼!大魔道飯店の大盛りランチで有名なメニューらしい。いわゆる冒険者用達って奴だ。

「すげー!とんでもないボリュームだな!いっただっきまーす!!」

當初晝までのバイトだった勇者には晝飯が出ない事になっていたのだが、金を払いつつタダ働き、その代わりに味を盜むという名目で渉している為にミンギンジャンが渋々まかないの提供を認めたのだ。

「うん味い!いやぁゴネてみるもんだな。これで毎日晝飯には困らんぞ。」

「あんまり急いで食べるとに詰まりますよ。それでマルマルさん、今日は何をするんですか?」

「ん?とりあえずは冒険者ギルド行ってパーティ募集して、後は暇になったら協栄ギルドで暇つぶしでも見つけるかなーって所だ。」

「おい、てめぇ用事あって忙しいから午前中だけ店手伝うみたいな話してなかったか?」

「お!思い出したそうだった!!大事な用事があるんだよ!またな、ミンギンジャン、マリーナ!」

スタミナ丼の殘りを口いっぱいにかき込んで勇者は逃げるように店から出て行った。

「ホントに何モンなんだ?小銭しか払えないってのはどうやらそうらしいが…」

「えーっとまぁ…一応真面目?な人みたいだよパパ。」

「ふーん真面目ねぇ…俺にはただのトンマにしか見えんがなぁ。」

勇者は今日だけで2700Gミンギンジャンに返していた。昨日払った分と合わせると3000Gになる。このままだと10日前後には完済できそうだ。

「…ま、金さえ払ってくれればこっちも文句はねーけどよ。」

窓から見える走り去る勇者の背中を見送った後、ミンギンジャンは廚房に戻っていった。

「…よし、パーティ募集はこれでいいな。」

冒険者ギルドのクエストボードに募集案った勇者は、ギルドにいる冒険者達を見渡す。ファステ周辺にはそこまで高レベルのモンスターが湧くわけではないので、ツワモノ揃いと言う面々では無かったが、皆中々に良い裝備を揃えた者達ばかりだ。

「すげーよなぁ。今ここにいる連中はぜーんぶただのNPCなんだもんなぁ。普通のプレイヤーと全然見分けがつかないぞ。」

數人のグループで話し合いをしている者、晝間から酒を飲んでるゴロツキ、エルフとオークがぐらつかみ合って喧嘩の最中。クエストボードに食らいついて次の仕事を探す獣人。多種多様な種族がギルドの中でひしめき合い、それぞれが々な行を取っている。どう見たって作りやプログラムには見えない。

「まぁ1週間も経って誰も助けに來ないんだ。しばらくは現実忘れてゲームライフに沒頭させてもらうか

。」

的には目覚めて1日、実際には8日目になるのだが、既に勇者にはなんとしてでも帰ると言う気がし薄れていた。もし帰れたとしても、ゲームを買って仕事の合間見てサウタナをプレイする。どうにしたってココには來るのだから、今からログインしっぱなしになっても何も変わらない。ただ現実のの事はし心配していたのだが。

(筐から目覚めた時に大小をらしまくった自分の狀況を想像すると、寒気がするな。)

ブルっと震いをして勇者は冒険者ギルドを後にした。一応念の為転職出來ないかと窓口に行ったが、「勇者としての履修項目を納めてから」の一點張り。普通であればある程度の職業レベルに到達したり、スキルや魔法を習得するという條件さえ満たしていれば転職が可能なのだが、勇者というデバッグ専用の職業にはそもそもで何も設定されていない。つまり転職は不可能。

裝備についてもFランクの全職業共通裝備か、ミスリルのハーフプレートの様に高スペックなのに全職業で裝備可能といったレアなパッシブスキルが付與されていない限りはEランク以上の武も裝備出來ない事が分かった。まぁそれ以上文句を言ってもどうにもならないので素直に納得する事にした。

Aパート終了→

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