「うぃーっす。仕事もらいに來ました〜。」

「おー兄ちゃん、この前の仕事じゃ熊に襲われたらしいな。災難だったの。」

相変わらず協栄ギルドの方は閑散としていた。ギルドも付のじーさんただ1人。まぁここに來て仕事けるような人は朝イチに來て、1番利率のいい仕事を取っていくから午後に來たってほとんど人が居ないのは當たり前の事なのだが。

「そうですよ〜今度はちゃんと安全が確保されてる奴をけたいんですけど。」

「うーんそうなると、隣の工房での作りする仕事になるが、それでいいかの？」

「お！そういうの結構好きっスよ自分！適當に見繕って下さい。」

「ほい來た、これが納品書と材料じゃ。注した人は無料で機材使えるから、自分で作りたいあったら作ってってもええぞ。」

「マジすか！？あざーっす!」

早速隣の工房へ移する。中には木工用の機材や作業臺、鋼材加工用のグラインダーやら々な機材が所狹しと並んでいる。既に何人か居て作製作業をしていた。

「へぇ〜結構凄いのなぁ〜。どれどれ、納品書は…」

けいぼう＋1　3個

ダガー　2個

グローブ(革) １個

簡単な仕事なんだろうけど、どれもやった事が無いし作り方も分からない。とりあえず渡された素材を持って作業臺に行く事にした。

「とりあえずはグローブ作ってみるか…おぉ！？」

グローブを作ろうと手近にあった工をると、自然とがき、テキパキと作業がすすむ。

「おーなるほどこりゃ面白い。流石ゲームの世界だな。製作はとりあえず素材が揃って作業臺の前にいれば自的に作れるのね。」

特に意識する事が無くても手は進み、必要な工を摑んで一通りの作業をこなしていく。あっと言う間に革のグローブが完した。

「出來た出來た。でも雑ってのが気になるな。」

勇者の作製したアイテム名に（雑）という項目が付いている。どうやら練度次第で製作したアイテムの効果が上がるらしい。

「アイテムクリエイト好きにはたまらんだろうな、こう言う細かい所。さーて次は…あ？」

ダガーを作ろうと鉄の素材を取り出そうとしたが、アイテム欄にはまだ革の素材が殘っていた。貰ったのは１つ分の材料だけのはずだった。

「アレ？いや、間違いない。確かに１つ分の材料だけだったはず。うぉ！」

久し振りの覚に驚く。上著にしまってある黒いメニューボードだ。強く振している。

「おいおいまさか…ウォォ！！こりゃまじかよ！」

新たに読める部分が追加されていた。そこに表示されたのは『クリエイト:消費なし』の文字だ。早速試してみるもやはり素材は減っていない。

「すげぇ！アイテム作り放題だぞ！！ってアレか、素材は最低でも作製に必要な分は揃えなきゃならないのか。る程ね〜」

２つ３つ革のグローブを作って試してみたが、やはり素材は消費されてない。勇者は小さくガッツポーズをした。

「練度上げはまた今度にして、殘りをささっと作り上げちまおう。次はダガーにけいぼうか。」

グラインダーの前に移して、パパッとダガーを完させる。次は木工作業臺に移った。

「えーっと…何々？＋強化は同じ武を素材として更に追加素材が必要なのね。ここら辺は前作と変わらないな。」

勇者は試しでけいぼう＋1を作ってみる。この場合は、元となるけいぼうと素材となるけいぼう、更に木の素材が必要になる。作製と同時に黒いメニューボードが振する。

「素材消費しないのはいいけど、モノ作る度に毎回振されるのもびっくりするなぁ。しかし、木のけいぼう2本使ってんのに出來上がるのがけいぼう1本ってなんだか面白いな。」

別にゲームのを探している訳ではないが、こう言う部分はやはり型ゲームだと表現に違和をじる。面白いけどやはりゲームには限界があるのかと考えてしまう。

「えーっと確か3本作るんだったよな？あれ、4個作っちゃったか。今はこんぼうの方を裝備してるからいくら＋裝備でもけいぼうはいらんな。売るか誰かにくれてやるか…」

素材は消費しないので、間違えて惰で4つ作ってしまったけいぼうを並べて見る。

（ハックは魔系職業だから使わないだろうし、そもそもこんなFランク裝備必要とするレベルの仲間いるか？いてもせいぜいマリーナ？いや、要らんだろう。作るより買う方が安いアイテムなんて。)

けいぼうを処分しようと考えたが、ふと面白い事を思いついた。

(アレ？これ武も素材として扱われているから、これも消費されない？って事は初級レベルでの強化制限までは大概の武強化出來るかも？）

サウタナの設定では、＋3までならどの武及び防も素材さえ集められれば強化できる。それ以上強化したい場合は裝備強化の制限を解除するパッシブスキルが必要だった。

ただし、そのスキルを得られるのも並大抵の努力だけでは出來ず、手にれたとしても各ランク毎に別スキル扱いになっているので、Dランクの武だけ＋4、Eなら＋5、防はFの＋5までといったようにそれぞれで強化制限は異なる。しかも正直言って＋5にしたからと言って凄まじく能が上がるわけでもなかったのでほとんどのプレイヤーはやっても＋2ぐらいで止まっていた。

「よーし本當だったらこんな事勿無くてしないけど、最弱武けいぼうの＋3作ってみるか。」

シンプルに、強化制限限界のけいぼうがどれ程攻撃力が上がるのか見てみたかった。ただそれだけだった。勇者は『3回』けいぼうを強化した。また黒いメニューボードが振する。

「よーし出來た、けいぼうの…＋4！？はぁ！？！？」

事は単純だった。勇者は制限MAXの＋3にするつもりで『3回』強化したが、元に使ったのは納品の為に間違えて余計に作った＋1のけいぼう。つまり合計で『4回』強化された。ただそれだけだった。

「え？なんで4？あれ？？あぁそうか、4になるのか。で？強化制限は？？」

まさかと思いデバッグメニューを開く。さっき表示されていたメニューのすぐ下に、『クリエイト:制限なし』の文字が。流石にこれは小さなガッツポーズだけで止まらなかった。

「うぉぉおぉ！！マジで！？これ、資金無限どころの騒ぎじゃないぞ！？素材も消費しないし強化もし放題！？お、俺の勝ちだぁぁ！！」

あまりの喜びに謎の勝利宣言をしてしまう。周りで作業していた他の人達が痛々しい視線を送ってきていたが、そんな事は気にしていられない。これはゲーム生活においてとてつもない可能を示していた。

「よし、すげぇモン作ってハックに見せびらかそう！うくく！」

そう言って勇者はひたすらにけいぼうを強化し続けた。

Bパート終了→