《NPC勇者〇〇はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!?》第25話A #3 『殘念勇者の伝説』
17日目の朝、いつもより早く目覚めた勇者は、辺の整理を行いさっと出勤準備を終える。
「おしっ最後のお勤め行くかっ!」
自分の頬を叩いて気を引き締める。短い期間ではあったが仕事納めとなると気合がる勇者であった。
「おはよーございまーす!!」
「おう。なんだ朝からテンションたけぇな、トンマ。」
「なんてったって今日で最後だからな。気合もるよ!ホラ、1枚目!」チャリン
ミンギンジャンに慣れた手つきで100G金貨を渡す。この作も未だまで100回以上続けて來たかと思うと慨深い。
「おはようございます、マルマルさん。」
「お!おはよーマリーナ。今日もよろしく頼むな!」
「おいトンマ。昨日來たお前のツレだが…」
「え?誰?」
「ほらアイツだよ。冴えない顔した戦士。」
「あー…もしかしてヤンドか?」
「おぉ、そんな名前だったな。ありゃいい戦士だな。良く鍛えとる。」
「へ、へぇ〜そうなのか?」
「実は昨日…マルマルさん達を追いかける為にヤンドさんにお弁當の配達と店番頼んだんですよ。」
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「え!?そうだったの?」
「わたし、その後すっかり忘れて食材の買い出しとかして帰ってきたら…」
「どうしたんだ?」
「常連さん達か面白がってヤンドさんに沢山お酒飲ませ過ぎちゃってて、大変な事になったんです。」
「あのゴロツキ共がか?大変な事って何かあったのか??」
「はい…その。ヤンドさんが素手の格闘家とわかるや否や常連さん達が腕相撲勝負を挑み出したんですよ。」
「腕相撲?腕相撲ぐらいそこまで珍しくもないだろ?」
「それが、ヤンドさん軽く敵意を向けられただけでも…その、反応するらしくて…」
「え…え!?おいマジか!?」
「でも、最初は斷ってたんですけど、お酒飲まされてくうちに段々とその気になっちゃって。…変しました。」
「うえぇ!マジか!店大変だっただろ?怪我とかしなかった?」
「でも、なんか聞いてた話と違って、そこまで自我を失ってるってじでは無かったんですよ。」
「へ?」
「半分覚醒というか…勝負してる時だけ暴走して、終わったら戻ってってのを繰り返してて、みんな面白がってどんどんお酒飲ませちゃいまして…」
「う、うわぁ…」
「でも、酔えば酔うほど自我を保ってるみたいになったんです。そこまでほぼ絶と同時に瞬殺だったんですけど、段々と苦労し始めて…」
「ど、どうなったの??」
「店のみんなを倒した後、ウチのパパとの勝負になって、そこでヤンドさん負けた瞬間に倒れて眠り始めちゃいました。」
「なるほどねぇ〜。…え?ミンギンジャン、ヤンドの暴走狀態に勝ったの!?すげぇ!」
「…フン、くっちゃべってねえで手をかしな。」
「…パパ、照れてる。」
「うわー、きもーい。」
ダンと言う大きな音を立てて、ミンギンジャンの持つ包丁が鶏の塊に突き刺さる。
「………。」ギロリ
「「し、仕事しまーす…」」
いつも通りの大魔道飯店で、黙々と作業をこなす勇者とマリーナであった。
「よし!これで…終わり!!」
一通りの調理機材を洗い終わった勇者。時間はちょうどお晝を指していた。
「さぁ、これが最後の金だ。ミンギンジャン、け取れ。」チャリン
「…なーんでテメェが偉そうなんだよ!このトンマァ!!」バキッ
「痛ってぇ!何も毆る事ねーだろ〜が!」
「ふん。これで36000Gピッタリだ。オラ、さっさとどっかいけ。」
「…あのなぁ。金払ってただ働きまでしてんだ。むしろ36000G以上の稼ぎになってんだろ?それで言うのはそのセリフか?あぁ?」
「…元はと言えばテメェがさっさと金払わねぇからこうなったんだろうが。それをなんだ?借金踏み倒そうとした奴を2週間近く生かしてやったんだぞ?謝さえされても、文句を言われる筋合いはねぇなぁ…。」
「「やんのかコラァ」」ゴゴゴ…
「ちょっとちょーっとストッープ!!もう、パパにマルマルさん!最後だってのになんでそんな喧嘩するんですか!?」
ミンギンジャンと勇者は互いを指差しながら怒鳴る。
「「ふん!!こいつが悪い!!」」
全く同時に同じセリフをんだ2人。
「「てめぇ、真似してんじゃ…」」
またもや同じく同タイミングでぶ。
「…なんだが、パパがマルマルさんが似たのか、パパにマルマルさんが似たのかわかんなくなっちゃったわね。」
「「そんな事…うるせー!!」」
「はいはい二人とも落ち著いてね。マルマルさん、お勤めご苦労様でした。短い期間だったけど一緒に働けて楽しかったわ。ありがとね。」
「マリーナ、元はと言えばお前がハメてここに働く事になったのに何言ってんだ?(マリーナのおでいい経験が出來たよ。ってくれてありがとな)」
「マルマルさん逆。本音と建て前逆よ。」
「おいトンマ。」
ミンギンジャンがボロボロのメモ帳を勇者に投げて渡す。
「なんだこりゃ?うん??」
「お前にウチの味を教える約束だったな。教える時間も無かったし、そいつをやる。好きにしな。」
「パパ!いいの!?アレ、現役時代の大事なレシピ帳だよね!?!?いいのあげちゃっても!!」
「もうどーでもいい。前掛け外してさっさと出てけよトンマ。」
下の倉庫に降りていくミンギンジャン。マリーナは止めようとしたけれど颯爽と階段を降りて行ってしまった。
「行っちゃった…でも、パパがあの手帳手放すなんて、よっぽど気にられてるって事ですよ!」
「えぇーそうかぁ?」
「パパはツンデレさんなんです!!」
「……はい。」
「マルマルさん、仕事は今日で終わりですけれど、またいつでも遊びに來て下さいね。従業員割りもありますから。」
「ありがとな、マリーナ。…それと、これを奴に頼む。世話になった禮だ。」
勇者は布に包まれたそれをマリーナに手渡す。
「何ですこれ?開けてもいいですか?」
「あぁ、小さい方はマリーナにあげるから使ってくれ。」
マリーナがくるくると巻いてある布を剝がす。中から出てきたのは恐ろしい輝きを放つ2組の包丁だった。
「うわぁ!凄い綺麗!これって…」
それは普通の包丁とペティナイフの二本を勇者がどちらも+7まで鍛えただった。
「俺が鍛えたんだ。ま、まぁ、一応は謝の気持ちもあるからな?生き返らせてくれたし。」
「マルマルさんもツンデレなんですね。」
「うるせぇ!」
「じゃ、後でパパに渡しときますね。」
「あぁ、ありがとな、マリーナ。」
大魔道飯店から出てきた勇者は店の看板の前に姿勢を整え、深くお辭儀をする。例え借金のカタで働き始めたとはいえ、一宿一飯の恩義は返すべき。勇者はそう考えるタイプの人間であった。
Aパート終了→
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