《NPC勇者〇〇はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!?》第34話 #11『殘業勇者の伝説』

(あいつら…何やってんだ??)ヒソヒソ

(今マリリーたん、ハックさんの事思いっきりビンタしてなかった??)

屋敷の2階、建の角にある小さな窓から外を覗く勇者とタリエル。

今ふと、外の2人と中の2人で目が合う。

(あー、多分だが潛が早々にバレて、逆に外で騒いで注意を逸らしてるんじゃないか??)

(なるほどー。ハックさんも間抜けな所あるんだねぇ、いい気味。)ククク

(笑ってないで行こう。せっかくもらったチャンスだからな。)

タリエルはここぞとばかりに窓の外の2人に向かって変顔をし、ハックに向けてバカにしたような仕草でヒラヒラと手を振る。

(何やってんだよ!それよりこっち!ホラ!)

勇者はどうやら當たりを引いたようだ。壁一面にズラっと本が並んでいる、書斎のような部屋を見つけた。

((すごーい…))

部屋の中にる2人は、その部屋の中の豪華さに驚いていた。

(俺は本を調べるから、タリエルは機を調べてみてくれ。)

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(おっけー!)

とりあえず、手當たり次第に豪華な裝飾の、分厚い本を開いてみる。

勇者はその時何か、違和じた。

「??……ん?…」

改めて辺りを見回す勇者だったが何も無かった。

(なんだ?気のせいか…?)

また本を調べる勇者。その時ふと、それまでにはない匂いが漂った。が付ける、ちょっとキツめの香水の香り。

一瞬だが確かに鼻にじられた。それも、嗅いだ事のある匂いだ。タリエルの方を見るがタリエルではない。そもそも、昨日からずーっと一緒に居てそんな香りがする瞬間など無かった。

「なんだ…?」

振り返ろうとする勇者の肩が、何かにトントンとつつかれる。だが、叩かれた方は肩の前側だ。つまり、勇者には何も見えていないが『視界の中』なのに、確かに『人の指のような』につつかれた覚がしたのだ。

「んあっ!?!?」

「うしろ。ブレイブハート。」

耳元で囁かれたその小さな一言に直で反応し、腰に隠していた武に手を添える。振り返ると同時に距離を離し、そして誰も居ない、何も無い部屋の隅を睨む。

(さっきの聲…ナユルメツだった。あのどこかで嗅いだ事のある香水も、あいつが腐臭を隠すために使っている香水に違いない。ナユは姿さえ見せなかったが、確かにここに現れ肩をつついて『警告』して消えた。普段自分から姿を現さないような奴が普通の相手に警告するか!?)

唯一全然狀況を理解出來てないタリエルは、勇者のただならぬ反応に恐怖する。

「ひゃっちょっちっ!なんなの!?」

「こっちに來い!!」

凄みを見せた勇者の言葉に、タリエルは素直に従った。勇者の後ろにピッタリとくっついて隠れる。

「おや、バレた?」

何もないはずの部屋の隅の空間が歪み、中からロウソクを片手に持つ、男の子が1人出てきた。年の頃は約7歳くらいと言ったところか。何かかしらかのを隠す魔法を使っていたのだろう。その育ちの良さそうな顔立ちと服裝から、その年でもそれらが可能な人間だという事だけは分かった。

「で、どうするの?ドロボーさん?」

刃を抜かずに留めておいた事で、相手は話をしようとしてきた。これはチャンスだ。

(おい!タリエル!!)ヒソヒソ

(何!?どうするの?)

(お前が話しかけろ!領主に會いに來たって!!)

(えぇッッ無理だよなんで私なの!?)

(ハックの作戦だ!多分、何かある!ハズ!!)

(なんなのよそれ!?意味わかんないよ!!)

「アレ?シカト?じゃ、衛兵さん達呼ぼうか?」

(行け!タリエル!!このままじゃ戦闘になる!早く!!)ドン

(やっちょっと!!)

勇者に背中を無理やり押されて、何歩かタリエルが前にでる。張のあまりに上った聲しか出ない。

「あ、あたし、その…ははは、領主さんに、さ。會いに來たの。うん!!」

「うん?……あれ?鑑定局のおねーちゃん?」

「「エッ!?!?」」

その年はタリエルの事を知っているみたいだった。しかし、タリエルは勇者と一緒に驚きの聲を上げた。つまり彼の方からは面識がないという事だ。

「ああ、そっか。面識は無いよね、うん。僕はダスキド。お兄ちゃんの弟。」

弟と、年は名乗った。それはもちろん、兄がいるのだから弟に間違いはないだろう。だが問題は『誰の』弟なのかという事だ。

勇者は年の髪のに見覚えがある気がしていた。マリーナの黃い髪のよりももっと白に近い、クリームのような黃と白が薄く混ざったような…そんな綺麗な髪のをした人に、ついこの前ズタ袋を被せてその上更に毆りつけてやったような…

「「領主(さん)の!おとうと!?」」

「せーかーい!でも、僕の事知らなかったみたいだね?ちょっと『殘念』。あ、これ言っちゃダメか。」

そう言われて見れば、顔立ちが中々に似ているような気がしてきた。彼が手に持つロウソクの薄明かりの中で見てこう思うのだから、きっと明るい日の下で見たらもっと似ているだろう。だが、今はそんな事を考えている暇は無い。

「じゃ、こっちが質問する番ね。」

(ヒソヒソ…コソコソ…)

勇者はタリエルの耳元でダスキド年に聞こえないように何かを伝えた。

「は、はい。答えられる範囲でならどうぞ。」

「『お兄ちゃん』、どこ?」

(コイツ…子供だと思って侮らない方が良さそうだ。中的で何考えてるかわからん顔を「演じて」いる。多分きっと、切れ者だな。)

「ええっと、何故私達がそれを知っていると思うの?」

「アレ?質問するの、コッチの番だったと思ったけど。違う?」ゴゴゴゴゴ…

ダスキドから放たれるプレッシャーに、タリエルが思わず後ずさる。

(タリエル、コイツには下手な噓は通じないと思う。最大限濁して、要點だけを伝えろ。)

「え、えーっと…向かってます。コッチに。」

「あ、そうなんだ?生きてる?」

「…まだ、確認、してません。」

「へぇぇ。」ゴゴゴ…

ダスキドの渉の旨さに思考を深める勇者。今、下手をこいたら後々後悔する。そんな覚だけはあった。

「ま、どうでも良いけどね。」スゥ

急にダスキドからの強めのプレッシャーは消えた。まるで急に関心が無くなったかのようだ。

「いいよ、久し振りのお客様だし。座って話そ?」

ダスキド年は応接用のテーブルとソファーを指さす。

勇者とタリエルはしばらく無言で見つめあった後、渉の席に著くことにした。

第34話 END

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