《NPC勇者〇〇はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!?》第35話 #12『殘念勇者の伝説』

ダスキドが正面、勇者とタリエルがその対面側のソファーに座る。

「さて、それでは要件を聞きくよ。」

「…俺達は、あるを調べている。それさえ済めばここからすぐ出ていくつもりだ。危害を加えたりだとか、何かを盜もうとはしていない。それだけ主張させてもらう。」

「あ?名前ぐらい名乗れよ。」

「要件を聞くと言ったのはそっちだ。まずは最初の質問に答えさせてもらった。」

「…へぇ」

のっけから始まる勇者とダスキドのぶつかり合う渉に、タリエルはたじろいでいる。

「じゃあこちらの質問に移らせて貰おう。」

「…そんな事誰が許可した?」

「…そうか、それは『殘念』だ。」

「何故?」

「この渉は、元から渉では無かったという事になるからな。もちろん、俺がさっき言った『危害を加えない』と言う話も、無かった事になる。」

「………。」ゴゴゴ…

ダスキドは表を一切変えずにじっと勇者の目を見つめる

「要件は済んだか?渉は終わりか??特に用が無いなら立ち上がればいい。席から離れた瞬間に、渉は『恙無くつつがなく円満に解決』となる。…さぁ、『お先にどうぞ』」

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相手が渉に持ち込んだ事をいい事に、勇者は煽りに煽りまくる。その空気にたまらなくなったタリエルが口を出そうとした瞬間…

「…!!」ガシィ

「ふがっもごぉ!!」ガシガシ

勇者はタリエルの口を片手で塞いた。塞いだと言うより、思いっきりアイアンクローでもかけるかのように、口を押さえつけた。

「不必要な発言は言質となる。俺が良いと言うまで話すな。一言も。いいなタリエル?」ズイッ

「………。」コクコク

タリエルの顔から手を離す勇者。今まで強かった目からのが、し弱まる。

「悪かったな。お前を守る為だ。」

「…隨分と、仲間想いなんだね。」

「それで、そっちの回答は?」

「…シカトかよ。」

ダスキドはかった表らかくした。

「いいよ。渉を続けようか」

「いいよ、だと?」

今度は勇者が怒りのをフルに出してくる。もはや椅子から立ち上がらんばかりの勢いで、機を挾んだ向かいに居るダスキドに詰寄る。

「そっちがに任せて渉を濁して來たんだろ?なんでテメェが渉を続ける事を許可してんだ?あぁ?」

「…………。」ニコニコ

「俺は最初の質問に対して真面目に答えたよなぁ?それをてめぇなんて返したよ?先に名前ぐらい名乗らせてから要件聞くのが渉のルールじゃねぇか!!!それも守らねーで座って話すなんて言葉使ってんじゃねーぞ!!!!」

勇者の怒號が夜の屋敷中に響く。

「…………。」ニコニコ

「まぁ、大聲を出して悪かったな。謝るよ、すまなかった。それでは渉を続けよう。」

「………あぁ、分かった。」ニコ

橫で聞いてるタリエルにもハッキリと分かった。勇者は今、自分の罪を認めて謝る事により、この渉の「イニシアチブ」を摑んだ。現にダスキドは、笑って誤魔化すしか出來なくなっていた。

「こちらとしては聞きたい事が2つに増えた。」

「何?2つって。」

「1つは本題だが、その前にもう1つ。何故タリエルの事を知っているのか教えてくれ。」

「どうして2つに答えなければならない?」

「…1つはそちらからの質問に誠意を持って答えた返し。もう1つは、渉を濁した事による誠意の返し。」

「……なんでそこでおねーちゃんの事を聞くの?」

「お前が言ったんだろ?『仲間想い』って。そうさ俺は仲間想いなんだ。パーティに危害が加えられそうになっているのを黙っては見過ごせない。」

「……………。」ニコニコ

「それで、2つに答えてくれるよな?」

「本題を先に教えて。それならいいよ。」

「アンタの誠意を見てからだ。1つ目の質問に答えてくれたなら、アンタの誠意を認めよう。」

「…………。」ニコ

今は流れに乗るべき、そう判斷した勇者の思考と決斷は早かった。先に誠意を通し、正當を主張して相手にもそれを求める。渉の初歩的技だ。

「誠意が見られないのであれば、渉はここまでという事でいいかな?」

「…分かったよ。參ったなぁ。」ニコニコ

ダスキドは質問2つに答える事を認めた。

「それじゃ、1つ目に答えるけど、出來ればコレは他言無用にしてしいんだ。それは約束してね。」

「分かった。こちらとしてもこの容は人にれてしくない話だからな。約束する。」

「僕のお兄ちゃん、鑑定局のおねーちゃんの事、好きなんだ。家でいつもその話ばかりしてる。」

「「ぶぉ!!えぇぇっっっ!!?!?」」

ダスキドの全くの予想外の返答に、勇者もタリエルも思わず吹き出してしまった。

「そういう事か…」

これまで幾度もハックは、領主とタリエルの話になると不自然にむせていた事があった。思い返して見ると、タリエルが領主に嫌悪じているような話をした時ばかりだ。

アレは笑いを堪えていたんだろう。その『事実』を知っているが為に。タリエルはイマイチ飲み込めなくて隣でプルプル震えている。

「僕の話、信じてくれるの?」

「信用に事足りる、裏付けがあった。それを信じているだけだ。」

「…そう」ニコ

「ではこちらの本題を話させて貰う。」

「どうぞ。続けて。」

「擔當直に言う。ザゥンネ家に伝わる、先祖の勇者に付いて調べている。何かの伝承だけでも良いから、何をした人なのか教えてしい。それが済めば俺達は帰る。」

「…………は?」

ダスキドの表が、初めて大きく歪む。驚愕と言うより、憎しみが込められているようにじた。

「あー。はぁ。そうか、そういう事か。あんたが○○か。」

ダスキドは勇者の名前を言い當てた。

「…それが何か、問題なのか?」

「いや、良いんだ。むしろ好都合だ。」ニタァ

ダスキドは今までしていたニコニコ顔ではなく、魂膽のある悪い笑顔に変わった。

「いいよ。教えてあげる。…この屋敷に不法侵したのも、水に流してあげるよ。」

「そうか。」

「ただし、條件がある。それを飲んでくれる事を前提にしか話はしない。」

「…なんだ?聞くだけ聞こう。」

「僕のお兄ちゃんを救ってほしいんだ。勇者でしょ?」

これまた全く持って予想外のダスキドのお願いに、勇者とタリエルはキョトンとした顔で見つめあった。

第35話 END

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