《NPC勇者〇〇はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!?》第36話 #13『殘念勇者の伝説』

ハックとマリーナが敷地の口前でめてる演技をしている所に、馬車の音が遠くから聞こえて來た。それに2人が気付いた時、屋敷の口が開き、中から勇者とタリエルが飛び出して來る。

「な、なんだ貴様等!何処からって來た!?」

「いいんだ。その2人は外に出して。」

2人が出た後に続けて、ダスキドが口から顔を出す。

「坊っちゃま!?こいつらは??」

「んー。客人?かな?一応ね。」

「おら、弟君が良いって言ってんだ。通してくれ。」

門番の2人は渋々扉を開く。

「おし、そっちの2人も行くぞ!!」

勇者とタリエルは走って馬車の方向に行く。イマイチ狀況が飲み込めないハックとマリーナだったが、とりあえず後ろに著いていく。

「あいつら…グルだったのか??」

「さぁ…わからん。」

もっと狀況が飲み込めない門番2人組は、ただただ走り去る4人の後ろ姿を見つめるしか出來なかった。

「それで、勇者殿。何か報は摑めたのかね??」

「あぁ、先祖の墓の事もバッチリだ。ただし、墓には鍵が掛かってるらしいんだが、何世代も前に紛失していて今は開けられないんだとさ。」

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「何!?そうなのか!?」

「心配すんなって、なんせ俺達にはコレがあるからよ!」

勇者は黒いメニューボードを取り出し、振ってみせる。

「うっふっふー!マリリーたん。思いっきりぶっ飛ばして気分良かったんじゃなーい?」ケラケラ

「た、タリエルさん!?見てたんですか!?」

「もう、バーッちりとね〜」

「ゴホン!その話は辭めて頂こう。」

「なーによハックさん?普段散々人の事からかっといてそれはないんじゃなーい??」

「くっ……」

「おーい!ユーシャ!!」

馬車に乗ったアンジェラが見えた。勇者達もその方向へ走る。

「どうだった?」

「まぁボチボチってじかな?そっちは?」

「ほぼ全滅。ヤンドが重癥。」

「はぁ!?!?」

「激しい二日酔い。」

「「「あぁー…」」」

何やら荷臺の中が騒がしい。

「後ろ、どうしたんだ?」

アンジェラはとても悲しそうな顔をして橫に振った。

「おーいヤンド、大丈…うっぷ!」

荷臺の中は散々な景だった。狀況から察するに、ヤンドが二日酔いで胃の中のモノを戻して、それを當初世話していたサイカがもらいゲロして、最終的に人質のはずのカルガモットが世話をしている。といったじだ。

「お、おい!偽勇者ァ!!なんで私がこいつらの面倒を見なきゃならないのだ!!」

…と、言いつつもカルガモットは甲斐甲斐しく水を飲ませたりタオルで顔を吹いてやったり、風を扇いで気分が良くなるようにしている。

「ご、ごめんなさいねぇ。なんか…昔のつわり思い出しちゃって…うえぇっ」

「り、リーダー…面目ないです…うっ!!」

「これ以上辭めろ戦士!もうけるモノが無い!うわぁぁ!!」

ビチャビチャと水音のする荷臺から、徒歩組4人は顔を背ける。

「わ、私達徒歩組は徒歩組らしく、この先歩いて行きましょうか…」

「そ、そうだなマリーナ。それがいい。」

々疲れてしまうが、致し方ない事だな。うむ。」

「それじゃー前進しましょーか!あっはっは!」

4人が笑いながら歩きだそうとすると、アンジェラが馬用の鞭を大きくしならせて威嚇する。

「…ここまで來るの、すごく大変だった。仲間を見捨てるつもりか?」ギロリ

「「「で、ですよね〜〜」」」

とりあえず川に移して、荷馬車の中をキレイにする所から始めるという結論に至った。

とりあえず徒歩組と合流した事もあって、カルガモットはロープで縛られていた。タリエルはずっとカルガモットの視界から外れており、ズタ袋が被された瞬間、影から現れてカルガモットを全力で毆りつけて気絶させた。

「「「え、えぇぇ~~~」」」

「なによ!ムカついたから毆っただけだもん!ふん!!」

ただ単純に好意を寄せられていると言う理由だけで、こんなにも躊躇なく全力で人を毆る事が出來るのか?勇者はつくづくこのカルガモットと言う男が『殘念』で可哀想な男だと認識した。

方馬車の中の手れは終わった。後は川辺でうごめく2人を何とかするだけだ。

「ハック、なんかいい魔法持ってないのか?」

「流石の私でも、二日酔いに効くような魔法は納めてない。誰か回復魔法に詳しい者は??」

みなハックの問いに顔をしかめるばかりであった。

「…ねぇ。ちょっとホントに凹むんだけど。定命の者イモータル達さぁ…」

ふわりと香水の香りがして、ナユルメツが月明かりの水辺から姿を現す。

「「「な、ナユルメツ!!」」」

「あたしってそんなに存在ないのかねェ。」

「すまん忘れてたよナユ、それにさっきはありがとう。」

「良いって事さねブレイブハート。それより、お代は分かってるんだろう?うふふ」

ナユルメツが勇者に近づく。

「「や、やめぇえぇ!!」」

勇者は遠のき、タリエルがナユルメツと勇者の間にり込む。

「あーら、今回はお代無しかい?『殘念』だねェ」

「ナユ殿、あの2人を何とかする魔法を所持しているのか?」

「ん?あの二人ってどの二人だい?ハック。」

「いや、あの川辺で…何!?」

2人がグロッキーになっていた方向を見るが、先程の倒れ込んだ狀態ではなく2人共キョトンとした顔で座り込んでいた。

「あれ?なおっちゃった?かしら?」

「凄い、今まで世界の終わりってぐらい腹の調子が悪かったのに!」

「ちょっとした調不良ぐらい、あたしの気に當たればこんなもんさねェ」

「「「す、すげー!!!」」」

「ま、後でブレイブハートからお代は二人分貰っとくとするさね。」

「いや、あの2人から取ってくれよ。俺じゃなくて。」

ナユルメツは何かあったらまた呼んでと笑顔で手を振りながら地面の中へと消えていった。

「とりあえずは…パーティ復活、かな?」

「ユーシャ、みんなに何があったか教えてよ。」

「うーん。ちょっと話せない事もあるんだが…まぁいいか。みんな集まってくれ。」

馬車の周りにみんな集まってくる。

「これからこの川沿いに真っ直ぐ行くと、伝説の勇者の墓所にたどり著く。そこには鍵がかかってて、何世代も前からしばらく誰も中にって無いそうだ。」

皆は勇者の話にウンウンと頷いている。

「その墓の中に勇者の伝説について書かれた壁畫があるらしい。ただ、今現在生きている人間でそれを見た事のある奴はいない。屋敷にも縁にも言い伝え的なは伝わってなかった。」

「なるほど…道理でどの文獻にも記載されてない訳だ。」

「でも、そんなれない所に行ってどうするんですか?」

「ふふふ…俺達にはコイツがある。」スッ

「その黒いのでどうするの?勇者君?」

「冒険者の3人は知ってるよな?俺が寶箱の鍵開けた時の事。」

「「「あ〜。…え!?」」」

「そう、そのまさかなんだよ。『ロック解除』のデバッグ能力、寶箱だけじゃ無かったんだ。だから俺なら勇者の墓の扉を開けられる。」

第36話 END 

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