《NPC勇者〇〇はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!?》第37話 #14『殘念勇者の伝説』
「殘念勇者」の墓所まではまだもうしかかる。勇者一行は揺られる馬車の中で一息ついていた。
「墓所に著いたら、勇者殿の帰れるヒントの1つでも見つかるといいのだが…」
ハックのその一言で、馬車の中は重い空気に包まれた。この冒険は、勇者が現実世界に帰る為に必要な報を探す旅だ。目的が達されれば、必然的に勇者はあちら側に帰ってしまう。
「「「ハァ〜」」」
勇者以外の皆は、ため息を付いてしまった。
「…あのなぁ。1つみんなに言わなきゃならない事がある。この前、俺が酷く落ち込んでいた時があっただろ?」
「あぁ、あの時か。」
「実はなんだが…サイカの家で食事會したその日の夜。俺、會ったんだよ。」
「會ったって?誰に…はうっ!?」ガーン
タリエルは思わず口を抑える。心無しか顔も青くなっていた。
「タリエルさん、何か知ってるんですか?」
「なんだ?どうした?」「大丈夫?タリエルちゃん?」
「あやつの反応を見れば分かる…みなまで言う必要も無かろう。」
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「えっ!?ハック先生も知ってるんですか??教えて下さい!」
「うむ。では分からない者も居るようなので私が言わせてもらうぞ。いいな?勇者殿。」
「え?……え?」
「勇者殿は…會っていたのだよ。彼の『想い人』に。」
「「「な!なんだってぇ!?!?」」」
「いや……違」
「キィィー!!悔しいわ!!あたしの気持ちを知りながら、あんなに鑑定局に近い所で逢い引きしてるなんて!!あたしとのあの宿屋でのあつーい夜は噓だっていうの!!」
「「「な、なにぃぃ!!??」」」
事(參照:ゆうべはおたのしみでしたね)を知らない馬車組が、今度は大きく仰け反る。
「リーダー!あんたって人は…誠実な人だって信じてたのに!けしからんですぞ!!そんな…うらやま…いや!けしからんですぞぉぉ!!」
「なぜ2回言う。ヤンドよ。」
「サイカ母さんはひとりの母として、年頃のの子を泣かせるようなアソビは心しませんよ!!めっ!」プンプン
「いや、貴方私の母親じゃないでしょ。てか、俺の母親って歳でもないでしょーに。」
「グール泣かせた。ユーシャ、やはりの敵…」
「心どーでもいいけどとりあえず話乗っかってるだけだよね?アンジェラ」
「いいわよぅ〜どーせ私とはアソビだったんでしょう?うぇ〜ん!!」
「てめぇが1番話こじらせてんだろタリエル。マジで泣くまで叩くか?コノヤロウ。」
「お、の人に暴力なんて、最低ですっ!!」
「いやあのさぁ。マリーナ君。君一緒の宿屋に居たし知ってるでしょ?」
「勇者殿…白狀するのだ。さぁ。」
「………そろそろ良いかな?真面目な話なんだけど」ビキビキ
「「「はぁ〜〜い」」」
結構冷やかしを楽しんでいた一行だが、今度はちゃんと話を聞く制を取った。
「俺があの日の夜會ったのは…運営なんだ。」
「「「…はい?」」」ポカーン
突拍子もないその名前に、ハックでさえ口を開けて聞いていた。
「…で、こういう事があって、俺はとりあえず元の世界に帰れる算段はある程度付いてるんだ。だから、今はあの運営が俺の無事を調べてくれて、その結果待ちなんだよ。」
「なるほど…それで勇者殿は帰る事が分かっていて落ち込んでいたのか。」
「そうなんだ。すまんみんな。騙すつもりは無かったんだけど、みんなともっと冒険したくって、黙っていた。」
「「「…………。」」」
皆は靜かに黙り込んでしまった。
「…リーダー。貴方はこのパーティのリーダーなんですから、別にいつでも自分らを頼ってもいいんですよ?」
「勇者君、冒険ならいくらでも付き合ってあげるわよ。またお弁當作ってあげるからね。」
「私は…金さえ貰えればなんでもいい。でも、ユーシャはちょっと割引してあげる。借りがあるから。」
「元同僚も、冒険に関してはあまり頼りにならないかもだけど、頑張りますからね。」
「んっふっふー!!正ヒロインであるこの鑑定士が著いてるんだから、どーんなお寶が來てもパパーッと鑑定してあげるわよ!もちろん私は値引きしないけどね!」
「…みんなはああ言ってるぞ?勇者殿?」
一同の顔を見渡す勇者。みんなとてもいい顔をしている。
「ありがとう。みんな…」グスッ
「君が無事に元の世界に帰れるなら、私達はそれが最も嬉しい事だ。おめでとう。勇者殿」
パチパチパチ…
皆が拍手をしてくれて、勇者の頬から涙が零れた。
「でも凄いねーマルたん!ここを作った神様と會ったんでしょ?」
「………は?」
「まぁ、造主と呼べばいいのかな?その運営という人等は。」
「凄いですよね!神様ってそんな近くにいるものなんですね!」
「會ってみたい」
「でもちょっと実湧かないなぁ〜。ある日突然目の前に現れて、『私がこの世界を作りました』なんてねぇ。」
「自分も、信仰としてモンクの教えを貫いて來ましたが…まさかその上に萬の創世をされた方々がいるなんて考えもしなかったです。」
「…な、何言ってんだ?みんな。」
「「「え?」」」
「神様って…運営が?」
「そう…だけど、ちがうの?マルたん?」
NPCの皆が運営を神と呼んでいる事に、先程まで勇者○○の中にあった仲間思いのが、全て吹き飛んだ。
「そんな訳!!ねーだろっ!!!!」ガタンッ!
勇者はあまりの怒りに思わず我を忘れて立ち上がってしまった。
第37話 END
 
【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔術師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔術の探求をしたいだけなのに~
---------- 書籍化決定!第1巻【10月8日(土)】発売! TOブックス公式HP他にて予約受付中です。 詳しくは作者マイページから『活動報告』をご確認下さい。 ---------- 【あらすじ】 剣術や弓術が重要視されるシルベ村に住む主人公エインズは、ただ一人魔法の可能性に心を惹かれていた。しかしシルベ村には魔法に関する豊富な知識や文化がなく、「こんな魔法があったらいいのに」と想像する毎日だった。 そんな中、シルベ村を襲撃される。その時に初めて見た敵の『魔法』は、自らの上に崩れ落ちる瓦礫の中でエインズを魅了し、心を奪った。焼野原にされたシルベ村から、隣のタス村の住民にただ一人の生き殘りとして救い出された。瓦礫から引き上げられたエインズは右腕に左腳を失い、加えて右目も失明してしまっていた。しかし身體欠陥を持ったエインズの興味関心は魔法だけだった。 タス村で2年過ごした時、村である事件が起き魔獣が跋扈する森に入ることとなった。そんな森の中でエインズの知らない魔術的要素を多く含んだ小屋を見つける。事件を無事解決し、小屋で魔術の探求を初めて2000年。魔術の探求に行き詰まり、外の世界に觸れるため森を出ると、魔神として崇められる存在になっていた。そんなことに気づかずエインズは自分の好きなままに外の世界で魔術の探求に勤しむのであった。 2021.12.22現在 月間総合ランキング2位 2021.12.24現在 月間総合ランキング1位
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