《NPC勇者〇〇はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!?》第51話 #23ep『殘念勇者の伝説』

勇者がこの世界に來てから28日目

「おーい、タリエル!るぞー」

勇者とハックは朝早くからタリエルに會いに鑑定局ファステ出張所に來ていた。もちろん今日の賢人會議の開催を伝える為だ。しかし店はカウンターの奧に燈りがついているだけで、人気は無かった。

「あれ?いないのか?おーい。」

「キャッシュグール!勇者殿が會いに來たぞ!!」

奧から返事は帰ってこなかった。

その代わり、勇者達がってきた後ろの口が開いた。

「おや?…………すいません。営業は9時からです。」

眼鏡をかけた、細で骨ばった意地悪そうな男がって來て、勇者を外に出そうとしてきた。

「??あの、新しくった従業員?さん?」

「…すみませんが、開店準備があるのでお引取りを。」

「すまないが、ここの店主に用があってきたのだ。今あやつは何処にいる?」

「はい?店主??」

「そうだ。タリエルは奧に居ないのか?」

「…支店長は私ですが、私以外にはここに局員は居ませんよ?」

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「「は?」」

「いい加減帰らないのであれば衛兵を呼びますが…」

「ちょ!ちょっと待て!俺達タリエルに會いに來ただけだって!」

「誰です?」

「青い髪した背の低い奴だよ!ここを1人で切り盛りしてる!」

「……現金の亡者キャッシュ・グールの事ですか?」

「そう!それ!居るのか?」

「辭めました。お引取りを。」

「「はぁ!?!?おいちょっと!!」」グイッ

ハックと勇者は支店長を名乗る男に追い出されてしまった。

「なんなんだ!?どーなってる??」

「わからん…辭めたと言っていたが…」

全くもって理解不能だった。タリエルがこの仕事を辭めるなんて、想像も付かなかった。この仕事に誰よりもプライドを持って取り組んでたし、天としか言い様のないこの仕事を、しかも誰にも言わずに辭めるなんて想像も出來ない。

「とりあえず、俺他のパーティメンバーに聞いてみるよ!」

「私はここに殘って開店を待つ!」

勇者は街の中心地へと駆け出して行った。

それから勇者はサイカと會い、2人で大魔導飯店に行きマリーナと合流、喫茶スケアガーゴイルにも行きアンジェラとも合流したのだが…

「「「え!?タリエル(さん、ちゃん)辭めたの!?」」」

みんなの第一聲はコレだった。誰も知らなかったらしい。

「くそ!誰も知らないな。あいつが行きそうな所とか知らないか??」

「冒険者ギルドもダメでしたし…他にタリエルさんが行きそうな所ないですか?」

「うーん…とりあえずハックと合流しよう。何か聞き出せてるかも。」

そこに遠くからハックが走り寄ってきた。

「おーい!皆!ハァハァ!」

「お!ハック!ちょうど良かった!タリエルの事わかったか??」

「いや…それがどうも辭めたと言うより、クビになったらしい。それで代わりの者が派遣されて、今はあの男が店の主人らしいんだ。」

「「「クビに!?!?」」」

「皆さんお揃いで、どうかしましたか??」

後ろから聲を掛けてきたのは、何やら大量に食料を抱え込んだヤンドだった。

「おいヤンド!探してたんだよどこ行ってた!?」

「え?ちょっと食料を買いに…」

「キャッシュグールが居なくなった。」

「え!?」ドキッ

「みんなでタリエルちゃん探してたんだけど…」

「ヤンド殿は見ていないか?」

「あー…」

どうもヤンドは歯切れ悪く返事をする。

「なんだ?ヤンド知ってるのか?タリエルがどこいったのかを!」

「知っていると言うか…えー、……ウチに居ます。」

ここはヤンドが住居として借りている一軒家。その扉の前に勇者パーティの一同が勢揃いして並んでいた。

ヤンドが口の扉を開く。

「…ただいま帰りました〜。」

ヤンドが気の抜けた帰宅の挨拶をする。すると…

「もぉ〜〜遅いよヤンド!お腹減ったから早くゴハン作っ…」

怒りのオーラ全開の勇者パーティとタリエルの目が合う。

「……………。」

「……………。」

バタンッ

「てめぇタリエル!ここ開けやがれ!!何ヤンドの家でやっかいになってんだよ!!オイ出て來い!!」ドンドンドン

「ひっ人違いですぅ〜私ヤンドさんの新妻です〜知らない人は帰って下さ〜〜い!」

「おい!キャッシュグール!皆がどれだけ心配したと思っているんだ!!早く開けろ!!」ドンドンドン!

「勇者君、アレをやってしまいなさい。」

「オーケーサイカ!必殺『通り抜けドア』〜。」

勇者がデバッグ能力で扉を通り抜け部屋の中にる。

…しばらく中から爭う音が聞こえた後、首っこを摑まれた狀態で勇者とタリエルが出て來た。

─ ─ ─

「で、なーんで俺らにそんな大事な事黙ってたんだ??」

「ひっく、うっく、だぁーってぇ〜」グスグス

「タリエルさん、泣かないで。」

「マリーナ嬢!甘やかせるんじゃない!」

「ハイハイみんな落ち著いて、1度ブレークしましょう!」

「あ、自分コーヒー準備します…」

「ん、ヤンド、私も手伝う。」

勇者とハックが腕を組んで睨みつけている、部屋の真ん中に座らされたタリエルはいつもより余計に小さく見えた。

「で、どうしてクビになったのだ?普段のソナタなら、そんな事意地でも否定するはずだが?」

「えーっと…それは…」

「言いにくい事なのか??」

「あ…自分が大の事知ってるんで説明します。」

人數分のコーヒーを持ってきたヤンドが言い出した。

「たまたまその場に居合わせたんですが…タリエルさん。『不正を働いてる』って監査をけたんです。それで、その結果辭めさせられちゃったんですよ。」

「「不正!?」」

「なんでも…不當な理由で店の営業を勝手に休んだとかで…」

ハックが盛大にコーヒーを吹きこぼした。

「それで、営業容について監査をけたら…不正な取引があったみたいで…」

「なんだ?不正な取引って?」

「はい。店1番の超高額商品を、100ゴールドで売ったって帳簿に殘ってたらしくて…」

今度は勇者が激しくコーヒーを吹き出した。

「たまたまアイテムを換金しに鑑定局に行ったらまさにその場面で、目の前でバッチ取り上げられてました。」

「…で、誰が悪いと思う??」

アンジェラの問いかけにスっと目を逸らす勇者とハック。

ジ〜〜〜

ジロ〜〜〜

ジィ〜〜

「「すっすみませんでしたァーー!!」」

みんなからの視線に耐えきれず、勇者とハックは深々と頭を下げたのだった。

第51話 END

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